2014年当時、アメリカにおける認知症患者は約500万人
介護士はその倍の1,000万人以上
認知症患者の人数はさらに増え続け
介護問題は他人ごとではありません
しかも施設に入居した認知症患者は
薬漬けにされ、放置され「生かされている」だけの状態
やがて無反応になります
そこで、ソーシャルワーカー(日本でいう社会福祉士)である
ダンは音楽療法を試みることにします
それは昔好きだった音楽を聴かせるだけ
たったそれだけで、老人たちが眼を見開き
身体を揺らして歌いだす奇跡
しかも若かった頃の記憶まで蘇り、饒舌に話し出す
車椅子から立ち上がり踊りだす女性もいます
認知症だけでなく難病で寝たきりの患者を元気にする効果もありました
音楽は笑顔と、楽しかった過去を取り戻す
実際に脳で音楽を感知する部分は
認知になってもダメージを受けにくく
他の部分に刺激を与える特徴を持っているそうです
認知という見たくないものに蓋をするのではなく
何歳になっても、楽しめることを見つけてあげられる
そのひとつが音楽なのです
ダンはipot(アイポッドシャッフル)を
全ての介護施設に普及しようという運動を始めます
見ようによっては「ipotの営業か!」なんですけど(笑)
しかし、過去にペットセラピーの活動を広めようとしたボランティアが
非常に困難だと、理想と現実のギャップを訴えます
最も大きな課題は資金の問題でしょう
しかし運よく、動画サイトへの投稿が注目を浴びたのです
突然歌いだす認知症患者の姿に感動した、とコメントを寄せたのは
意外にも多くの若者でした
そういえば私も10代の頃、突然洋楽に目覚めたり(笑)
ディスコにMTVに夢中になった時期もあった(笑)
音楽が生活と共にあることを
「その時」には「その歌」があることを
若い人のほうが知っている
ダンの活動は認められ、多くの介護施設で
ipotが採用されるようになりました
(リンゴの会社が寄付してやれよ)
ただし、その人の本当に「好きだった曲」でないと
認知症治療の効果はないということ
みなさん、いつか終活を始める時には
自分のお気に入りだった曲を「パーソナル・ソング」として
しっかり残しておきましょう
テレビのドキュメンタリー番組的な作品ですが
下手な映画より、認知症や介護について考えさせられます
78分と尺も短いので、見る価値はあるのではないでしょうか
【解説】映画.COMより
近年、医学的にも注目されるようになった認知症やアルツハイマー患者への音楽療法を題材に描き、2014年サンダンス国際映画祭ドキュメンタリー部門で観客賞を受賞したドキュメンタリー。特効薬もないままに患者数が爆発的に増え続け、先進諸国で社会問題となっている認知症やアルツハイマー病。アメリカのソーシャルワーカー、ダン・コーエンは、患者が自分の好きな歌(パーソナル・ソング)を聞くことによって、音楽の記憶と一緒に何かを思い出すのではないかと思いつく。早速その療法を実行に移してみると、娘の名前すら思い出せずふさぎこんでばかりいた94歳の認知症男性ヘンリーが、好きな曲を聞いた途端に陽気に歌いはじめ、仕事や家族のことまで饒舌に語りだすという効果が表れた。さらに他の患者たちも、この音楽療法によって劇的な変化を見せるように。人間が失われた記憶を取りもどす奇跡の瞬間をとらえ、新たな治療法の可能性を探っていく。