真実(2019)

2011年に是枝裕和ジュリエット・ビノシュから

「何か一緒に映画を撮りませんか?」と誘われたのがきっかけ

そりゃあ断れませんよね(笑)

8年の構想をかけカトリーヌ・ドヌーヴを迎えて製作した

日仏合作映画

が、大女優カトリーヌ・ドヌーヴ

是枝監督が「毒舌家でわがまま」と評するくらい

遅刻はする、台詞は覚えてこない

初めて開けた台本で「ここはこう演じたいんだけどいいかしら」と

注文をつけてくる(笑)

監督はかなり苦労したようです

(それでこれだけ演技できるんだからな)

おがげでイーサン・ホークは、カトリーヌ・ドヌーヴ

ジュリエット・ビノシュの貫禄のせいで存在感薄し

もはや飼い犬にしか見えない(笑)

 

テーマが「家族」は、いつもの是枝だけど

出来としては小品の枠に留まった印象

これだけの大スターを集めたのに

いちいち台詞での説明が多いのも、音声解説じゃないんだから

見ればわかるって(笑)

フランスの老大女優ファビエンヌ

「真実」というタイトルの自伝本を出し

ニューヨークで脚本家をしている娘のリュミールは

テレビ俳優で夫ハンクと娘のシャルロットを連れて

お祝いのためパリの実家に帰ってきます

しかし本を読んだ娘は、何よこれ全部嘘じゃない

私の面倒なんかみたこともないと怒るわけですが

母親は女優だから真実は語らない

真実か嘘かなんてどうでもいいと

あっけらかんとしています

 

女優じゃなくても自分の記憶のなかの真実なんて

あてにはならないですけどね(笑)

でもファビエンヌ「大した映画じゃない」と言う

新作のSF映画の撮影に同行するうち

ファビエンヌにもリュミールにも心の変化が現れます

 

そこでは共演の若い女優マノン

天才女優(でリュミールの代母)だったサラの再来と評されていました

そのサラは昔ファビエンヌが監督と寝て主役の座を獲得したとき

海で溺死していました(自殺か事故かは不明)

サラを親っていたリュミールはファビエンヌがサラを殺したと思っています

ファビエンヌは、死んだサラに対する嫉妬と罪悪感を抱えていて

そのライバル心が今はマノンに向かっていました

しかし演技を重ねるうち自分の未熟さに気付き

永遠に若い母親と年老いた娘を演じている)

次第にマノンをことを認めていくようになります

とにかく普段は気が強くて我儘なんですけど

(大きな陸亀に前夫の名前をつけている)

秘書が本当に出て行ったら弱気になってしまったり

孤独で酒に溺れたり

実は幼い頃のリュミールのことを思っていてくれたり

母の繊細さを感じ取ったリュミールも

母を許し打ち解けていくようになります

ふたりは家にマノンを招待し

サラのワンピースをプレゼントします

そして「サラの再来」と呼ばれることにプレッシャーを感じ

苦しんでいる彼女を励ますのでした

 

いちばんしっかりしているように見えるのが

女優を夢見る孫のシャルロット

ファビエンヌにリスペクトされているんですね(笑)

真実と嘘、陸亀とおじいちゃん、偽物の世界にも適応している

しかもラストの台詞が「これって真実?」

(この子役がまた生意気だったらしい 笑)

全体的にキャストのアクの強さに比べて

ストーリーが弱いため不完全燃焼感が拭えない

でもそんな是枝監督を労うかのような秘書役がいい

メダルをもらって当然だね(笑)

 

ちなみにこの映画を見た人の多くはカトリーヌ・ドヌーヴ

是枝作品の樹木希林に例えていますけど

私にはどうやってもデヴィ夫人にしか見えませんでした(笑)

 

【解説】allcinema より

 前作「万引き家族」がカンヌ国際映画祭パルムドールに輝いた是枝裕和監督が、フランスを代表する女優カトリーヌ・ドヌーヴを主演に迎え、日仏合作で撮り上げた家族ドラマ。国民的大女優とその娘が、母の自伝本出版をきっかけに、改めて自分たちの過去と向き合っていく愛憎の行方を繊細かつ軽妙な筆致で綴る。共演はジュリエット・ビノシュイーサン・ホークリュディヴィーヌ・サニエ
 フランスの国民的大女優ファビエンヌが、『真実』という名の自伝本を出版することに。海外で脚本家として活躍している娘のリュミールは、人気テレビ俳優の夫ハンクと娘のシャルロットを伴い、パリ郊外のファビエンヌの屋敷を訪ねる。お祝いの名目でやって来たリュミールだったが、気がかりなのは本の中身。事前に原稿チェックができなかった彼女は、さっそく出来上がったばかりの『真実』に目を通す。翌朝、リュミールが苛立ち紛れに内容のデタラメぶりを非難すると、“真実なんて退屈なだけ”と平然と言い放つファビエンヌだったが…。