ブロンド(2022)


原題も「
BLONDE

原作はジョイス・キャロル・オーツ

ブロンド マリリン・モンローの生涯

 

オーツはマリリンの知性とユーモア、女優としての決意

スポーツ、宗教、政治のアメリカ文化においてのキャリアを学ぶにつれ

大きなフィクションにする必要があると考え

より悲劇的で代表的なアメリカ人女性を作り上げました

この「架空のマリリン・モンロー」は

3つのペルソナ(仮面)に分けられ

 

ひとつ目は素朴で傷つきやすい、普通の女の子ノーマ・ジー

パパ、家族、ロマンスを切望しています

ふたつ目は、セックスシンボル映画の女神

セクシーな呟き、つけまつげ、真っ赤な口紅、タイトな服

一方で、ポルノだ娼婦だと嫌悪感を抱かれ女性蔑視される

女優マリリン・モンロー

 

3つ目は、白人の美しさ、スター、上流階級の仲間入り

みんなの憧れで理想的なイメージ

いくらフィクションであっても

マリリンのパブリシティ権

(有名人の肖像権やプライバシーが保護される権利)が

無効になっているとしても、いかがなものでしょう

過去の映画や俳優たちへの敬意がひとつも感じられない

それが約3時間も続く

批判や悪評が相次いだのも当然

チャップリンJrエドワード・ロビンソンJrとの3P

マリリンとケネディ大統領との悪趣味なベッドシーン

胎児のエコー映像を使った強制的で歪んだ中絶シーン

 

VODU-NEXTNetflixHuluHBOMaxなど)では

性描写や暴力が過激なほど視聴者が釣れることが

統計的に確立されているそうです

唯一の出色はマリリンを演じたアナ・デ・アルマスちゃん

顔も体系も、人種も違うのに

時々、本物のマリリンに見えてしまう

相当研究したんでしょうね、再現度がすごすぎます

 

ただ本物のマリリン同様

アナ・デ・アルマスちゃんのキュートな魅力が

全て抹消されている悲劇

精神を患った母親に棄てられたノーマ・ジーンは

養護施設に預けられ里親を転々とします

いつかパパが迎えに来てるれると信じていたノーマ・ジーンは

(母親からパパは俳優だったと聞かされている)

パパが見つけてくれるかも知れないという思いでモデルになり

映画スターを目指すようになります

その時、ミスターZと呼ばれる映画会社の社長にレイプされ契約

マリリン・モンローという名で「ノックは無用」のネル役でデビュー

 

俳優養成所では“キャス” ことチャールズ・チャップリン・ジュニアと

エディ” ことエドワード・G・ロビンソン・ジュニアと知り合い

父親の愛情を知らない3人は意気投合、心も身体も結ばれます

 

しかし「ナイアガラ」でマリリンがブレイク

キャスとエディとの関係取りざたされ

エージェントから彼らと会うことを控えるよう注意されますが

マリリンがキャスの子を妊娠

キャスとエディに伝え喜びを分かち合いますが

紳士は金髪がお好き」のオファーが入り

共演のジェーン・ラッセルのギャラが自分より高額であることを知ると

女優魂に火が付いてしまいます

 

エージェントは中絶のための病院を予約

マリリンは手術台に向かう途中で気が変わり

中絶を拒否しますがそれは強制的に行われました

 

それからしばらくして、マリリンは彼女のファンだという

ジョー・ディマジオと会うことになります

マリリンがマスコミのフェイク記事に傷ついてしまうと話すと

ディマジオはとても共感し、同情するんですね

マスコミやファンに追いかけられる

同じスーパースターにしかわからない苦しみ

紳士は金髪がお好き」がクランクアップしたとき

マリリンは父親を名乗る男から手紙を受け取りました

そこにはマリリンが自分を探しているという記事を読み

心を痛めていると書かれてありました

 

そしてホテルのスィートに「特別な人」が待っている

必ず一人で行くようにと伝えられます

パパだ!ホテルに駆け付けるマリリン

そこで待っていたのはディマジオでした

ディマジオはマリリンにプロポーズします

ふたりは結婚、ディマジオがマリリンに家庭で落ち着いて欲しいのに対し

その頃のマリリンは人気絶頂期でした

しかもキャスとエディがディマジオの前に現れ

無名時代のマリリンのヌード写真を世間にばらすと脅します

そのうえマリリンの「七年目の浮気」で公開撮影

地下鉄の排気口の上に立ち、スカートがめくれ上がる有名なシーン

男たちがマリリンを冷やかし、厭らしい目で見るのに耐えられない

 

ディマジオはマリリンに暴力を振るいはじめ

父親を名乗るからも、マリリンを蔑む手紙が届

彼女を悲しませるのでした

アーサー ミラーの演劇「マグダ」のオーディションを受けたマリリンは

消極的なアーサーに、チェーホフの「三人姉妹」のナターシャを

マグダに感じたと話します

実は「マグダ」のモデルはアーサーの初恋の相手でした

マリリンとはイメージがあわないと断ってもマリリンは退かない

自分なりの「マグダ」像を語りアーサーを納得させるのです

 

