かかとを三回鳴らして唱えるのよ
「There’s no place like home!」(おうちほどいい場所はない!)
「いのちを守るSTAY HOME (ステイホーム)週間」にぴったりの名作
ぜひ家族で楽しんでほしいと思います
原題も「THE WIZARD OF OZ」
もうすぐ第二次世界大戦を迎えようとする、世界中で切迫していた時代
実写でこの世界観を作り上げたのは凄い、まるで先駆けディム・バートン
「ブリキの太鼓」(1979)を連想させる大勢のマンチキン(小人症)は
ナチスから逃れるため渡米し、撮影に参加したそうです
監督はこのあと「風と共に去りぬ」(1939)で名声を得るヴィクター・フレミング
制作はハリウッドの大ヒットメーカー、マーヴィン・ルロイ
映画の華やかさとは逆に、撮影の苦労は有名な話
ぽっちゃりだったジュディ・ガーランドはコルセットで胸を潰され
カカシの特殊メイクは、ゴムの痕が消えるのに撮影後1年かかっそうです
ライオンの衣装には本物のライオンの毛皮が使われ、重量は40キロ以上
暑さと重さはもちろん、ひどい悪臭に本人はもちろんスタッフ一同が耐え
西の悪い魔女は、魔女が消えるシーンの煙を出すタイミングが早すぎ
マントに火が移り、大やけどを負ってしまいます
特殊メイクや特殊効果はトラブルや事故の連続
脚本家は14人、監督は5人がリレー担当したそうです
(ヴィクター・フレミングは4人目)
その甲斐あってか、80年前の映画とは思えない映像の素晴らしさ
キャラクターのインパクトの強さ、かかしは藁のブリキはブリキの歩き方
リボン・ライオンのキモ可愛らしさ「パーマをかけてきたのに!」だって(笑)
そしてなんといってもジュディの歌声
【ここからネタバレあらすじ】
カンザスの田舎にある牧場、トト(愛犬)を抱いたドロシーが
(大地主)ガルチ婦人がトトを虐めると、叔母さんや牧童たちに訴えていました
ガルチ婦人の猫にトトが吠えたせいで婦人は激怒しトトを保健所に預けると言うのです
叔母さんは地主の言うことに逆らず、ガルチ婦人に連れていかれるトト
しかしガルチ婦人の自転車に積んだ籠からトトが逃亡
ドロシーはトトを連れて家出を決意しますが
叔母さんが悲しんでいることを知り、家に引き返すと激しい竜巻に襲われ
家ごと吹き飛ばされ、着陸すると家の下敷きになった東の魔女が死んでいました
そこは小人のマンチキンの国で、北の魔女グリンダと
マンチキンたちから東の悪い魔女を退治してくれたと感謝されます
叔母さんのいる家に帰りたいというドロシーに
北の魔女はエメラルドの都のオズの魔法使いが助けてくれると教えてくれます
ドロシーに東の魔女の履いていた赤いルビーの靴を与え、おでこにキス
オズでは北の魔女からキスされた者は、魔法の力で誰も傷つけることができません
それを知った(東の魔女の姉の)西の悪い魔女は
ドロシーに授けられた赤いルビーの靴を取り戻そうとします
マンチキンたちに送り出され、エメラルドへの黄色いレンガの道を進むドロシーは
分かれ道で、棒に刺さって動けないかかしと出会います
藁しか詰まっていないかかしは、脳みそがあれば賢くなれると思っていました
ドロシーはかかしを棒から外し、一緒に黄色いレンガ道を進みます
次にさび付いたブリキの木こりと出会います、油を刺してあげるとブリキは動き出し
オズに心をもらったら自分を取り戻せると、ドロシーとかかしと旅を共にします
さらに森の中を歩き続けると、臆病で泣き虫なライオンに出会いました
ライオンは勇気がほしいと言い、ドロシーとかかしとブリキと共に
エメラルドタウンを目指すことにしました
カリダという獣が住む森で大きな地割れに遭遇すると
かかしが木を切り倒し、木こりが橋を作ってピンチを脱出
橋を渡ってカリダが姿を現すと、臆病ライオンが勇気を振り絞って追い払います
さらに歩き続けると遥か遠くに輝くエメラルドタウンが見えました
しかし西の悪い魔女が仕掛けた「けしの花」のせいで、ドロシーたちは寝てしまいます
北の良い魔女は雪を降らせ「けしの花」が雪で埋もれるとドロシーは目を覚まし
