原題は「Bombshell」(爆弾)
「#MeToo」運動で起訴されていた
オスカーを牛耳っていた男ハーヴェイ・ワインスタインに
有罪判決が下されました(2020年2月25日)
今ではかなり改善されたでしょうけれど
私の若い頃だって上司が酔っぱらって迫ってくるくらいのことはありました
なので「#MeToo」運動のときは、セクハラで
何をそこまで大騒ぎするのかと正直思っていたんですけど
これはもうセクハラというより脅迫
やる気のある女性に、性交渉すれば昇進させてあげるよ
でなければクビ、二択しか迫りません
しかもその相手が大物プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインや
本作のモデル、FOX会長のロジャー・エイルズで
断ったら同じ業界に残って仕事することはほぼ不可能
中にはジジイとの変態セックスに我慢して
またはジジイと同じアブノーマルで(笑)
這い上がっていこうとする野心家の女性もいるでしょうが
政治家の二世と違って芸能界は実力の世界
コネだけではやっていけない
才能がなければ生き残れないことをジジイは知っている
だから大勢の女性とヤッて、いくらチャンスを与えても
能力がない女は自然消滅、痛くも痒くもなかったのでしょう
以下ネタバレ注意
FOXのベテランキャスターのグレッチェン(キッドマン)は
そんなセクハラCEO、ロジャー・エイルズ(ジョン・リスゴー)からの
オーラルセックスの強要を断ったせいで番組を降格させられ
その後クビになります
ロジャーに直談判したケイラ(マーゴット・ロビー 架空の人物)は
ビル・オライリーの最高視聴率番組に抜擢されますが
初日からビルにダメ出しされ泣いてしまいます
数日後ロジャーの部屋に呼ばれるケイラ
プライム枠(日本のゴールデンタイム)のトップ・キャスター
メーガン・ケリー(シャーリーズ・セロン)は
(当時)大統領候補のトランプの女性蔑視を追及したために
トランプから執拗にツイートで罵倒されていました
1年続いたトランプとの闘いを、お互いの利益のため
不本意ながらインタビューで終わらせたメーガンは
グレッチェンがロジャーをセクハラで訴えたことで激しく動揺します
10年前、彼女もまたロジャーからセクハラを受けていたのです
しかしロジャーの人柄や仕事ぶりは認めていたし
もちつもたれつの関係であることは確か
彼を訴えるかどうか悩みます、訴えても勝算はゼロ
仕事が出来る男ほど性欲が強い(笑)
しかも権力があるから抑えがきかない
そのわりには女に鈍感すぎる(笑)
メーガンはFOXでロジャーにセクハラを受けた女性を探します
そして弁護士事務所に訴えに行ったとき
彼女は「W」、23番目に届け出た被害者でした
メーガンの告白はトップニュースになり
グレッチェンのロジャーとの会話の録音により
ロジャーは退任へと追い込まれました
しかし次にCEOとして指揮を執ることになったのは
オーナーのルパート・マードック(マルコム・マクダウェル)
またもやトップに立ったのは内部の人間だったのです
そっと会社を去るケイラ
不思議なのはロジャーのような男が意外にも愛妻家で
妻も献身的に夫を守り尽くそうとするところ
仕事や生活上のパートナーはあくまで妻であり
若い女はただの玩具としか思っていないのだろうな
仕事のできる女を見極めれるというのが、また憎たらしい(笑)
逆に言えばグレッチェンがロジャーと性交渉をしていなくても
この年齢までFOXのトップ・キャスターをさせたのは
頭の良さは認めていたのでしょう
ただ扱いにくい女だった(笑)
以下ネタバレ終了
やっぱりセロン姐さんはかっこいい(笑)
第92回アカデミー賞ではカズ・ヒロ(辻一弘)さんが
二度目のメイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞しました
なんでもシャーリーズ・セロンが「ひたすら懇願」して叶ったとか
私はメーガン・ケリーを知りませんが、たぶんそっくりなのでしょう
キッドマンもよかったですし、テーマも女性にとって深刻な問題
ただどこまでがセクハラ、モラハラという観念は
年代や男女によって変わってくるので、デートムービーとしては最悪
ご夫婦やカップルでなく、おひとりで見に行くことをおススメします(笑)