インビジブル・ゲスト 悪魔の証明(2016)

 

原題は「Contratiempo」(不慮の出来事)

英題の「The Invisible Guest」は「見えない(透明な)客」という意味

 

噂通り見事なプロットでした

いわゆるネタバレ禁止などんでん返し系で

どれくらい禁止かというと

ユージュアル・サスペクツ(1995)くらいといえばわかりやすい(笑)

とにかく最後まで種明かしを知らないことが肝心

気になる方はこの先は読まず、amazonプライムビデオへGO(笑)

不倫相手の写真家ローラ・ビダルバルバラ・レニー)殺害の容疑で逮捕され

保釈中の実業家、エイドリアン・ドリア(マリオ・カサス)のところにやって来た

法廷戦略の専門家のグッドマン(アナ・ワグナー)

つまり依頼人がたとえ有罪であても無罪に持ち込むプロ

検察側が新たな証人を見つけたという知せを受けて

弁護士のレイヴァ(フランチェスク・オレラ)から

彼を無罪にするため雇われたたのです

証人が裁判官に証言する前に、弁護を考える猶予は3時間しかないと

グッドマンはすべての真実を話すようドリアに促します

 

ドリアはすでに不倫関係を終わらせローラから

10万ユーロを持って田舎のホテルに来るよう頼まれ

ホテルの部屋に到着したとたん何者かに殴られ意識を失い

目が覚めるとローラがバスルームで死んでいたと言います

しかしドア中から施錠された密室殺人事件

警察はドリアを容疑者として現行犯逮捕

ドリアは無実を訴ますが

グッドマンは消息不明になった若者の記事が載った新聞を差し出すと

出廷する証人がその若者が運転していた車の事故の現場に遭遇した

「車の男」であることをドリアに伝え、その事故について追及します

ドリアはローラとの不倫旅行からバルセロナに戻る途中

近道をしようとした山道で鹿を避けようとして

若者が運転していた車に衝突してしまいます

ローラから事故を隠蔽しようと言われたドリアは

(そのとき通りがかったのが「車の男」)

トランクに若者を乗せたあと車を湖に沈め

車が動かなくなり立ち往生していたローラは

地元に住む元整備士のトマス・ガリという男に助けられ

トマスの家で車を修理してもらうことになります

そこでトマスの妻エルビラから、もうすぐ帰ってくるという息子

ダニエルの写真を見せてもらうと、それは事故で死んだ若者でした

動揺を隠せないローラは車が直ると礼も言わず逃げるように去り

トマスはローラのことを不審に思います

その後ふたりは車が盗まれたことにし、スクラップにして証拠隠滅すると

2度と会わないことを誓いそれぞれの家庭に戻ります

それから順調にドリアの仕事は成功

トマスが車のナンバーを警察に報告し、持ち主のドリアは召喚されたものの

弁護士のフェリックスが(お金の力で)アリバイをでっち上げ

警察のファイルからドリアの名前を削除することにも成功します

ダニエルが勤務先の銀行からお金を横領し逃亡中だというニュースが報じられると

ドリアはローラに電話し(防犯カメラに姿が写っていた)対峙すると

ローラは夫が持つ銀行グループのUSBと、ダニエルから盗んだIDを使い

ダニエルの口座にお金を振り込んだことを打ち明け

ドリアも共犯だと脅迫します

ドリアが出席したパーティに記者を装い現れたトマスは

車を修理するときに見たライターで車の持ち主がドリアだと確信)

ドリアに息子は横領などしていない、すでに死んでいると思っている

せめて埋葬するために遺体の場所だけでも教えてほしいと懇願しますが

トマスはそのせいでドリアに二度と面会出来なくなり

ストーカー規制法のようなもの?)そのまま姿を消してしまいます

その数日後、ドリアは10万ユーロを持って田舎のホテルに来るよう

ローラからメールを受け取ります

しかしローラもそのホテルに呼び出されていたことを知ります

罠だと知った時ドリアは殴られ、ローラは死んでいました

逮捕されたあと、そのホテルの管理人はダニエルの母親で

ドリアを殴ったのはトマスだったことに気がつきます

だから犯人が(冬場は鍵が外される窓の鍵を開け)

密室から逃げることが可能だったのだと

それがドリアの語った真実

そしてここから伏線が回収されていきます

グッドマンは、事故を起こし車を沈め死体遺棄したのは

ローラの単独犯行だとし、あなたも犠牲者だと陪審に思わせる

しかし死体がないと陪審を説得できない、と説明します

「沈めた場所は?」

「ここだよ」とグッドマンに渡されたペンで地図に×印をつけるドリア

さらに「車を沈める時、若者は生きていた」ことを告白します

「なんてことを 殺人ですよ」と動揺するグッドマン

「抗弁を考えろ」というドリアにグッドマンは

もしローラの単独犯行ではなく、「あなた」の単独犯行だったら

という仮説を立てます

事故を隠蔽しようとしたのも、ダニエルの口座に不正に入金したのも

ローラでなく、「あなた」が仕組んだのだとしたら?

良心の呵責に苛まれたローラは、ダニエルの両親に全て打ち明けることを決意

ダニエルの母親が勤めるホテルで会う約束をし

ドリアにお金を用意させたのはせめてもの償いのため

だけど「あなた」はシラを切り、あらゆる手段で証人を買収し証拠を隠滅する

向かいの建物の窓からずっと監視している男は、若者の父親よ

陪審を納得させるため、もう一度洗い直しをしましょうというグッドマンに

ついに自首しようとしたローラを殺害したことをドリアが認めると

休憩だと、飲み物を買いに部屋を出るグッドマン

ストップウォッチ

インクの染み出たペン

コンタクトレンズ

元女優

チャイムとドアの向こうに立つ銀髪の女性

「グッドマンです」

本物のグッドマンのスケジュールや

警察しかわからないような監視カメラの情報まで知っているのは

さすがに都合よすぎではありますが(笑)

 

怒れる母親ほど怖いもの知らずな者はいない

しかも「40歳でできた息子」が行方不明になってしまうというだけで

私なんか堪えられないものがありましたね

せめて埋葬したいという両親の願いが叶っただけでも、よかったです



 

【解説】映画.COMより

密室殺人の容疑者とその弁護人が「悪魔の証明」(=存在しない事実の証明)を成し遂げて無罪を勝ち取ろうとする姿を描いたスペイン製サスペンス。殺人容疑で起訴された実業家ドリアのもとに、敏腕弁護人グッドマンが訪ねてくる。彼らは3時間後に開始される裁判までに反証の準備をしなければならず、事件の再検証を進めていく。ドリアは不倫相手ローラとの密会中に、事故でダニエルという青年を死なせてしまっていた。死体を湖に沈めて隠蔽を図ったものの、ダニエルの父親はドリアを疑ってつきまとうように。その後、ドリアとローラは山奥のホテルに誘い出され、密室でローラが殺害されたのだった。ドリアが圧倒的に不利な状況にも関わらず、グッドマンはドリアを無罪にできると言うが……。「スガラムルディの魔女」のマリオ・カサスが主演。「ロスト・ボディ」のオリオル・パウロが監督・脚本を手掛けた。シネマート新宿、シネマート心斎橋で開催の「シネ・エスパニョーラ2017」上映作品。

2016年製作/106分/スペイン
原題または英題:Contratiempo
配給:「シネ・エスパニョーラ2017」上映委員会