モロッコ (1930)

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原題も「MOROCCO

 

男装にシルクハット

髪を掻いて、2段階の指の挨拶

マレーネ姐さんが粋でカッコいい

でも灼熱の砂漠に軽装備死ぬ気満々のラスト

私は30分もしないうちにさすがに無謀だと気づいて帰ってくると思う(笑)

そして紳士で優しいオジサマと一緒になるのさ

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日本では昭和6年に初めて日本語字幕がついたトーキー映画として上映され

当時見た人は驚きと(サハラ砂漠の知識があまりないので)

このラストに大感動したそうです

ラストシーンだけでなく、印象に残るシーンが多いですね

煙草、髪飾りの花、ブレスレット、口紅、真珠のネックレス、小物の使い方もうまい

「望郷」(1937)はこの作品を絶対意識して作ったと思います

「フランス式ならこうするのさ」とね(想像です)

ジャン・ギャバンマレーネ姐さんと共演を望んだのではないでしょうか(想像です)

 

ここからネタバレあらすじ

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町に帰還したモロッコ駐屯のフランス外人部隊の兵士たちは上官から

英雄扱いされても酒も女もほどほどに紳士らしく振舞えと注意されていました

ブラウン(ゲイリー・クーパー)は大の女好き、早速人妻と密会します

そのころモロッコに向かう船の中で一人旅の美女のトランクが落ちたものを

富豪のベシエール(アドルフ・マンジュー)が拾い渡しました

女に「何かあったら連絡を」と名刺を渡しますが女はその場で破り捨てます

船頭に女のことを聞くと片道切符でやってきて客に芸を見せる女だと答えます

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女はアミー・ジョリー(マレーネ・ディートリッヒ)という名で

ロッコのナイトクラブで歌手として雇われていました

アミーがトップハットと燕尾服といういでたちでステージに立つと

客席から凄まじいヤジが飛ばされます

一目でアミーが気にいったトム・ブラウンはヤジを飛ばす客をなだめ

アミーが歌を歌うとたちまち会場の客たちはアミーの歌声のとりこになります

ひとりの女性客から髪飾りの花をもらいトムに投げる

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次の曲では美脚を露わにした衣装を変え

リンゴ売りをするように支配人から命じられます

次々とリンゴが売れる中、客のひとりにベシエールがいて

大金を払い釣りはいらないと言います

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トムはお金を持っておらず、同僚からお金を借りてリンゴを買います

するとアミーは「お釣りよ」とそっと鍵をトムの手にしのばせました

 

その夜トムは人妻と約束していましたが、アミーの楽屋を訪れます

どうやらトムはアミーが引っ越してくる前の住人(女性と思われる)を

知っているようですが、アミーもトムも過去は語ろうとしません

ふたりは魅かれ合うのを感じますが、トムは部屋を出ていきます

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通りでは人妻がトムを待ち伏せしていました

それをトムの上官であるセザールが覗き見ていました

トムは上官の妻と不倫していたのです

トムはセザール夫人を建物の影に隠すと、追いかけてきたアミーを送っていきます

嫉妬したセザール夫人はモロッコ人の男二人を雇い、トムを殺すように頼みますが

トムのほうが強く、逆に男二人を倒してしまいます

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翌日トム逮捕され、傷害事件についてアミー事情聴取を受けることになりました

セザールの友人ベシエールは、アミーにトムの件を何とかとりなそうとします

「見返り何が欲しいの」とアミーが尋ねると「笑顔さ」と答えます

トムは軍法会議は逃れましたが、セザールの部隊の

砂漠の最前線に送られることになりました

セザール妻を寝取った復讐をされると考えたトム

脱走してアミーとヨーロッパに逃げ決意をします

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その夜、ベシエールがアミーにブレスレットをプレゼントしプロポーズしました

アミーは返事をしませんでしたが、扉の前でトムが立ち聞きしていました

トムが楽屋に入ると、ベシエールは気を利かせ帰っていきます

トムはヨーロッパに逃げようと言うとアミーは

「いいわ」「まってて」とステージに向かいます

その時トムはテーブルの上にあるブレスレットを発見し

アミーの口紅を見つけると「気が変った、幸運を祈る」と鏡に描いて去ります

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翌朝、アミーとベシエールが見送りに行くとトムは3人の女の子と抱擁していました

