原題は「CHRISTINE」(クリスチーヌ=ヒロインの名前)
ドロンさま無名の23歳、3作目の主演で初めての主役級
一方のロミーは、皇后エリーザベトを演じたオーストリア映画
「プリンセス・シシー」(1955)が大ヒット
16歳でトップスターになり絶大な人気を誇っていましたが
”シシー”シリーズの4作目が、親への反抗もあり
どうしてもいやで、フランス映画への主演を決めたそうです
当時19歳のロミーが、たまたま雑誌で見かけたドロンさまを
相手役に指命したのも運命でしょう
しかしまだこのときロミーはフランス語が話せず
ドロンさまもドイツ語がわかりません
ロミーはドロンさまのことを低俗な男だと思い
ドロンさまもロミーのことを感じの悪いと
お互いの第一印象は最悪だったそう (笑)
なのに撮影中に映画の中恋が、本物の恋に変わってしまった
翌年ふたりは婚約を発表
しかしドイツのマスコミからは、ドイツにいる家族と
ファンを裏切った女優だと叩かれたそうです
この頃のロミーを、日本人に勝手に例えたらエビちゃん(蛯原友里さん)かな
純粋なイメージで、白のドレスが似合う
笑顔が可愛くて見ているだけ幸せな気分になる
それなのに、ロミーの未来を予期していたように
この作品のラストも
実際のロミーの晩年も(睡眠薬とアルコールの過剰摂取)
最期は不幸に終わります
ゴシップはこれくらいにしておいて(笑)
1906年ウィーン、若い少尉フリッツ(ドロンさま)は
エッガースドルフ男爵夫人、レナ(ミシュリーヌ・プレール)との
不倫がだんだんと重荷になっていました
親友のテオ中尉(ジャン・クロード・ブリアリ)は
そんな関係は終わらせ、もっと遊ぶべきだと言います
将校たちは酒場で、女の子をナンパできなかったら
皆にシャンパンを奢るという賭けをして楽しんでいたのです
テオはミッツイーという女の子と仲良くなり
ミッツイーの親友、クリスチーヌ(ロミー・シュナィダー)を
フリッツに紹介します
クリスチーヌにはつい先ほど喧嘩別れしたばかりの冴えない彼氏がいて
フリッツは男爵夫人に別れを切り出せず悩んでいました
これでは話が弾むはずもありません
それでも男のマナーとして彼女を家まで送り届けます
テオとミッツイーはそんなふたりを、何とかくっつけようとします
自分たちのデートに誘い、恋のアドバイス
コメディタッチながら、ここらへんの演出は
なかなか説得力があります
結局クリスチーヌとフリッツを放って
木陰でふたりでイチャするだけなんですけど(笑)
それでも何度かデートして(山へのドライブで木霊のシーンがいい)
ふたりはお互い惹かれあってきます
クリスチーヌはオペラ座の歌手のオーディションを受け
フリッツはクリスチーヌに結婚を申し込む決意をする
そこに夫の海外出張に同行していた男爵夫人が帰国し
合鍵でフリッツの部屋に入るとツーショット写真を見つけてしまう
そこに電話が鳴り、電話の向こうのフリッツは別れたいと告げます
夫人は、天覧オペラの警備の任務があるというのに
翌日必ず家に来るようにフリッツ命令するのでした
夫人がフリッツの部屋を出るところに
弁護士のヴィンマーが偶然通りかかり、男爵に報告します
そんな時クリスチーヌはオペラ座に採用されたことで喜びで一杯
天覧オペラではオーケストラ演奏する父の応援にミッツイーとやってきます
テオとフリッツは警備席に着き、会場が暗くなると同時に
フリッツは任務から抜け出し男爵邸に向かいます
夫人とシャンパンを飲み、正直な気持ちを話し愛の手紙を暖炉で燃やす
これで終わりのはずでした
しかし最終幕前の休憩で、フリッツがいないことに気付いた男爵は
急いで馬車に乗り自宅に戻り、不倫の証拠を探します
するとチェストに見覚えのない鍵が入っていました
男爵がフリッツの部屋に向かい、ドアの鍵穴に差し込む
夫人が隠していたのはフリッツの部屋の鍵でした
別れた男との記念品なんて取っておくもんじゃない
男爵は名誉を回復するため、フリッツに決闘を申し込みます
しかし男爵側の仲介人による条件は、男爵が先に引き金を引くという
フリッツにとって不利なものでした
テオはいちどは決闘の証人を引き受けたものの
納得できず除隊を決意します
決闘の朝、銃声は一発だけ
テオとミッツイーは決闘の場所に走り
クリスチーヌの家にフリッツの死を知らせに行きます
クリスチーヌはショックを隠せない
いつもの朝と同じく、軍の行進のマーチが鳴っている
だけどそこにフリッツはいない
クリスチーヌはバルコニーまで走り、視界から消えてしまいます
ほんの一瞬の隙に、飛び降り自殺をしてしまったのです
楽しいラブコメ調から、いきなり主役のふたりが死ぬという(笑)
さすがにこの結末は予想できなかった
でも一番辛いのはお父さんだよな
男手ひとつで育てるのに苦労もしたことでしょう
そんなやさしくて、可愛い娘が突然いなくなってしまう
そんなことは男爵にも、夫人にも
貴族ににとっては関係のないことなのだろうけれど
【解説】KINENOTEより
「セクシーガール」のロミー・シュナィダーと、「お嬢さん、お手やわらかに!」のアラン・ドロンを主演させた独仏合作の作品。アルトゥール・シュニッツラーの有名な戯曲『恋愛三昧』の映画化である。一八世紀のオーストリアの都ウィーンに舞台をとって、ウィーン情緒たっぷりな恋の物語がくりひろげられる。監督にあたったのは、「巴里野郎」を作ったピエール・ガスパール・ユイ。ピエール・ガスパール・ユイ自身と、ジョルジュ・ヌヴー、ハンス・ウィルヘルムの三人が原作戯曲を共同で脚色し、撮影を担当したのは「モンパルナスの灯」のクリスチャン・マトラ。音楽をジョルジュ・オーリックが受けもっている。他の主演者は「いとこ同志」のジャン・クロード・ブリアリ、「肉体の悪魔(1947)」のミシュリーヌ・プレール、「レ・ミゼラブル」のフェルナン・ルドウ等。製作はミシェル・サフラ