原題は「TEXAS ACROSS THE RIVER」
アクロス・ザ・リバー とは川の向こう側という意味で
ここではメキシコの国境と接しているテキサス州のこと
ドロンさまの西部劇初出演作でハリウッドデビュー作
しかし評判は悪く、その後もハリウッド映画に数本出演したものの
結局アメリカでの成功には至らなかったそうです
私はそこまで悪い作品とは思いませんでした
女性にモテる軽薄そうな美男子姿は、ジェラール・フィリップ演じた
「花咲ける騎士道」(1952)のファンファンみたいで
騎士道よろしく剣を振りかざしたり、王子様ルックもGOOD
赤いシャツを川で洗っていると野牛が寄ってきて
上半身裸の闘牛ショーの始まるのは、可笑しいけど素敵すぎる(笑)
コメディセンスも抜群なんだなと思いました
スペイン貴族のドン(ドロンさま)と西部のお嬢様の結婚式の日
婚約者の元カレが結婚に反対し、ドンと揉み合ううち
誤って窓から落下し死んでしまいます
殺人の濡れ衣を着せられたドンは
婚約者とテキサスで再会することを約束し
逃げることにします
テキサスにほど近い町でドンは逃走費用を稼ぐために
射撃の腕前を披露するショーを始めると
それを見たカウボーイのサム(ディーン・マーティン)は
このヘンテコな外国人が射撃の腕だけは超一流なのを見込み
コマンチからの用心棒としてドンを雇うことにします
そしてテキサスの開拓村を目指してコマンチの案内人と3人
旅をするのですが、そこから
毒蛇に咬まれたドンが、コマンチの美しい娘に介抱してもらい
イイ感じになったり
ドンを追いかけてきてコマンチに襲われた婚約者と
偶然知り合ったサムが婚約者に一目惚れしてしまい、言い寄ったり
どっちがどっちとくっつくの?という展開に(笑)
ドンが娘とモカシンの開拓村に入ると
コマンチ族はドンが娘を誘拐したと勘違い
ドンは騎兵隊だけでなく、コマンチからも狙われることになります
銃声を聞いた婚約者の幌馬車隊を率いるサムはドンを助けるため
サムはお尻に矢を受けてしまう(笑)
モカシンの開拓民はドンの勇気を称え
ドンに土地を与えることにします
ドンはコマンチの娘と野牛を飼いならそうかと相談しますが
その土地は「黒い水」が湧き出る土地でした
一方のサムはあえて重症のふりをし
ドンの婚約者に看護してもらっていました
そこに婚約者が村にやって来ていることを聞いたドンが来て
ふたりの仲を疑ってしまう
おまけにドンがコマンチの娘といることを、サムが婚約者にバラしてしまう
ドンとサムは大喧嘩、決闘することになります
そこに(テキサスがアメリカに統合されたため)ドンを追った
騎兵隊がやって来ると情報が入り
決闘は延期、再びドンは逃げることになり
コマンチの娘はドンについていくことにします
そのとき集結したコマンチの戦士たちが村を襲撃、火を放ちます
ドンは逃げるのをやめ、開拓民を守るため騎兵隊を呼びに向かいます
おかげでコマンチは去りましたが、ドンは捕らえられ死刑になることに
婚約者は騎兵隊に当時の状況を詳しく説明し
ドンが無罪であることを証明します
釈放されたドンでしたが、次はサムとの決闘
しかしヨーロッパ式とテキサス式の決闘のし方の違いで揉めてしまい
結局殴り合いの喧嘩に(笑)
すると婚約者とコマンチの娘も、男たちのことで
揉み合いの喧嘩を始めます
驚いたドンとサムはふたりを止めに入りますが
それは女たちが決闘を止めるため仕掛けた罠でした
ドンの婚約者はサムのほうを愛していることに気付き
コマンチの娘もドンと離れられなくなっていたのです
サムたちが与えられた土地に戻ると
コマンチの案内人は墓穴を掘っていました
穴からどんどん湧き出る「黒い水」に呪われた土地だと言います
「こんな土地はコマンチに返して新しい土地に引っ越そう」とサム
すかさず「いらん」と返すコマンチの絶妙なタイミング(笑)
コマンチが英語を喋ると、コマンチ語の象形文字?の字幕が出たり(笑)
今だったら差別だとか、ハラスメントだとか攻撃されそうな
ゆるいユーモアやドタバタにに癒される
日本では美男俳優の代名詞と言われたほど大人気のドロンさまだけど
アメリカではディーン・マーティンのほうが
俳優として歌手として司会者として大スターだったんですね
コマンチ族の医師にリチャード・ファーンズワースが
主演していたのは嬉しい驚き
確かに傑作とは言えないし(笑)
極端なポリティカルコレクトネス主義の方にはオススメできませんが
インディアンは昔の絵に書いたようなインディアン
ドロンさまはお茶目でチャーミング
女優は可愛い
西部劇が苦手な人や、ラブコメ好きの女性も楽しめると思います
【解説】KINENOTEより
ウェルズ・ルート、ハロルド・グリーン、ベン・スターの共同シナリオを「夜を楽しく」のマイケル・ゴードンが監督した西部喜劇。撮影はラッセル・メティ、音楽はフランク・デヴォールが担当した。出演は「サイレンサー 沈黙部隊」のディーン・マーティン、「名誉と栄光のためでなく」のアラン・ドロン、「シェナンドー河」のローズマリー・フォーサイス、「荒野の3軍曹」のジョーイ・ビショップなど。製作はハリー・ケラー
これは開拓時代のアメリカ西部、テキサスに展開する物語である。