ジュリー&ジュリア(2009)

原題も「JULIE & JULIA

 

ジュリア・チャイルド(19122004)は1961年にフランス料理本

Mastering the Art of French Cooking

(フランス料理の芸術をマスターする)を発表し

62年にはテレビの料理ショーの司会者として活躍した

アメリカの有名な料理研究家

ジュリー・パウエル(1973~)はアメリカの人気料理ブロガーで

2005年にブログ本

Julie & Julia:365 Days524 Recipes 1 Tiny Apartment Kitchen

(ジュリーとジュリア:365524レシピ、1つの小さなアパートのキッチン)

を出版しベストセラーになりました

 

ジュリーは地方公務員として働く苦情処理のオペレーターで

学生時代のランチ友は今やセレブで自慢話ばかり

ストレスは溜まり、おまけにもうすぐ30歳になる不安でいっぱい

そんな彼女の趣味は料理することで

尊敬してやまない料理人はジュリア

彼女は決して失敗を恐れない(天然ともいう)

落とした食材ですら、笑ってごまかして使うキュートさ(プロなのに)

でも自称ADHDのジュリーは仕事でも料理でも

いちいち落ち込んだりキレたり八つ当たりしてしまう

そこで夫のエリックは料理ブログをやってはどうかと提案します

実際彼女の作る料理は美味しい

そこでジュリーは1年でジュリアの全524のレシピを作り

ブログにアップする計画を立てるのです

タイトルは「ジュリー/ジュリア プロジェクト」

 

食べるのが大好きなジュリアは

外交官の夫の仕事でパリに住むことになります

そこでフランス料理の魅力に憑りつかれ、なんとかマスターしたいと

料理学校「ル・コンドン・ブルー」に入学しようと考えます

「ル・コンドン・ブルー」は「麗しのサブリナ」(1954)で

自分磨きのためにオードリーが通う料理学校として有名ですね

実際はプロ育成のための本格的なフランス料理学校です

玉ねぎもまともに切れない外交官の奥さまは当然断られるわけですが

ジュリアそのバイタリティーで粘りに粘ってやっと入学(笑)

その後はメキメキと腕を挙げ

(当時は英語で書かれたフランス料理のレシピ本がなかった)

家庭で作る(助手が不用)本格フランス料理本を発表します

いくら家庭で作るフレンチといっても

高級な牛肉のフィレ肉やロブスター

入手困難な食材や調味料もあったと思うんですね

そのたびにジュリーは喜んだり、時には落ち込んでしまう

しかもこんなに頑張っても、誰がブログを見てくれるのだろう

優しい夫のエリックもさすがに付き合いきれなくなり

ついにアパートを出て行ってしまいます

ここまで頑張れたのもエリックの応援があってこそ

そして料理は自分だけのためじゃない、食べてくれる人のために作るもの

ジュリーは多いに反省しエリックに謝罪します

ジュリーのブログは徐々に読者が増え、やがて人気ブログに

ついにはニューヨークタイムズに記事が掲載され

その反響は大きく、多くの出版社から出版の依頼がきます

有頂天になるジュリー

 

しかし90歳になるジュリアを取材したという記者から

ジュリアがブログのことを不快に思っていると聞かされ

(ジュリアじゃなくても彼女の人間性はちょっと不快 笑)

再び落ち込んでしまうジュリー

それでもエリックの暖かい励ましにより

ついに524のレシピを作り上げることに成功するのです

 

これジュリーの立場や性格にスポットを当てるより

フランス料理の複雑さとか、高額な材料費を捻出する手段とか

盛り付けの難しさ(食器を含む)という挑戦への無謀さを

仕事を持つ主婦目線で現わしたほうが

ずっと面白くなったと思うんですよね

 

結局作ることだけを目標にしてしまって

料理を美味しく味わったり、楽しむことが出来なくなってしまった

あげくの果てには2回も作った牛肉の煮込み料理を食べてさえいない(笑)

ただ、モチベーションを保つ手段として

ブログに記録を残すことには共感できますし(笑)

それを誰かが参考にしてくれたら、やはり嬉しい


料理ドラマとしてではなく

過去と現在2組の夫婦愛(というか夫)の物語だと思って見れば

それなりに満足できたかもしれません

 

 

【解説】allcinema より

およそ50年前にフランス料理を一般の家庭に紹介し、アメリカの食卓に一大革命をもたらした伝説の料理研究家ジュリア・チャイルドと、彼女の料理本に登場する524レシピを1年にわたって毎日作り続けブログに綴ることを決意した現代のOLジュリー・パウエル。そんな2人の実話を基に、悩める2人の女性の人生が料理を媒介に時を越えて重なり合うさまをハートフルに描く女性ドラマ。主演は「ダウト ~あるカトリック学校で~」に続いての共演となる「マンマ・ミーア!」のメリル・ストリープと「魔法にかけられて」のエイミー・アダムス。監督は「めぐり逢えたら」「ユー・ガット・メール」のノーラ・エフロン
 1949年。外交官の夫ポールと共にパリにやって来たアメリカ人主婦、ジュリア・チャイルド。天真爛漫で食べることが好きな彼女はフランス料理に魅了され、名門ル・コルドン・ブルーに通い始める。やがてフランス料理のレシピ本執筆に情熱を注いでいく──。現代のニューヨーク。作家になる夢を持ちながらも現状に満たされないものを感じ、何かを変えたいと思っているOL、ジュリー・パウエル。彼女は、ひょんなことから料理ブログを思い立ち、その中でジュリアの524レシピを365日ですべて作り上げることを決意する。理解ある夫エリックの協力もあり、最初は順調に進んでいくかに思われたジュリーだったが…。