マリリンはアーサーと再婚、海辺の家で暮らし妊娠します

しかしアーサーが自分をモデルにして物語を書いていることを知り

彼に対する信頼が揺れはじめます

しかも友人夫妻のためにビーチに料理を運ぶ途中

転んでしまい流産するのです

お熱いのがお好き」で復帰したマリリン

この頃から精神は不安定になり、妄想と現実を混乱

主治医から安定剤を与えられながら撮影するようになりま

 

ケネディ大統領にニューヨークに招かれた頃には

薬とアルコールで歩くことも出来ず

シークレットサービスに抱えられて移動

しかもホテル大統領オーラルセックスを要求され

マリリンは答えるしかありませんでした

それからというもの、自宅近くの通りに怪しいワゴン車

電話が鳴り受話器を取るとノイズ音

常に誰かに監視されている気配

何者かに連れ去られ、薬を打たれ、中絶させられる

これはただの悪夢、と自分に言い聞かせます

 

ある夜、エディからの突然の電話でキャスが死んだことを知らされます

そしてマリリンに残した遺品を郵便で送ると伝えられます

届いた箱の中に入っていたのは

ノーマ・ジーンが幼い頃可愛がっていたのと同じ、トラのぬいぐるみ

そしてキャスからの手紙でした

父親と名乗る男の手紙は、全てキャスが書いたものだったのです

マリリンの「パパが見ていてくれている」という希望は打ち砕かれ

ひとりベッドに倒れ込むのでした

 

たまたま「マーサ・ミッチェル  誰も信じなかった告発」を

見たせいもありますが

このようなマリリンの薬物中毒や、乱れた交際の多くは

ねつ造された可能性がある気がしてきました(笑)

 

共産主義者としてFBIの捜査対象になっていた

アーサー・ミラーと結婚したことで

マリリンもFBIから目をつけられていたんですね

そしてケネディ兄弟の評判を落とし陥れるために

共和党と保守派はマリリンを利用することにしたのです

大統領の不倫相手がマリリンなら申し分ない、国民も納得

しかも兄弟にお相手したとなれば

ケネディ兄弟の正義感と清楚なイメージを壊すのにぴったり

(この想像力、誰か買ってください 笑)

 

実際マリリンとケネディ兄弟が肉体関係があった

証拠はなく、目撃者もいない

唯一の情報源は反共主義者のウォルター・ウィンチェルただひとり

彼の活動は、政治家、法的機関、裏社会にゴシップ情報を流し

共産主義と思われる有名人や芸能人の評判を落とすこと

 

だけど真実のマリリンは仕事に対しては鬼(笑)

ほとんどのプロデューサー、監督、共演者から嫌われ

お熱いのがお好き」の撮影で

トニー・カーティスはマリリンとのキスシーンについて

「まるでヒトラーとキスした気分」と語ったとか(笑)

アーサー・ミラーとの関係についても

彼の脚本を何度も書き替える癖に

キレていたのはマリリンのほうだったそうです(笑)

 

ママに棄てられ、パパを探している

演技を認められず、同じような役ばかりやらされる

ディマジオに殴られ、アーサーに裏切られた

もちろんそこに真実はあったのでしょうが

 

30本の映画に出演し

ゴールデングローブ賞ミュージカル・コメディ部門 主演女優賞

3度のヘンリエッタ賞(世界で最も好かれた男優・女優賞 1979年に廃止)

ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞イタリア映画アカデミー

外国人女優賞を受賞

シャネル、マックスファクター、ベンツ

アブソルート(スウェーデンの酒造メーカー)の

イメージガール

 

伝説に残る悲劇の女優を作り出したのは

実はマリリン本人だったのかも知れません

今ではIQ160と推定されているそうです

 

マリリンがもし、ドイツやフランス、イタリア人だったら

今でも活躍していたかも知れませんね

 

 

解説シネマトゥデイより

[Netflix作品]伝説の映画スター、マリリン・モンローの素顔に迫る伝記ドラマ。ジョイス・キャロル・オーツによる小説を原作に、彼女が女優として成功を収める一方で、世間が求めるアイコンを演じる苦悩などを描く。監督・脚本は『ジャッキー・コーガン』などのアンドリュー・ドミニク。マリリンことノーマ・ジーンを『ブレードランナー 2049』などのアナ・デ・アルマスが演じるほか、エイドリアン・ブロディボビー・カナヴェイルらが共演する。第79ベネチア国際映画祭コンペティション部門に選出された。

不安定な幼少期を過ごしたのち、映画スターへの道を歩み始めたノーマ・ジー(アナ・デ・アルマス)。女優マリリン・モンローとして『紳士は金髪がお好き』などに出演して一躍トップスターとなった彼女は、ハリウッドのセックスシンボルとして脚光を浴びる。しかしその裏側では、本来の自分であるノーマと、世間がイメージするマリリンという虚像とのギャップに苦しんでいた。