Oi!Oi!Oi!
(The Larks ”Maggie Maggie Maggie (Out Out Out)”)
原題も「Dream Horse」
ウェールズの田舎の主婦が
村人から週10ポンド(約1600円)の出費を募り
競走馬ドリームアライアンス(夢の連合)を育成する物語
見る前から結末はわかっているのですが(笑)
一丸となって応援するのが微笑ましいし
レースシーンは緊張、勝てば感動する
それに出産から育てたら、わが子も同然
離れて暮らすことになれば寂しいし
怪我をしたら自分の身が裂けるくらい辛いのもわかる
そして、美談だけというわけにはいかないんですね(笑)
ト二・コレット演じるヒロインはかなりクセが強いし
(スーパーの雑誌のページ破くのは最低)
欲が出たオーナーたちと対立するようにもなります
奇跡的に運の強い馬に出会えてよかった
だから映画にもなったんですけど(笑)
サウスウェールズの「谷 」と呼ばれる地域で生まれ育った主婦ジャンは
早朝からスーパーで働き、昼は両親の介助
夜はバーテンダーとして働いています
ふたりの子どもはすでに自立して家を出ており
夫のブライアンは無気力で妻には無関心
テレビを見てテレビに話しかけています
ジャンはかってレース鳩やドッグレースで優勝したことを
夢中になれることがあった事を懐かしく思い出します
いつものようにジャンがパブでビールを注いでいると
税理士のハワードの競馬の話に興味を持ち
自分も牝馬を買い、種付けをした仔馬を
競走馬に育てることを思いつきます
最初は夫もハワードも冗談かと思いましたが
ジャンはチラシを配り共同馬主を募集
集まった23人から出資金を集め組合を作ります
300ポンドで肌馬(繁殖用の牝馬)を買い
老後の資金3000ポンドで(アメリカのレースで実際に活躍した)
ビエンビエンに種付けをしてもらいます
無事妊娠に成功、元気な仔馬が生まれましたが
母馬は死んでしまいます
ジャンとブライアンは仔馬を大切に育て
馬主たちと協議の末ドリームアライアンスと名付けられました
ジャンとブライアンの夫婦仲はとっくに醒めていたけれど
彼らには動物好きという共通のところがあったんですね
ドリームを育てることで、夫婦の絆も取り戻して行きます
3歳になったドリームは(押しかけ同然で)調教のため
ウェールズで一番有名なトレーナー、ホッブスに預けられます
そしてついにデビュー戦の日がやってきた
馬主たちはお祭り騒ぎ、バスに乗って応援に行きます
イギリスの競馬場って、ホントお金持ちのたしなみという感じで
「谷」から来た田舎者は浮きまくり
しかもドリームがスタートラインにもまともに立てず
出遅れてしまい皆の笑いもの、ダントツのビリ
しかしそこからが凄かった
どんどん距離を詰め4着でゴール、一同は大喜び
やがてドリームは3着2着と成績を上げていき
地元の新聞の紙面を飾るようになります
ついには大馬主エイブリー卿の本命馬を負かし優勝
組合の資金は10万ポンドを超えました
エイブリー卿がドリームを買いたいと申し出ると
ジャンはどんな大金を積まれても売らないと頑なに断り
馬主たちから勝手に決めるなと批判されてしまいます
しかも次のレースでドリームが転倒
脚の腱を怪我してしまいます
安楽死させるか、治療するか
治療した場合組合の資金10万ポンドは全てなくなってしまいます
しかも治る保証はありません
出費した人間なら、あの時エイブリー卿に売っていれば
と内心思ったと思うんですね
でもジャンにとってはミルクから与え育てた子どもなんです
お金のためだけじゃない
ドリームは夢で希望、生き甲斐なのです
レースに出れなくなっても、殺すことなんて出来ない
ジャンはドリームを救うため馬主たちを説得
ドリームは殺処分を免れ手術することになります
ドリームのレースがなくなり、皆は田舎のなんの刺激もない
