ゴールデン・リバー(2018)



またもや邦題の罠
しかも予告から、キャッチコピーまで違う内容を想像させるもの
配給元は映画ファンにケンカを売っているのか?

は、とにかく(笑)
原題は「TheSistersBrothers」(シスターズ兄弟)



フランス人の監督が撮ると西部劇もこうなるのか
ただのアクションやサスペンスでは終わらない
ジャック・オーディアールが大学では哲学を専攻していたというのも頷けます

しかも監督がいいと、俳優たちがさらににいい演技をする
それぞれの個性的なキャラクターに感情移入できました




1851年、オレゴン
イーライ(ジョン・C・ライリー)と弟のチャーリー(ホアキン・フェニックス)
シスターズ兄弟はあたり一帯を取り仕切る提督に雇われた殺し屋でした
そして提督は頭のいい兄よりも、無鉄砲だけど度胸のある弟のほうを
信頼していました

ブラザーズに与えられた新たな仕事は
連絡係のモリス(ジェイク・ギレンホール)が捜し出した
ウォーム(リズ・アーメッド)という男を始末するため旅に出ます




兄のイーライの純粋さがすごく伝わってきて(笑)
女性からもらった赤いショールを大切にしていてそっと匂いを嗅ぐ
説明書を読みながらはじめての歯磨き(香りフェチなのだろう)

自ら駄馬と呼んでいた馬が熊に襲われ怪我をしてしまい
次第に弱ってきても、大切に思い必死に看病する



普通なら銃殺して新しい馬に取り換えるところでしょう
でもそうしない

彼が馬鹿な弟を決して見捨てないのも、それと同じ
どんな出来損ないでも、長い間一緒にいた弟なのです



こういうクズっぷりをやらせると
見ているだけでイラっと来ます(笑)

一方旅の先を行くモリスは、ウォームの人柄に魅かれていきます
水中にある金を簡単に見つけれる化学式を発明したというウォーム
それは金儲けのためじゃない
民主主義の理想郷をつくるための資金作りだと言うのです



提督も、途中立ち寄った街の権力者メイフィールドも
金を見つけるその化学式がどうしても欲しい

メイフィールドの雇った追っ手から、ふたりを助けたブラザーズ
それから4人は意気投合し、ウォームが作った薬品によって
金を集めることに成功します



これぞアメリカン・ドリーム!
・・とはいきませんでした

またも弟が馬鹿をやってしまったのです
そして、多くのものを失ってしまいます



でもこれでよかったのです

もしこのまま続けたら
あっという間に噂は広がり、同じような薬品が作られ
世界中の川も、海も、汚染され、魚は死に
飲み水もなくなったことでしょう

いくら危険性を伝えても、やめろと言っても
欲に目がくらんだ人間を、止めることはできないのです



次に裏切り者のブラザーズを殺そうと
提督が雇った刺客が次々と現れるわけですが
実は射撃も、兄のほうがずっと上手かったのです
たったひとりで敵を倒していく

ブラザーズは提督とケリをつけるため屋敷に突入
そこにあったのは、棺桶に眠るやすらかな提督の死に顔でした
その死に顔だけにニエル・アレストリュプを使うという
究極の贅沢(笑)



ラストはハッピー・エンドのようだけれど
ブラザーズはこの先どうなるのだろう
人を殺して稼いだ金と、メイフィールドから盗んだ財産
そして大量のゴールド

やがて権力者となり、政治への道へと進む
私はそう思います

それがアメリ



【作品情報】MovieWalkerより

 75ヴェネチア国際映画賞で銀獅子賞(監督賞)に輝いた、巨匠ジャック・オーディアール監督によるサスペンスフルな西部劇。19世紀のオレゴンを舞台に、黄金に魅せられ、手を組むことになった4人の男たちの運命を描く。最強の殺し屋兄弟をジョン・C・ライリーとホアキン・フェニックスが演じるほか、ジェイク・ギレンホールら実力派キャストが顔を揃える。
1851年、ゴールドラッシュに沸くアメリカ、オレゴンのとある町。普通の平穏な暮らしに憧れる兄チャーリー(ジョン・C・ライリー)と裏社会でのし上がりたい弟イーライ(ホアキン・フェニックス)は、最強と呼ばれる凄腕の殺し屋“シスターズ兄弟”だった。あるとき、彼らの雇い主である提督から、連絡係モリス(ジェイク・ギレンホール)が捜し出すウォーム(リズ・アーメッド)という男を始末するよう依頼される。兄弟がサンフランシスコに南下しているころ、モリスは数キロ先のマートル・クリークでウォームを見つける。2日後、次の町ウルフ・クリークで、モリスはウォームから声をかけられる。うまい具合に話が進み、モリスはウォームと一緒にジャクソンビルへ砂金を採りに行くことになる。ウォームはモリスに、黄金を見分ける化学式を発見したと打ち明ける。だがジャクソンビルに到着すると、モリスの正体がばれてしまう。雇い主の目的は化学式を奪うことだと知ったモリスは、翌朝、ウォームと連れ立って逃げ出す。道中、ウォームは手に入れた黄金で理想の社会を創る計画を語る。その話に心酔したモリスは、父の遺産を資金に、その夢に加わることにする。メイフィールドまで来た兄弟は、その町に自分の名前をつけた権力者がウォームの化学式を奪おうと部下を放ったと聞き、モリスの裏切りに気づく。サンフランシスコで兄弟は二人の居場所を突き止めるが、二人に捕えられる。しかしメイフィールドの部下も現れ、兄弟の力を借りて彼らを撃退する。ウォームからの提案で、4人は手を組んで黄金を採ることに。だが、4人の思惑が交錯し……。