原題は「JESSE JAMES」(ジェシー・ジェイムズ)
日本では1951年公開
続編「地獄への逆襲」(1940)とともにヒットしたそうです
1866年~列車や銀行を襲い殺人を繰り返したジェイムズ兄弟
弱者を救い、強者に立ち向かう「ロビン・フッド」のような存在として
今でも人気があるそうです
映画のほうはかなり同情的な内容から始まります
横暴な鉄道会社にタダ同然で土地を奪われ
立ち退きされられてしまう農民たち
ジェシー(タイロン・パワー)と兄のフランク(ヘンリ−・フォンダ)は
組合を作り鉄道会社に立ち向かおうとしますが
鉄道会社から雇われたパーシーとその部下は
暴力で農民たちを脅し、ジェイムズ兄弟の逮捕状まで入手するのです
新聞社のコッブはふたりに身を隠すように忠告しますが
兄弟の留守中、パーシーに襲われた母親が心臓発作を起こして横死してしまいます
復讐のためパーシーを射殺し、強盗団を組織
セント・ルイス・セダリア鉄道の処女運転を襲うことにします
どうしてアメリカでは(殺人を含めた)列車強盗や、銀行強盗が英雄扱いされるのか
日本人の感覚としてはよくわからなかったのですが
鉄道会社や銀行に、土地を奪われてきた歴史がひとつにあるのですね
彼らにとっては、奪われたものを奪い返そうとしただけ
そこで鉄道会社のマッコイ社長は、ジーを呼び出し
ジェシーが自首さえすれば刑を軽くする、数年で出所して一緒に暮らせると約束します
そこでジェシーとジーは結婚式を挙げ、翌日ジェシーが自首すると
社長はジェシーに死刑の宣告をします
刑を軽くするなど、最初から嘘だったのです
ジェシーは憤り、怒り狂った兄のフランクはジェシーを脱獄させる
もう誰も信じられない
彼らの犯罪はますます冷酷なものになっていき
5州を股にかけて鉄道や銀行を襲い、その名を知られていきます
しかし有名になればなるほど、強力な追っ手もやってくる
子どもを産んだジーは不安な生活に耐えきれなくなり
やがて故郷に帰ってしまいます
妻に去られたジェシーは自暴自棄になり、仲間に不安を与え
強盗の計画も失敗してしまう
そんな時、ミズリー州がジェシーの首に1万ドルの懸賞金を賭けたのです
序盤は新聞記者のコメディっぽいシーンや
ジーと保安官(ランドルフ・スコット)のほのぼのとした展開もあり、かなり人情的
ジェイムズ兄弟が鉄道会社相手に、戦いを挑むプロセスも感傷的でわかりやすい
後半は巨大組織の横暴さや、金銭社会に立ち向かうという大義より
自分たちもただの無法者になってしまう
友情や思いやりは消え、裏切りが生まれる
史実でもカットするところは大幅にカットし
脚色するところはしっかり脚色
西部劇というよりは、ヘンリー・キングらしい人情ドラマ
それに100分でまとめているので、だれることがない
最初は違和感あった、タイロン・パワーとヘンリ−・フォンダも
最後はちゃんと兄弟に見えるから不思議(笑)
【解説】KINENOTEより
「頭上の敵機」と同じく、ダリル・F・ザナック総指揮、ヘンリー・キング監督作品で、「彼と人魚」のナナリー・ジョンソンが共同製作者兼脚本担当者として参加している1939年度作品、撮影は「善人サム」のジョージ・バーンズ、音楽はルイス・シルヴァース。主演は「狐の王子」のタイロン・パワー、「科学者ベル」のヘンリー・フォンダ、「紅の翼(1939)」のナンシー・ケリーで、「西部の裁き」のランドルフ・スコット、ヘンリー・ハル、「初めか終りか」のブライアン・ドンレヴイ、「駅馬車(1939)」のジョン・キャラディンの他、スリム・サマーヴィル、J・エドワード・ブロムバーグ、ドナルド・ミーク、ジョン・ラッセル、ジョーン・ダウエルが助演している。なお、この映画は「西部魂(1941)」と同じく、テクニカラー映画として製作されたが、輸入されたのは黒白版である。
南北戦争後、鉄道は西へ西へと延び、西部に繁栄をもたらしたが、その背後に多くの運命的な事件が起こった。1876年、セント・ルイス中部鉄道会社はセント・ルイスとセダリア間の鉄道敷設のため農民の汗の結晶の耕地を、只同様の安値で買い始めていた。ジェームズ農場も、鉄道会社のパーシーから無法な言い値の交渉を受け、長男のフランクはパーシーの輩下から乱暴を働かれ、弟のジェスが駆けつけてパーシー一味を追い払った。パーシーはこれを恨みに思い、ジェームズ兄弟の逮捕状を入手して再び農場に行く。兄弟は新聞社を経営するコッブの忠告で一時姿をかくしたが、留守中、パーシーに襲われた兄弟の母親サミュエルス夫人は横死を遂げる。コッブの姪でジェスの愛人だったジェラルダからの報らせを聞いたジェスは、セダリアに乗りこんでパーシーを射殺し、鉄道会社の復讐のため列車強盗団を組織して、セント・ルイス、セダリアのの処女運転列車を襲った。鉄道の社長マッコイはジエラルダに、ジェスが自首すれば刑を軽くするよう取り計らうと申し出たので、ジェスは彼女と結婚式をあげた翌日、シェリフのライトに自首した。しかし、マッコイの証言は掌を返したようなもので、ジェスは死刑に値するといわれる。兄のフランクも憤り、マッコイに果し状を送ると共にジェスの脱獄を助けた。ジェラルダは事の成り行きを深く悲しみ、セダリアの生家に帰る。妻を失ったジェスは一層冷酷になり、銀行・列車を次々と襲い、5州を股にかけて荒した。ミズーリ州知事は懸賞金をかけて彼を追及した。その1万ドルの大金はジェスの子分のボッブ・フォードを裏切らしめ、フォードの手びきによってジェス一味のノースフィールドの銀行襲撃は失敗に終わった。ジェスはジェラルダの元にゆき、カリフォルニアに去って平和に暮らそうと考えるが、フォードに暗殺され、波乱の生涯を終える。コッブは、悪漢ながら同情すべき人間だったジェスのために、ジェームズ農場に彼の碑を建ててやった。