ディナーラッシュ(2001)

「復讐と美味い料理は後を引く」
「後味も別格」

 

原題も「DINNER RUSH」(夕食のピークタイム、書き入れ時のこと)

NYトライベッカにある人気トラットリアで起こる

グランド・ホテル形式群像劇

作風やオチはクエンティン・タランティーノ風ですが

クドさやアクの強さは控えめ(笑)

群像劇といえば登場人物の多さと

繰り返しのシーンが多いのが特徴ですが

100分足らずなので飽きる前に見終わることもできます(笑)

NY4ツ星トラットリア(イタリアンレストラン)

「ジジーノ」のオーナー(で賭博の胴元)

ルイの相棒エンリコが孫娘のお迎えの帰りギャングに射殺されます

一転して、大繁盛する「ジジーノ」厨房

切れの悪い包丁を使調理人に

厨房は落伍者の逃げ場じゃない」とクビにしてしまう

〝いかにも〟シェフ(調理長)ウード

父親でオーナーのルイから店を譲り受けたいと思っていますが

ルイは評論家が絶賛する小洒落たイタリアンより

昔ながらのいわゆるお袋の味が好き

スーシェフ(副調理長)のダンカンを可愛がります

ウードもダンカンの腕を認め調理場をまかせているものの

ダンカンはギャンブル中毒で借金まみれ

その日のディナーラッシュでも多額な賭けをしてしまい

ラジオの中継に夢中で調理どころではありません

そこにクィーンズ地区で幅をきかせるギャングの

(エンリコを殺した)ブラック&ブルー兄弟が

ダンカンの借金を取り立てようと乗り込んできます

しかもトラットリアまで乗っ取ろうと企んでいます

トライベッカはリトルイタリーと呼ばれる

イタリア系移民が暮らす区画に隣接しているらしく

店を経営にギャングが絡んでくることも

リアルにあるのかも知れませんね

客あしらいのいい博識のバーテンダー

小銭を賭け客の出した難問に答えています

そのカウンターに長い時間座って酒を飲み続ける証券マンの男と

やがてやって来る娼婦風の女

テーブルには嫌味な老画商フィッツジェラルド

話題の新人アーティストを連れて来ては自慢しています

自らの絵を店に飾っているウェイトレスマルティ

「名刺を渡すよ」と言うフィッツジェラルド
「名刺よりチップをください」と返すのは痛快なシーン

別のテーブルにはカツラをかぶって来た(変装)
有名な料理評論家ジェニファーと友人の女性記者
ウードは店を繁盛させるためジェニファーと寝ています

 

娘が寝る時間だからと、早々に帰ろうとするのは
亡くなったエンリコの娘ナタリー
父が殺されたことでルイを恨んでいます
ルイはナタリーに我々はギャングではない
自分もエンリコも拳銃は持ったことはないし
その証拠に復讐もしていないとナタリーに説明します

ナタリーが帰った後ルイが電話すると
娘を寝かしつけたナタリーは、コーヒーを淹れるから
アーモンドチョコケーキ―を持って会いに来てとルイを誘います

遅れてやって来たのはドルリー刑事とその妻
予約3ケ月待ちの人気レストランにルイが招待したのです
これはなにかあると察したドルリー刑事
奥さんはめったにない外食だから仕事のことは忘れてと
夫に釘を打ちます

ホールのリーダーは中国系のニコーレ
過去にウードと関係を持った事あり、今はダンカンの恋人
賭けに負けたダンカンを路上でエチして励まします
おかげで仕事を投げ出し逃げようとしたダンカンは厨房に戻ります(笑)

ルイはダンカンに賭博から足を洗うように忠告して
ダンカンが負けた16000ドルを
ブラック&ブルー兄弟に返すようにと渡します
次にウードを呼び、店の経営を譲る約束をします
ブラック&ブルー兄弟が階段下にあるトイレにレイを呼ぶと
レイの会計士が階段に立ちふさがりました
ドルリー刑事の奥さんはトイレに入れずカンカン

トイレではカウンターの証券マンが用を足していました
その時ブラック&ブルー兄弟のデブの兄貴のほうが入って来て
証券マンはすかさずデブを撃ち殺し
次にトイレのドアの前にいた弟を撃ち殺し
16000ドル入った封筒を弟の内ポケットから抜くのでした
アンタ、殺し屋だったんかい(笑)

すぐにドルリー刑事が店から誰も出さないように指示しますが
レイと会計士と証券マンはすでに店を出た後でした
私たちが本当に好きなのは「したたか者」なのかも知れません(笑)

料理評論家はウードに
殺人事件がおきた店は繁盛するから(アメリカではそうなんかい)
しばらくは安泰ねと太鼓判を押すのでした

日本人にしてみると「その手で食材触るんかい」

「そのまな板で切るんかい」な瞬間も多々あるんですけど(笑)

撮影で使われた「ジジーノ」は実在するトラットリアで
ボブ・ジラルディ監督がオーナーのひとりということ
こちらも映画の影響で繁盛したかも知れませんね
(商売上手だ 笑)

 

 

【解説】allcinema より

ニューヨークの人気レストランを舞台に繰り広げられる様々な人間模様に殺人事件を絡め、一夜の出来事としてスリリングに描いた痛快なサスペンス・ドラマ。監督は数々のミュージックビデオやCMを手掛けてきたボブ・ジラルディ。監督自身がニューヨークに所有する実在のレストラン“ジジーノ”を使用して撮影を行い、戦場のごとき厨房の雰囲気を臨場感たっぷりに再現。主演はベテランのダニー・アイエロと注目の若手俳優エドアルド・バレリーニ。
 冬のニューヨーク、トライベッカ。イタリアン・レストラン“ジジーノ”のオーナー、ルイスは、長年のビジネスパートナー、エンリコがギャングに殺害されたことを知り気分が滅入っていた。もう一つルイスを悩ませていたのは、彼の息子ウードの存在。イタリア帰りのこのチーフ・シェフは、ルイスの反対を押し切り、伝統的な家庭料理で街の人々に愛されてきたこの店を、おしゃれな人々が集うトレンディ・レストランへと変えてしまったのだった。やがて日が沈み、今日もまた厨房もフロアも様々な思惑が錯綜する<ディナーラッシュ>の時間がやって来た。しかし、今日はいつもとどこか様子が違っていた……。
 CM仕込み(?)の軽妙で洗練された映像(特に配慮の行き届いた照明が素晴らしい)が心地いい。そして、クールな眼差しが印象的なエドアルド・バレリーニはこの作品で女性ファンのハートを掴むことだろう。厨房の臨場感は申し分なかったのだが、素早い包丁さばきなど料理人の華麗な指先が思いのほか映像としてフィーチャーされていなかったのは唯一残念な点か。それでも、ファミリーをなによりも大事にするイタリア系ならではの結末は最高のカタルシスをもたらしてくれる。硬軟織り交ぜて語られるレストラン“ジジーノ”の一夜は、まさに Oh, What a Night