4人とトトはついにエメラルドタウンにたどり着きました
そしてオズの大魔法使いに「知恵」と「心」と「勇気」がほしい
ドロシーは故郷に帰りたいとお願いします
大魔法使いは、西の魔女のホウキを持ってきたら願いを叶えてやろうと言います
ドロシーたちは魔女のいる西のウィンキー(サル)の国へ向かいますが
ドロシーとトトが魔女の手下のウィンキーに捕まり城に閉じ込められてしまいます
西の魔女はルビーの靴を手に入れるため、ドロシーを殺そうとしますが
危機一髪、かかしとブリキとライオンが助けにきてくれました
魔女は、藁のかかしを燃やそうとかかしに火を付けます
慌てたドロシーが火のついたかかしを救うため、桶の水をかけると
もらい水を浴びてしまった魔女はあっさりと消滅してしまいました
手下にされていたウィンキーたちは悪い魔女が消えて大喜び
これでオズから悪い魔女は全ていなくなりました
ウィンキーは西の魔女のホウキをドロシーに渡します
ドロシーたちはホウキを持って大魔法使いのところに戻りました
だけど大魔法使いは願いを叶えることを少々渋ってる様子
大魔法使いの正体は、カンザスから気球でやってきた、ただのおじさん
オズの住民から魔法使いと勘違いされただけで、魔法は使えません
インチキ大魔法使いは閃き、かかしには博士号の証明書を
ブリキにはハート型の時計、ライオンには勇気と記されたメダルを与えます
ドロシーと共に故郷フロリダに帰り、オズを不在にする自分の代わりに
かかしとブリキとライオンは「知恵」と「心」と「勇気」で
オズの国の統治を任されることになったのです
そしてインチキ大魔法使いとドロシーが気球でカンザスに飛び立つとき
ガルチ婦人と愛猫そっくりの姿を発見したトトが気球を飛び出してしまいます
ドロシーがトトを追うと、気球が旅立ってしまう
オズの世界に取り残され途方に暮れるドロシー
そこに北の魔女が現れ、ルビーの靴が家に導いてくれると教えてくれます
かかとを三回鳴らし「おうちほどいい場所はない」と念じなさいと
ドロシーは、かかし、ブリキ、ライオンに別れのハグとキスをして
北の魔女の言う通り、ルビーの靴のかかとを三回鳴らします
目を覚ますとドロシーはベッドの中で、おでこには冷やしたタオル
叔母さんが心配そうに見つめ、叔父さんや牧童たちは
ドロシーが元気になったことを祝福しました
ドロシーはかかしも、ブリキも、ライオンも、いつもそばにいてくれた
家族だったことを知ります
魔法の国の話をすると、皆は「夢をみていたんだよ」と笑いました
その笑顔にドロシーは「おうちほどいい場所はない」と改めて感じたのです
【ネタバレあらすじ終了】
いわゆる自分探しの「青い鳥」もので、本当の幸せは「家にある」というもの
「知恵」と「心」と「勇気」も目には見えないけど、本当は自分の中にあって
かかしも、ブリキも、ライオンも、気づいていなかっただけ
インチキ大魔法使いが「形」にしてくれたおかげで
誰もが「知恵」と「心」と「勇気」を持っているという自信がついたのです
抱かれているときのトトはおとなしすぎて、ぬいぐるみなのかな
それはともかく、オズの世界の悪い魔女は退治したけど
肝心のトトとガルチ婦人の問題が解決していないのが問題(笑)
【解説】allcinemaより
今や名作の誉れも高いミュージカル作品だが、日本で初めて公開されたのは、製作からすでに15年も経っていた事はあまり知られていない。大竜巻に巻き上げられた少女ドロシー(ガーランド)が辿り着いたのは、夢の国オズ。彼女は故郷のカンザスに帰るため、魔女の住むというエメラルド・シティ目指して出発する。臆病者のライオン(ラー)、脳のないカカシ(ボルジャー)、そして心のないティンマン(ヘイリー)と共に……。ボームの原作を基に、SFXをふんだんに使って子供から大人まで楽しめる内容に仕上がっているのは事実だが、日本人にとっては多少アクが強い印象も否めない。ガーランドに魅力を感じるかどうかが、好みの分かれるところだろう。『オーバー・ザ・レインボー』はアカデミー主題歌賞を受けた名曲。