今までの生活に戻るしかありませんでした
そんな中、ジャンの父親が亡くなり
そっけなかった彼の遺品から大量のドリームの新聞記事や
初めてドックレースで優勝した時の写真を見つけます
父親に愛されていたことを知り慟哭するジャン
ハワードはなんとかドリームの怪我を治したいと検索していました
そして幹細胞治療が有効であることを知ります
それは身体の他所から取り出した細胞から
損傷した組織を体内で再生させる方法で
日本ではこの治療法でカネヒキリ号が右前浅屈腱炎を克服し復帰
大レースで勝った事例があります
数か月後、ホッブスから連絡を受けたハワードは
ジャンとドリームに会いに行きます
ホッブスは傷は完治し、ドリームをウェールズグランドナショナルに参戦させたいが
大怪我の後なのでジャンにどうするか訊ねます
さすがに今回はブライアンとハワードに説得され
共同馬主たちと相談することになるわけですが
ドリームがまた怪我をしたらどうしようと
レースに出すことが不安でならないジャン
しかし馬主たちはレースに出すべきと強調します
(そのために高い治療費を払った)
ブライアンは覚悟を決めることが出来ないジャンに
「何よりドリームが走りたがっている」のだと伝えます
ドリームの復活戦は(2009年)グランドナショナルという大舞台
怪我は大丈夫か、また転倒したらどうしよう
手に汗握る馬たちのデッドヒート
興奮しているのは、馬主たちだけじゃない
会場の観客、「谷」の村人たち、テレビの前のみんな
これが競馬なのか(笑)
そしてドリームの勝利
ラストにはウェールズの国旗と国歌(のメロディ)まで覚えるわ(笑)
ドリームは全30レース、138,646ポンドの賞金を獲得
すべてのトレーニング代、手術や獣医を含む費用が支払われた後
23人の馬主はそれぞれ1430ポンド(約22万5千円)の利益を得ました
それこそ「胸の高鳴り」を得たという感じですね(笑)
2012年、ドリーム(肺の悪化で)引退
その後はサマセット(イングランド南西部の州)の牧場で
余生を過ごしているそうです
そこはお父さんはビエンビエン
おじいちゃんはマニラ(アメリカの殿堂入り競走馬らしい)
種馬にならなかったの?と疑問に思うわけですが
ドリームは(牡馬を穏やかで行儀よくするための)去勢馬にされたんですね
なるほど、それを知るとレースの展開も見えてきます
(そんなことまで調べるから、オマエはブログを書くのに時間がかかるんだ)
過去のレビューでも何度も言っていますが(笑)
私にとって馬は世界で一番美しい動物
ダイナミックなレース(どう撮影したんだ?)に
サッカーワールドカップで優勝したくらいのお祭り騒ぎ
音楽のチョイスもいい
今年の目標は、劇場で10本以上映画を見ること
(目標が映画レビュアーとはいえない控えめさ 笑)
今年最初の映画は「アバター」と迷ったのですが(笑)
ドリーム、サクセス、新たな挑戦、そして実話
見て好かったです
実際のドリームと騎手トム・オブライエン
【解説】映画.COMより
イギリス・ウェールズを舞台に、片田舎の小さなコミュニティで育てた競走馬が最高峰のレースに挑んだ実話をもとに描いたヒューマンドラマ。
ウェールズの谷あいにある小さな村。無気力な夫と暮らすジャンは、パートと親の介護だけの単調な毎日に飽き飽きしていた。そんなある日、クラブで共同馬主の話を聞いた彼女は強く興味をもち、競走馬の飼育を決意。勝ったことはないが血統の良い牝馬を貯金をはたいて購入し、飼育資金を集めるため村の人々に馬主組合の結成を呼びかける。産まれた子馬は「ドリームアライアンス(夢の同盟)」と名付けられ、奇跡的にレースを勝ち進んで村の人々の人生にも変化をもたらしていく。
主人公ジャンを「ヘレディタリー 継承」のトニ・コレット、夫をドラマ「HOMELAND」のダミアン・ルイスが演じた。