ビューティフル・レターズ 綴られた言葉(2011)

原題は「THE LETTER WRITER」(手紙作家)

見知らぬ人からの一通の手紙に励まされことで

言葉の大切さに気付き

少しずつ気持ちが前向きになっていく女の子の物語

 

85分という小品のテレビ映画

監督はモルモン教末日聖徒イエス・キリスト教会)ということですが

宗教臭さはないですし(お葬式のシーンがあるくらい)

善意の押しつけもない

秋冬の風景はダグラス・サーク作品のように美しく

家族で見るのもよし、学校の授業で流すのもよし

人間がいかに言葉によって動かされているかを考えさせられるし

今日からの生き方をちょっと変えられる

子どもからご年配の方まで、全世代におススメできる良作だと思います

高校生のマギーはロックバンドのボーカル

でもバンドに打ち込むほど、授業はうわの空

成績は悪くなるいっぽう

母親とも折り合いが悪

 

なんとなくうまくいかない、気が晴れない毎日

そんなある日、手紙が届きます

そこにはたくさんの励ましと、前向きになれる言葉が綴られていました

差出人はサム、誰だかわからない

ママもわからないという

そこで疎遠になっていた父親に会いにいくと

父も再婚した女性も(子だくさん)

思いのほか温かく歓迎してくれました

やっぱり差出人はわからないという

筆跡や文面から考えるとたぶんお年寄りだろう

マギーは郵便局に行き、手紙を見せると

集配係が「老人ホーム」からだよ、と教えてくれました

 

マギーが施設を訪ねると、電話帳を調べている老人の姿

サムとは彼のペンネームで、不特定な住所を選び手紙を送っていたのです

マギーは今まで褒められたことがなかった、手紙に励まされた

なにか手伝いたいと伝えると、トムはカード配りに誘います

見知らぬ人を観察し、カードを渡す

それを読んだ人が笑顔になり、挨拶を交わす

 

マギーがなぜ手紙やカードを贈るのかと訊ねると

サムはかって大切な人を言葉で傷つけたからだと答えます

「言葉や行いは鏡のように自分に跳ね返ってくる」

それからは言葉を、役に立つことに使おうと誓ったのだと

マギーはサムのカードの一枚を

同じアパートに住んでいて、毎日玄関で外を眺めている

小児がんの少年)マイケルの靴に入れました

するとマイケルから「カードをありがとう、アップルパイを食べに来て」の返事

サムもアップルパイの招待に喜びます

 

同じ頃、クラスでは隣の席で親友のキムが

バンドがメジャーになるため、いろいろ提案をしてくれます

それにはお金が必要でしたが(母親のタンスの貯金から盗む)

人気のライブハウスで演奏したり

スタジオでデモテープを録音することが出来ました

ギタリストの彼氏とも順調に交際中

 

ところがキムにそそのかされたカンニングがバレ

おまけに彼氏も、バンドのボーカルの座もキムに奪われてしまいます

親友だと思っていたのに(親友だからこそあるある)

 

でもサムは決して悪口は言わない

言葉での解決を教えてくれる

サムの施設の友人ステラは老人ホームの合唱団に誘ってくれた

みんなで入院したマイケルをお見舞い行く

サムも約束のアップルパイを食べに行く

誰かの役に立ちたいと思ったとき

そこに不可能はないのです

 

マギーはひとりギターのレッスンをして、歌詞を口づさむ

サムが言葉を伝える手段が手紙なら、私は歌

だけど突然サムが倒れ、去ってしまう

ステラはサムのために歌いましょうと言うけれど

そんな気持ちにはなれない

でも卒業式が近づき、マギーは思い出します

サムが伝えたかったこと

「言葉や行いは鏡のように自分に跳ね返ってくる」

 

クライマックスはマギーの卒業式でのソロ演奏

ママにこれまでの感謝の気持ちを伝える

親友だったキムを許す

大事なのは相手の気持ちを考え

きちんと言葉にすること

マイケルが拍手する

ステラも拍手する

曲を聴いて涙ぐむ母親

演奏後、和解しようとするキム

 

人生に問題は山積み、すべては解決しない

でも自分の心がけ次第で、やさしさや思いやりで

いくつかはうまくいく

人はいかに言葉で左右されるか

使い道を間違ってはいけないのです

amazonプライムビデオ)



 

【解説】amazonプライムビデオより

それは、一通の手紙から始まった!人は言葉によって幸せにもなれるし、傷つきもする。大人たちの期待に応えられず、大好きなバンド活動もメンバーには快く受け入れられていない。そんな孤独な少女のもとに、一通の手紙が届く。そこに綴られた優しい言葉に勇気づけられた彼女は、差出人を探し始める。そして、その手紙をきっかけに老紳士と出会った少女の人生は少しずつ変わり始め、やがて祝福を与える才能を見つけ、多くの課題が立ちはだかる現実に向き合っていく。本編に登場する珠玉の“言葉”の数々が、人を思いやる優しい気持ちに変えていく感動のヒューマン・ドラマ!老紳士サム役のバーニー・ダイヤモンドは本作完成後、89歳で逝去。彼の遺作となった感動の1作。(C)2012 BYUtv/Mirror Films