ハウス・オブ・ダイナマイト(2025)

原題は「A House of Dynamite (ダイナマイト(核兵器家)

 

ストーリーそのものは単純で

米国で謎の大陸間弾道ミサイルICBM)が探知され

たぶん北朝鮮の発射実験で日本海に落ちるだろうと予測したものが

軌道に乗り大都市シカゴに到達することが判明

着弾までわずか18分

保有国が唱える「核抑止」という言葉

でも、もしどこかの国が核を使って攻撃して来たら

本当に核で抑止できるのか?という問いを

 

オリヴィア・ウォーカー海軍大佐(レベッカ・ファーガソン)を中心とした

ホワイトハウス状況室(White House Situation Room=WHSR)

連邦緊急事態管理庁Federal Emergency Management AgencyFEMA

米国国土安全保障省の一部で、天災や人災の緊急時に対応する)

ネブラスカ州のオファット空軍基地(Offutt Air Force Base

米国戦略軍(USSTRATCOM)

指揮統制施設(Command and Control Facility=C2F)と

アラスカ州にある米国陸軍の弾道ミサイル発射場

フォート・グリーリー基地(Fort Greely

 

大統領危機管理センター(Presidential Emergency Operations CenterPEOC

(主な目的は弾道ミサイル襲来時の大統領の退避拠点)

最高責任者マーク・ミラー海軍大将(ジェイソン・クラーク)と対立する
(ロシア外相からの電話に対応しロシアが関与していないと主張)

国家安全保障問題担当大統領(補佐官に代わって)副補佐官の

ジェイク・バリントン(ガブリエル・バッソ

米国国防総省(現戦争省)のリード・ベイカー国防長官(ジャレッド・ハリス

報復戦略顧問兼大統領軍事顧問で「核のフットボール」を運搬する
(米国大統領がどこにいても核攻撃の許可を出せる道具が入ったブリーフケース)
ロバート・リーヴス海軍少佐(ジョナ・ハウアー=キング

そして就任したばかりの合衆国大統領(イドリス・エルバ
それぞれの立場で自分の仕事を全うしようとするのです

描き方としては「羅生門」的とでもいいましょうか(笑)

同じ状況を繰り返すのですが、各自視点が違うんですね
でも最後は、自分の愛する人だけでも助けたい・・
という思いに駆られるのです

面白かったのは、やはりリアリティさ

デフコン(DEFCO防衛準備状態)とは

米国軍の警戒状態でDEFCON 5 (深刻度が低い) から

DEFCON 1 (最も深刻) まで5段階あり

DEFCON 1は核戦争の勃発が迫っているという知らせだそうです

DEFCONレベルは国民に発表されない)

そのデフコンが発令され、ICBMに発射された

弾道弾迎撃ミサイル(Ground Based InterceptorGBI)はたった2発

(しかも失敗)なんで2発だけ?と思うわけですが

(本当に核を搭載しているかわからないICBMに)

超高額なGBIをそう簡単に撃つわけにはいかないという・・

なんのための迎撃ミサイルなんでしょう

連邦政府存続計画(Continuity of GovernmentCOG)とは

核戦争などにより国家が壊滅的となった場合に政府の存続をはかる計画で

レイヴン・ロック(Raven Rock Mountain ComplexRRMC)

ペンシルベニア州にある地下核バンカー)要人を非難させます

レイヴン・ロックは米国軍の緊急作戦センターで

(「地下ペンタゴン」とも呼ばれている)

核攻撃を生き延びるための自給自足型の複合施設にもなっているそうです

もちろん入れるのは政府関係のお偉いさんが中心なわけで

(金持ちは自分で核バンカー用意してるか、自家用機で逃げるんでしょうね)

しかも本当に核が落ちたら、汚染されて地上に出れなくなるわけですし

それって防衛にあたるんでしょうか(笑)

すなわち、国の挙げる防衛とは国民のためではなく

自分たちの政党を守ること

ただ同じ話が、視点を変えてはいるものの3回繰り返されるので

3度目は少し飽きた(笑)

 

ただし核兵器の使用は大統領の直接命令が絶対

わずか数分の間に報復するかしないかの答えを求められます

前半、声だけしか登場しない大統領は

トランプみたいな人物だと思わせるのですが

キャスリン・ビグローが選んだ米国大統領はイドリス・エルバ

黒人なうえ穏健派、頼りになる賢い奥さまはアフリカで自然保護の活動中で

相談したくても電話が繋がらない



大統領顧問に「素人にもわかりやすく」説明させます

報復しなければ、甘く見られて再び攻撃される可能性

報復すれば、さらに報復される可能性

一番は(全土に核を打ち込み)敵国を壊滅させること

でもICBMを発射したのが

本当に北朝鮮の未確認の原子力潜水艦なのか確信がないまま

ひとつの国を消滅させていいのか

もしかしたら不発弾かも知れないし、核だって搭載されていないかも知れない

ロシアが、中国が、アラブ諸国が、アメリカの出方を伺って軍隊を配備する

この物語に答えはありません

私たちは、大統領が報復をしないことのほうを選び

ICBMが不発であったことを、ただ願うだけなのです

 

もう、次の大統領はイドリス・エルバでいいよ(笑)

どうか中間選挙に立候補してください



【解説】映画.COMより

女性監督として初めてアカデミー監督賞を受賞した「ハート・ロッカー」や、アカデミー賞5部門にノミネートされた「ゼロ・ダーク・サーティ」で知られるキャスリン・ビグローが手がけたポリティカルスリラー。
ごくありふれた一日になるはずだったある日、出所不明の一発のミサイルが突然アメリカに向けて発射される。アメリカに壊滅的な打撃を与える可能性を秘めたそのミサイルは、誰が仕組み、どこから放たれたのか。ホワイトハウスをはじめとした米国政府は混乱に陥り、タイムリミットが迫る中で、どのように対処すべきか議論が巻き起こる。
デトロイト」以来8年ぶりとなるキャスリン・ビグロー監督作。イドリス・エルバレベッカ・ファーガソンを筆頭に、ガブリエル・バッソジャレッド・ハリス、トレイシー・レッツ、アンソニー・ラモス、モーゼス・イングラム、ジョナ・ハウアー=キング、グレタ・リー、ジェイソン・クラークら豪華キャストが集結した。脚本は「ジャッキー ファーストレディ 最後の使命」やNetflixドラマ「ゼロデイ」を手がけたノア・オッペンハイム。撮影は「ハート・ロッカー」「デトロイト」のバリー・アクロイド、音楽は「西部戦線異常なし」「教皇選挙」のフォルカー・ベルテルマンが担当。2025年・第82回ベネチア国際映画祭コンペティション部門出品。Netflixで2025年10月24日から配信。それに先立つ10月10日から一部劇場で公開。

2025年製作/112分/G/アメリ
原題または英題:A House of Dynamite