雨の日は会えない、晴れた日は君を想う(2015)

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「愛はありました おろそかにしてただけで」

 

原題は「DEMOLITION」(解体)

邦題は車のサンバイザーの内側に貼られていた

死んだ妻からの付箋に書かれていたメッセージ

雨の日は気づかない

晴れた日は(眩しくてサンバイザーを降ろすから)

愛してる”という想いに気がつく

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デイヴィス(ジェイク・ジレンホール)

妻の父親(クリス・クーパー)が経営する

投資会社に務めるエリートサラリーマン

 

妻のジュリアが運転する車で通勤中追突事故に遭い

意識を取り戻した病院で、ジュリアが死んだと知らされます

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そこでデイヴィスがしようとしたことは

病院の自販機でm&m’sを買うこと

しかし自販機の不具合でチョコレートがケースに引っ掛かかってしまい

チョコレートを食べることが出来なかったデイヴィスは

自販機会社に苦情の手紙を送ることにしますが

 

その手紙に書かれた内容は、自分の仕事や通勤電車で一緒になる人のこと

妻との出会いから結婚、妻の死までが事細かく綴られていました

するとある日、自販機会社の顧客係カレン(ナオミ・ワッツ)と名乗る女性から

「手紙に泣いた」という電話が来て、そこからやりとりが始まります

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やがてカレンにどうしようもなく会いたくなったデイヴィスは

自販機の会社や、電車で定期購入の雑誌を忘れた女性(カレン)の

家まで押しかけていきます

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一方で、突然何かを解体したい衝動を抑えきれない

最初は冷蔵庫、妻の実家のランプ、会社のトイレのドアやパソコン・・

解体業者に、どうにか手伝わせてくれと談判し

カレンの息子クリスと、自分の家までぶっ壊す

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最初は妻の死が原因だろうと

誰もが同情したデイヴィスのサイコパス化だけど

 

義父の「お前が代わりに死ねば良かった」や

義母の(不倫で中絶した子を)「産めば良かった」という

家族を失った人間の本心の捨てゼリフに

デイヴィスは傷つき考える

 

ジュリアを「愛していなかった」のかと悩むデイヴィス

そしてジュリアも自分を愛していなかったのか

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自分の居場所がカレンとクリスの住む家しかなくなったとき

デイヴィスは出張から帰ったカレンの恋人に見つかりボコボコに殴られ

時を同じくしてゲイがばれたクリスは、6人の若者から袋叩きにされて

瀕死の重傷を負ってしまいます

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誰もが不器用で、精神的に深く苦しみ

自ずから、心も身体も傷つけてしまう行動をしてしまう

なぜなんだろう

 

そんなとき、サンバイザーの裏に貼った

ジュリアの残したメモが見つかります

「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」

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妻は僕を愛していてくれていて

誰よりも僕を理解していたんだ

デイヴィスは義父に投資を持ち掛けます

それは亡き妻が愛した海辺に

メリーゴーランドのある遊園地を作ることでした

 

雨”と”晴れ”はデイヴィスの二極性な性格のことなのでしょう

几帳面に体毛を剃っていた男が、髭ぼうぼうになる

クールな男が、突然ハイになる

自分でも気付かなかった極端な人格の変化を

妻は見破り、見守っていてくれたのです

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義父だって、最後までデイヴィスを見捨てなかった

交通事故の加害者も、決して悪人ではない

 

見えないやさしさ

そしてラストの、ダウン症の子どもたちへのフォーカス

 

ジュリアが中絶した赤ちゃんは、本当はデイヴィスの子だったけど

何かしら重度の障害が見つかり、医者から中絶を勧められ

 

デイヴィスを傷つけたくない、またはデイヴィスの障害を隠すため

母親に「不倫して妊娠した」と嘘をついて(手術に家族の同意書が必要)

病院に付き添ってもらったのではないだろうか

(オマエの妄想力は相変わらずスゴイな 笑)

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どんな障害や、失敗や、過去があったとしても

幸せを感じる瞬間は、誰にだってあっていいはず

ただ、ここまで引っ張って、ラストがファンタジーすぎ

 

相手はジェイク・ギレンホール(笑)

古い回転木馬や、リアルなダウン症児の姿を見せたほうが

絶対バランスいいし、もっと感極まった気がします

これは夢じゃない、壊れそうでも生きている者(物)なのだから

 

 

【解説】「ダラス・バイヤーズクラブ」「わたしに会うまでの1600キロ」のジャン=マルク・ヴァレ監督がジェイク・ギレンホールを主演に迎え、妻の突然の死で心が壊れ、ふとしたきっかけから破壊衝動を抑えられなくなった男の再生への道のりを見つめたヒューマン・ドラマ。共演はナオミ・ワッツクリス・クーパー
 エリート銀行員のデイヴィスは、いつものように妻の運転する車で会社へ向かう途中で事故に遭い、自分は助かったものの、妻を失ってしまう。しかし彼は涙が出ないどころか、悲しみすら感じていない自分に気づいてしまう。彼女を本当に愛していたのか分からなくなってしまったデイヴィス。やがて“心の修理も車の修理も同じだ、まず分解して隅々まで点検し、再び組み立て直せ”との義父の言葉が引き金となり、彼は身の回りのあらゆる物を破壊し始める。一方で、自動販売機から商品が出てこなかったと苦情の手紙を会社に送ったことがきっかけで、苦情処理係のシングルマザー、カレンと知り合い、彼女と息子のクリスと交流を持つようになるデイヴィスだったが…。