原題も「Shanghai Express」
タイトル・バックの前の”神”と書かれた銅鑼を叩く上半身裸の男
PEIPING(PEKING)ーSHANGHAIの看板
「北平車站」「天津浦口鐵路」の文字
「上海まで1等で」「35ドル36Cです」
1927年8月15日の新聞「4年前よ、今は1931年よ」「これが一番新しいです」
黒いベールをまとった金髪の美女「上海リリー、悪名高き中国の白い花」
民家と民家に挟まれたギリギリの線路を列車が走る
一等列車に乗り合わせた、英、仏、独、米、中国の老若男女の
グランドホテル形式の人間模様&サスペンス
毛沢東率いる共産軍と内戦状態
本当に中国で撮影したようなリアルな映像
なんとこれが全部セット
マレーネ姐さんは、北京にも上海にも行っていないのです(笑)
”上海リリー”マデリン(マレーネ姐さん)は高級娼婦
同室は同じ職業と思われる中国人美女フー・フェイ(アンナ・メイ・ウォン)
上海で下宿屋を営む老女、ハガティ夫人
英国人と中国人のハーフ、チャン
賭け事が大好きでなんでも賭けてしまうサム・ソルト
神学博士のカーマイケル牧師
ドイツ人でアヘン商人のエリック・バウム
フランス語しか話せない退役軍人レナ―ル少佐
マレーネ姐さんと アンナ・メイ・ウォンのツーショットは最高ですな(笑)
どちらも美人だけど愛想がなく、すましていて冷たそう
だけどそれは誰にも媚を売らず、誰にでも平等にしているだけ
本当は情熱的で、優しい心だって持っているのです
そんなキャラクターに、これ以上ないくらいぴったり
線路上に牛や鶏が立往生し、列車が停車
客たちが廊下に出て様子を伺っていたとき
イギリス軍の軍医ハーヴェイ大尉は、かっての恋人
今は”上海リリー”と呼ばれているマデリンと再会します
5年と4週前、マデリンはハーヴェイの愛を確かめようと
ちょっとした悪戯で違う男とつきあいました
そのせいでハーヴェイは彼女の元を去ってしまい
高級娼婦に身を崩してしまったのです
だけどふたりは今でも、心の内では愛し合っていました
食堂車で夕食中、乗客たちは列車から降ろされ政府軍の尋問を受けます
そしてひとりの男が連れ去られました
深夜、列車は革命軍に乗っ取られ
駅舎で軍服に着替えたチャンにより、乗客ひとりひとりの身分が調べられます
チャンは政府軍と人質交換するために身分の高い人間を探していました
そこで上海で総督閣下の手術を行う予定のハーヴェイが選ばれるのですが
革命軍の人質が釈放されてもハーヴェイは釈放されませんでした
マデリンはハーヴェイを助けるために
チャンの愛人となり、チャンに同行すると約束します
ハーヴェイは解放され
チャンはフー・フェイによって殺され
マデリンも列車に戻ることができましたが
ハーヴェイはチャンを選んだマデリンを許せません
多国籍な人々が、中国で革命に巻き込まれるというプロットは悪くないし
スタンバーグらしく粋でお洒落なシーンも多いのですが
肝心の恋の駆け引きや、命のやりとりで
全く緊迫感が伝わってこない(笑)
マデリンから話を聞くカーマイケル牧師
彼は本当は”上海リリー”のことが好きだったのです
昔フラれた腹いせに、悪口を言っていただけ(笑)
ハーヴェイにマデリンを失うのは馬鹿だと忠告します
上海駅で紳士用の時計を買うマデリン
マデリンに近づくハーヴェイ
「教えてほしい」
「多くの人前でどうやってキスすればいい?」
80年代に連載されていた少女漫画
「蘇州夜曲」(森川久美)はこの映画の後日譚なのですね
”上海リリー”の影響を受けているような気がします
莫大な製作費に、それを回収できるだけの実力と
独特の雰囲気と美しさを持つマレーネ姐さんの魅力は
多くのクリエーターにも影響を与えたのでしょう
あんな羽根のドレスや毛皮が似合うのも
美空ひばりか、姐さんしかいません(笑)
なにより、マレーネ姐さんと、アンナ・メイ・ウォンの美の共演は
一見の価値ありでした
【解説】ウィキペディアより
『上海特急』(シャンハイとっきゅう、英語:Shanghai Express)は、1931年(昭和6年)に撮影、1932年(昭和7年)に製作・公開されたアメリカ映画である
ジョセフ・フォン・スタンバーグが監督、マレーネ・ディートリヒとクライヴ・ブルックが主演した。スタンバーグとディートリヒのコンビ作では、『嘆きの天使』(1930年)『モロッコ』(1930年)、『間諜X27』(1931年)に次ぐ4作目の映画(「嘆きの天使」はドイツ映画なのでアメリカ映画としては3作目)である。
アカデミー撮影賞:リー・ガームズ
ノミネーション作品賞・監督賞:ジョセフ・フォン・スタンバーグ