夕陽の群盗(1972)



ジェフ・ブリッジスの初期主演作品であり

ロバート・ベントン監督のデビュー作

カメラはゴードンウィルス

それだけでも期待が高まるわけですが


映画ツウからの評価の高い作品だけあって

なかなかの青春映画の傑作だと思います

アメリカンニューシネマ風、ネオ・ウエスタン




オハイオの信心深い家庭で育ったドリューは

徴兵を逃れ、兄の形見の時計と、両親がかきあつめたお金を持ち

ミズリーへやって来た真面目な青年

そこで牧師の家まで案内するというジェイクという男に襲われ

金目のものすべて奪われてしまいます


救いを求めた牧師の家で、偶然にも盗みに入ったジェイクを見つけ

取っ組みあいになったふたりのせいで、家の中は破壊されボロボロ

ドリューはジェイクと逃げ、彼の強盗仲間とカンサス

あてのない旅をすることにします




すごくリアルな作風ですね

履き古した靴にローハイド、ボロキレになってしまったバンダナ

少年たちがどういう身の上なのか、その姿だけで想像つきます


旅に出たのはいいものの、食べ物はなく腹を空かせる5人

鶏を盗みに入った農場で、いちばん幼い仲間が撃ち殺されてしまう

駅馬車強盗のために駅馬車を止めにいった仲間ふたりが

そのまま乗りこんで逃げていってしまう

その裏切り者ふたりが首を吊られているワンカット

秋っぽい色合いの西部の風景が美しい

さすがゴードン・ウィルス、見事な撮影です


ふたりきりになってしまったドリューとジェイク

しかしこのジェイクという男、自分の都合悪い時はドリューに助けを求め

そうでないときは、怪我をしたドリューに食事も与えないという意地悪

おまけにドリューが靴底に隠していたお金を見つけるやいなや

ドリューを殴り、金を盗んで逃げてしまうのです




なのに町で縛り首になろうとしているジェイクを助けてしまうドリュー

そしてジェイクと銀行強盗をするようになってしまうのです


このふたりの行く末は、名の知れたお尋ね者なのか

それとも蜂の巣のように撃たれて死んでしまうのか


戦争を逃れて平和に暮らすために旅立ったはずの青年が

嘘つきの相棒騙され裏切られ、結局無法者になってしまうのが切な


誰もが最初からアウトローだったわけではない

ビリー・ザ・キッドジェシー・ジェイムズの影には

こんなふうに悪に染まっていくしかない少年が

きっとたくさんいたのでしょう




【解説】allcinemaより

南北戦争末期の1863年。北軍の徴兵から逃げた少年が“悪い仲間”と知り合い悪党になって行く様を、自然体で描いた佳作ニューシネマ・ウェスタン。これがデビューのR・ベントンの演出と脚本(デヴィッド・ニューマンとの共同)はお見事