原題は「TheOldMan and theGun 」(老人と銃)
ヘミングウェイの「TheOldMan and theSea」(老人と海)にかけてます
ロバート・レッドフォード最後の主演作
「この映画はほとんど実話である」のオープニング字幕は
「明日に向って撃て!」(1969)と同じ(笑)
監督のデヴィッド・ロウリーは、編集技師だったというだけあって
見せ方をよく知っている
ものすごい傑作とか、大作ではないけれど
レッドフォードがレッドフォードとして引退するのにふさわしく
温かいものが込み上げてきて
まだ死んでもいないのに、泣きそうになった(笑)
老紳士が、銀行窓口で鞄を出し
そっと銃を見せて、やさしく現金を詰めるよう要求
鞄を受け取った老紳士は何事もなかったかのように去り
走り出した白い車が、青い車に代わる
ロバート・レッドフォード演じる主犯格は
伝説の銀行強盗フォレスト・タッカー(1920〜2004)
仲間は刑務所で知り合ったテディ(ダニー・グローヴァー)と
ウォラー(トム・ウェイツ)
もしかして映画界は今、「枯れ専」のために
動いているのかも知れない(笑)
逃亡中タッカーはトラックが故障した牧場主の未亡人
ジュエル(シシー・スペイセク)を助け
お互い心惹かれるものを感じます
一方で地方の銀行を襲う老齢の犯人に注目した
ジョン刑事(ケイシー・アフレック)が捜査に乗り出すますが
最後の大仕事にと金塊強盗に成功した3人の捜査はFBIに渡り
ジョン刑事は外されてしまいます
しかし彼のもとに送られた一枚の古い写真が
犯人がフォレスト・タッカーであることを知らせます
送ったのはタッカーの実の娘でした
タッカーは生まれながらの泥棒
30回服役して18回脱獄(公式サイトでは16回)
彼にとって、盗みも脱獄も人生を楽しむためのもの
それにしても、人生のほとんどを刑務所で過ごした人間が
マナーを身につけ、紳士にしか見えないというのは
相当頭が良いうえ、刑務所の中で勉強したのでしょう
それも強盗するためだけのために(笑)
女性行員の証言は、タッカーは「ハッピーに見えた」という
そんなタッカーが恋をした(79歳で3度目の結婚)
逮捕されたタッカーはジュエルの言うことを聞き
脱獄せず刑期を終え(これだけ強盗しても案外早く出れるのね)
ジュエルと平穏に暮らし始めますが、やっぱり落ち着かない(笑)
結局また、地元の(推定4つ)銀行を襲ってしまいます
2004年刑務所内で亡くなりました、享年83歳
レッドフォードも顔のアップはさすがに皺皺爺
だけどカメラが引くと、やっぱりイイ男なんですね
スーツが似合うし、笑顔はチャーミングだし
細かい仕草までイチイチかっこいい(笑)
男性諸君よ、何歳になってもモテたいと思ったら
若い頃からカッコよく見える所作を身につけたほうがいい
映画は最高の研究材料
本当に、傑作とか、大作ではないけれど(笑)
往年のムービー・ファンならぜひ見てほしいと思います
【解説】allcinema より
ハリウッドを代表する映画スター、ロバート・レッドフォードが本作を最後に俳優業からの引退を宣言し話題となった犯罪伝記ドラマ。銀行強盗を繰り返しながらも決して誰も傷つけず、常に紳士的に振る舞い続けた74歳の伝説の銀行強盗フォレスト・タッカーの驚きの実話を映画化。共演はケイシー・アフレック、ダニー・グローヴァー、トム・ウェイツ、シシー・スペイセク。監督は「ピートと秘密の友達」「A GHOST STORY/ア・ゴースト・ストーリー」のデヴィッド・ロウリー。
1980年代初頭のアメリカ。74歳のフォレスト・タッカーは、そのダンディな佇まいとは裏腹に、なんと現役の銀行強盗。しかしその手口はどこまでも紳士的で、誰一人傷つけることはなかった。そして、お金以上に銀行強盗そのものを楽しんでいたのだった。事件を担当するジョン・ハント刑事も、そんなフォレストの生き様に魅了されていく。一方フォレストは銀行強盗の傍ら、偶然出会った未亡人ジュエルとのロマンスも満喫していくのだったが…。