タイトロープ(1984)

原題のTightrope」とは綱渡りに使う張り綱のことで

危険を冒したり、危ない橋を渡ることのたとえ

ダーティハリー4」の翌年に公開された刑事ものですが

こちらは離婚しふたりの娘を育てるシングルファーザー

子煩悩で娘たちからも懐かれていますが

別れた妻には未練タラタラ

 

実際にもイーストウッドはこの年

30年連れ添った最初の妻マギーさんと離婚

捜査のため聞き取りに行った女性たちとはすぐヤッちゃうし

サディスティックな性癖がある(笑)

本当にイーストウッドをモデルにして映画を作ったんじゃないか

っていうくらい、女好きでしょうもない男

最後には娘(演じていたのも当時14歳だった実娘アリソン)まで

レイプ被害者にしまうという

そこもイーストウッドらしいというか、なんというか

出だしはヒッチコック的でつかみはばっちり

夜道を歩く女性、後ろから何者かが近づき振り向くと警察官の姿

家まで送ってもらったものの

制服を着ている男が履いているのは汚れたスニーカー

翌日女性の惨殺死体が見つかります

犯人の顔は見せず、このスニーカーだけで恐怖を煽る

だけどそこまで(笑)

ほっこりしたり、笑えるシーンもあるのですが

そのことが結果アンバランスになっています

妻と離婚し(寂しくてワンコとベッドを共にしている 笑)

アマンダ(アリソン・イーストウッド)とペニー2人の娘を育てる

ニューオリンズ市警のブロック刑事(クリント・イーストウッド)は

その夜フットボールの試合を見に行く予定でしたが

 

夜の歓楽街フレンチ・クォーターで女性が殺されたと

署から呼び出しをうけます

殺された娼婦は手錠をはめられレイプされたあとに絞殺

犯行の手口から先日殺された女性と同一犯と思われました

レイプ被害者女性救済センターのベリル(ジュヌヴィエーヴ・ビジョルド)が

情報公開を求めブロックを尋ねて来ましたが

ブロックは何も話せないと追い返してしまいます

ブロックは被害者を知っているという娼婦に聞き込みに行きますが

そのまま金髪メガネっ子の娼婦の誘いにのり(笑)

しかもネクタイを忘れて帰るというお粗末さ

その様子をスニーカーの男が見つめていました

そしてまたもや同じ手口で第3の犠牲者が発見されます

ブロックは金髪メガネっ子の仲間のベッキーから

客の中に警察官を名乗る人物がいて

手錠プレイをしていたことを知らされます

3人の犠牲者を出しながら捜査が進んでいないことに

業を煮やしたベリルは市長に苦情を申し立てたことで

ブロックは彼女に犯人の特徴と、遺体に残された赤い繊維について話し

さらに(都合よく)同じジムに通っているベリルに近づくと

ベリルを食事に誘い、親密な関係になります

真剣にお付き合いするのは

ブロンド美女より身持ちの堅い女性というわかりやすさ

そう思うと(12年も一緒に暮らした)ソンドラ・ロックにも

ちょっと同情しちゃうわよね

本妻ともソンドラともほぼ同時期に別れているので

イーストウッドにとっても、この作品が転換期だったかも知れません

さらに4人目の犠牲者が見つかると遺体は金髪メガネっ子でした

さらに「ちょっと頭をひねれば分かるだろう」と書かれたカードと

手錠を付けた小さな人形が署に届きます

捜査をしていくうち、サムという娼婦がブロックの胸に黒い花をつけ

知らない男から「ゲイバーに行け」という伝言を頼まれたと

言われた通りゲイバーに向かうと、同じ黒い花を付けた男から誘われます

ブロックはやんわりとお断りし(笑)

男は倉庫で犯人と会う約束をしていると知ります

ブロックがその場所に行くと、ゲイバーで知り合った男の絞殺死体があり

彼の首に巻かれていた赤いリボンは

一連の殺人で見つかった赤い繊維と同じものでした

署に帰って犯人から贈られた「頭をひねれば分かるだろう」の

人形の頭をひねって出てきたのは

ベッキーがいつも舐めていたアイスキャンデーの棒でした

次の犠牲者はベッキーということ

予告通りベッキーの遺体が噴水で見つかり

像にはブロックが娼館に忘れたネクタイが結ばれていました

上司に「顔見知りなのか」と問われますが、ブロックは否定します

ブロックは娘たちにベリルを紹介するため、カーニバルに誘います

ベリルと娘たちは意気投合し楽しいひとときを過ごしますが

ペニーがピエロもらった風船には、犯行に使われたのと同じ赤いリボン

帰宅したブロックは、ベリルを赤いリボンで絞殺する悪夢で目覚めます

自分は奴と「同じ」なのか

犯人の残した遺留品のなかに、ビール製造に使う麦の成分が見つかり

さらに過去のレイプ犯を調べていると

少女2人への暴行容疑で逮捕された警察官の新聞記事を見つます

部下の調べでその元警察官のロルフという男が

11年の服役を終えビール工場で働いることがわかります

犯人はロルフに間違いない

しかも11年前ロルフを逮捕したのはブロックでした

ビール工場を捜査することになったブロック

そこには同じスニーカーの従業員がいっぱい(笑)

ブロックに気付いたひとりが、そっとその場を立ち去ります

ロルフが見つからず、悪い予感がしたブロックが急いで家に戻ると

すでに家政婦は殺されていて

襲いかかってきた犯人と格闘になるものの逃げられてしまいます

ベッドにはレイプされ倒れているアマンダ

アマンダは病院に運ばれ、別れた妻が看病のためやってきました

犯人を殺してやると誓うブロック

ベリルに護衛の警官をつけ、ロルフの家宅捜査に行くと

机の引き出しには大量の赤いリボン

 

その頃ロルフは護衛の警官を殺し、ベリルを絞殺しようとしていました

ベリルが(護身術はあまり役に立っていない?)必死に抵抗しているところに

ブロックが駆け付けると、ロルフは逃亡

ブロックは駅伝並みのスピードでロルフを走って追いかけ

線路に侵入し殴り合いになります

そこに貨物列車がやって来て、逃げ遅れたロルフはバラバラ死体

ブロックを心配したベリルがやってくると

ふたりは肩を組み歩きだすのでした

 

 

【解説】映画.COMより

美女連続殺人事件の犯人を追う刑事の捜査活動を描く。製作はクリント・イーストウッドとフリッツ・マーネイズ。監督・脚本は「アルカトラズからの脱出」(79)の脚本を書いてイーストウッドに認められたリチャード・タッグル。撮影はブルース・サーティーズ、音楽はレニー・ニーハウスが担当。出演はイーストウッドの他に、ジュヌヴィエーヴ・ビジョルド、ダン・ヘダヤ、クリントの12歳の実娘アリソン・イーストウッドなど。日本版字幕は岡枝慎二テクニカラービスタサイズ1984年作品。

1984年製作/アメリ
原題:Tightrope
配給:ワーナー映画
劇場公開日:1984年9月15日