ぼくセザール 10歳半 1m39cm(2003)




このての作品は評価が分かれると思います

子どもが主人公の映画ですが、ドライな感覚で

日本の子どもにはまずウケないでしょう



カメラワークも含めて、完全に主人公セザールの視点で

10歳なりの解ったような口ぶりの人生哲学

そのため、ラストに繋がるまでの大人達の事情や

まわりの人間の心理的な移り変わりは一切説明がないので

見ているほうが想像で補完するしかありません






セザールは甘いものが大好きでちょっと太め
転校生でクラスで一番の美人、サラに憧れています
親友のモルガンはイケメンでスポーツマン
モルガンのようだったら女の子にモテると思っています


国を問わず男の子の初恋の法則は
「転校生でクラス一番の美人」ですよね(笑)


サラはセザールの詩の暗唱を熱い眼差しで見つたりするものだから
それはセザールが勘違いしてしまってもしょうがない

なのにモルガンと妙に馴れ馴れしくしたり

そうかと思うとセザールに優しくしたり

冒険旅行への出発時には

「パスポートがないとロンドンには行けないのよ」と

セザールだけ追い返そうとしたりします


サラの気持ちが読めず、サラの行動に一喜一憂するセザール

なるほど、男性が女性のことを理解できないというのは

こういうことなのね()

単に真実を言っただけでも、男の子の心は傷ついてしまうのです






でもモルガンが貧しい移民の子だったり
サラは離婚した両親の家を行ったり来たりしていたり
セザールが父親が刑務所に入ったと思い込んだ時には
学校中の生徒や校長先生までが同情してくれたりとか
フランス人の抱える事情を何気なく知れるのは興味深かいです


10歳って本当に心も身体も変化するとき
見た目はまだ幼くて可愛くても
エロには覚めていることもしっかり表現


ムービー・ファンとして良かったと思うところは

マリア・デ・メディロスがお母さん役で

セザールとモルガンが「パルプ・フィクション」を見るところ()


そして冒険旅行中のセザール達を助けるパンクなおばあちゃんが

気狂いピエロ」などに主演しているアンナ・カリーナ

見終えるまで全く気が付きませんでした






冒頭の黒い傘の中に、たった一つにピンクの傘は

周りに合わせる事を求める大人と、それに疑問をもつ子ども

それがラストではカラフルな風船になり、自由に空に飛んでいきます

こういうアートさもフランス流でした


10歳のときにクラスの女の子に恋していた男性なら
当時を思い出しセザール君に共感できるかも知れません




【解説】allcinemaより

10歳の少年が繰り広げる冒険の数々を、子どもの目線で描いたハートウォーミング・ストーリー。習い事やおつかい、あるいは友情や初恋といった少年にとっての様々な冒険に満ちた日常が、好奇心いっぱいで少し大人びた主人公のモノローグでユーモラスに綴られていく。監督はフランスの名優リシャール・ベリ。これが自身長編2作目。
 少年の名前はセザール・プチ。10歳半、1m39cm。学校ではまるで目立たない存在だった。親友のモルガンは反対にかっこよくて成績優秀。でもそんな彼にも、自分の父親を知らないという悩みがあった。セザールは現在、転校してきたばかりの美少女、サラに恋していた。しかし彼女にどうアピールしたらいいか分からず悩んでいた。ある日、セザールは父が刑務所に連れて行かれたと思い込み学校のみんなから同情を買い、一躍ヒーローに。ところがそれが勘違いとわかり、評判は一気に落ちてしまう。しかし、モルガンとサラだけは優しくなぐさめてくれた。やがて3人はモルガンの父親を捜しに、ロンドンへ向かうのだったが…。