「私の音楽は一般ウケしないから、売れたらいいと思う時もあるけど
第88回アカデミー賞、長編ドキュメンタリー賞受賞
音楽ドキュメンタリーで、このような大きな賞をとるのは
珍しいのではないでしょうか
ヘロインとアルコールの過剰摂取で亡くなった、27歳伝説のひとり
エイミー・ワインハウスの、鬱と、苦しみと、滅びゆく美しさ
「ヘイ・リトル・リッチ・ガール」と
「モンキー・マン」をカヴァーしたのがきっかけ
往年のスペシャルズ・ファンの夫から
「凄い女性シンガーがいる」と教えられたのです
その風貌と、歌唱力は衝撃でした
今の歌姫トップに影響を及ぼしたのも明らかでしょう
レディ・ガガはエイミーを真似しているし
アデルも意識している
ガガもアデルも成功してセレブの仲間入り
でもエイミーは違う
楽物中毒とアルコール依存症のため、ますます闇に入り込む
「BackTo Black」(バック・トゥ・ブラック)
日本語訳詞は「私は暗闇にいたけれども」
町山さんの解説によると
英語のスラングでブラック=ヘロイン中毒のことで
エイミーが恋をし、結婚したブレイクという男に宛てた歌
だけどブレイクはエイミーにヘロインを教え
女遊びばかりする最低の男
金目当ての寄生虫
エイミーも誰とでも寝る女でしたが
ブレイクに夢中でした
その彼が去ってしまう
”Kepthis dick wet”の”dick”とは男性のあそこのこと
ブレイクは”ディック”を濡らしたまま、他の女のところに行く
だから私はまたブラック(ヘロイン中毒)に戻る
そんな、陰々鬱々で破滅願望の歌詞なのですけれど(笑)
そこでの浮気がブレイクにばれ、ふたりは離婚
エイミーの麻薬依存はますます強くなっていきます
エイミーは孤独だったわけではありません
彼女を思う親友がいて、信頼できるマネージャーもいた
だけどどんな彼らの助けより、ブレイクと父親のいいなり
離れられなかったのです
でもエイミーの人生にも、歌にも、嘘はなかった
だから私たちは彼女の歌声に感動するのかも知れません
「生きていたなら彼女にこういいたい
生き急ぐな、貴重な存在だ、生き方は人生から学べる
2011年7月23日に27歳の若さで急逝した英国の天才女性シンガー、エイミー・ワインハウスの波乱に富んだ短すぎる生涯を描き、アカデミー長編ドキュメンタリー賞をはじめ数々の映画賞に輝いた音楽ドキュメンタリー。2003年にデビューするや、そのパワフルな歌声が絶賛され、瞬く間にスターの階段を駆け上っていったエイミー。しかし、曲作りのプレッシャーや執拗に追い回すパパラッチの存在、あるいは恋人の影響などから急速にドラッグと酒に溺れていく。本作は、貴重なプライベート映像や関係者へのインタビューを通して、そんなエイミーの知られざる素顔を明らかにするとともに、数々の歌詞に込められた彼女の想いに迫っていく。監督は「アイルトン・セナ ~音速の彼方へ」のアシフ・カパディア。