アミーはトムの空いた手でお別れの握手をします

行進する部隊の後ろから、荷物を担いでついていく女性たちがいます

ベシエールが「後衛」という愛する男について行く一団だと教えてくれました

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トムが去ったあとアミーは酒浸りになり、支配人は手を焼いていました

ベシエールはアミーを自分の屋敷に引き取り世話をします


トムは仲間から「脱走すると思った」と言われ「改心したのさ」と答えます

そこで「生きているうちに金を返してくれ」と督促されトムは金を返します

前線に到着するとトム敵の機関銃破壊するという危険な任務を命じられ

セザールも(トムを暗殺するつもりで)同行しますが敵に撃たれ死んでしまいます

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アミーとベシエールが婚約パーティーを開く日

セザールの戦死と、トムの分隊が帰還するという知らせが入ります

アミーは気に掛けませんでしたが、パーティの途中で太鼓の音が聞こえてくると

たまらず立ち上がり、真珠の首飾りが切ればらばらになって落ちます

屋敷を飛び出し兵士たちの顔をひとりずつ確認してもトムはいません

トムの仲間から、トムが重症だと聞いたアミーはすぐに現地に行くと言い張り

ベシエールの運転でトムに会いに行くことにします

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病院に着くとそこにトムがはおらず、重傷だというのはトムの嘘で

すでに退院して酒場にいると教えられます

そこでトムは酒を飲みながら女を侍らせ、ナイフでテーブルを削り

アミー・ジョリーという文字とハートマークを描いていました

アミーが店にやってくるとトムは慌てて文字を隠し

トムの相変わらずな姿を見たアミーは半ば呆れ、婚約したことを伝えます

トムは幸運を祈る」と女の子と店を出ていきました

ひとり残されたアミーはテーブルに「アミー・ジョリー」文字を見つけ喜びます

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翌朝、分隊の出発を見送りに来たアミーはトムと指の挨拶でお別れをしますが

「後衛」の女たちが現れると、ベシエールに別れを告げると荷物ももたず

門をでて砂漠へと歩き出します、砂に足をとられるとハイヒールを脱ぎ捨て

スカーフ一枚持って女たちに加わるのでした

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ネタバレあらすじ終了

ベシエールがお人好しすぎ(笑)

紳士で全くガツガツしていない

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トムとアミーよくある似た者同士の腐れ縁みたいなもの

ダメ男を選んで、喧嘩しちゃ別れて、また一緒になるの繰り返し

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ベシエールは30分後(15分後かも知れない)に戻った

アミーを受け入れ

周囲の人間に笑われながらも面倒を見るのだろうな

トムが帰ってくれば、アミーはまたトムのところに行ってしまうと

知りながら

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ラストシーンを全否定していますが

この映画が嫌いかと言えばそうではなく

むしろ恋愛映画の最高峰のひとつだと思っています

 

マレーネ姐さんを見るだけでも幸せですが(笑)

同じモロッコを舞台にした「カサブランカ(1942)より好き

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愛する人が去っていけば、違う相手に救いを求める人間のさが

トムはあと腐れのない女達に

美貌のアミーはパトロンのもとに帰っていく

これがこの時代(戦争中)の恋愛観だったと思います


ゲーリー・クーパーを世界的大スターにした名作

ただもう少し綺麗な画像で見たかった(笑)



【解説】映画.comより

ドイツに赴いて「嘆きの天使」を作ったジョセフ・フォン・スタンバーグが滞欧1ヵ年の後、再び帰米して監督にあたった映画。ベノ・ヴィグニー原作の舞台劇「エーミー・ジョリイ」より「女の一生」「非常線(1928)」「紐育の波止場」のジュールス・ファースマンが改作脚色し「煩悩」「彼の捕えし女」のリー・ガームスが撮影した。主なる出演者は「嘆きの天使」のマルレーネ・デートリッヒ、「掠奪者」「テキサス無宿」のゲイリー・クーパー「虎御前」「コンサート」のアドルフ・マンジュウ、「快走王」「危険なる楽園」のフランシス・マクドナルド「鉄仮面」「グリーン家の惨劇」のウルリッヒ・ハウプト、ジュリエット・コンプトン、アルバート・コンティ、イヴ・サザーン等で、パ社は本誌の田村幸彦氏をニューヨークに招きその翻訳になる邦文字幕を最初の試みとしてこの映画に挿入している。