脚本はコーエン兄弟
つい、おおげさでドラマティックになりそうなスピルバーグを
現実的な日常に引き戻して、シュールなユーモアもあります
カメラはヤヌス・カミンスキー
実はアンタそこにいて見ていたんじゃないの?というくらい
これはスパイ映画というよりも
交渉こそが「外交」、ということと
壁作り大統領の批判こそがテーマ
壁により分断するとか、経済制裁とか
何の解決にもならないと訴えているのです
1957年
保険専門の弁護士であるドノヴァン(トム・ハンクス)は
弁護を嫌々引き受けることになりました
ドノヴァンは敬意を示します
裁判では死刑判決が出るところを
そのことでドノヴァンはアメリカ国民から非難を浴び
家には銃弾が撃ち込まれ家族の命にまで危険が及び
弁護士の仕事の依頼にも影響がでてしまいます
1960年
ソ連上空を撮影中に爆撃され拘束
東ドイツではフレデリック・プライヤーというアメリカ人大学生が
スパイ容疑で逮捕されます
ベルリンに向かうことになるドノヴァン
主権を認めさせたいという思惑がありました
お互いの国が大きな犠牲を払わなくては
最初の自動車保険の話が、終盤の”1対2”の交換とうまく絡み合って
ドノヴァンの保険専門の知識がいかに交渉に役立ったのかが伺えます
実にいい味を出していて、橋でお互いの顔を確認するときに
「わかるかな、アメリカに渡った時は若かったんだよ」とか
そこかよ!(笑)
この橋はベルリンのハーフェル川に実在するグリーニッケ橋で
冷戦時代は幾度となく東西スパイの交換場所として使われたそうです
アベルの今後を示唆するものでしたが
ソ連に戻ってからは諜報部に復帰したという
テロップが出たので安心しました(笑)
切手にもなったそうですし、よほど優秀なスパイだったのでしょう
壁を作ることではなく、橋をかけることのほうが大切
いくら相手が気にくわなくても、それを忘れてしまったら
苦しむのは善良で無実の人間ばかりなのです
表向きのエンタメな面白さだけでなく
その陰に潜んでいる真実を見極めてほしいというメッセージ
スピも年を取ったんだな
一触即発の緊張状態にあった米ソ冷戦時代に、実際に行われたスパイ交換をめぐる驚愕の実話をコーエン兄弟の脚本、スティーヴン・スピルバーグ監督、トム・ハンクス主演で映画化した緊迫と感動のサスペンス・ドラマ。ごく普通の一民間人でありながら、スパイ交換の交渉役という一歩間違えれば自らの命はおろか、かろうじて保っていた世界平和さえ崩壊させかねない極秘任務を託された主人公が、弁護士としての矜持と信念を支えに、絶体絶命の難局に立ち向かっていく姿をスリリングに描く。共演は本作の演技で数々の映画賞に輝いた英国の実力派舞台俳優、マーク・ライランス。
米ソ冷戦下の1957年、ニューヨーク。ルドルフ・アベルという男がスパイ容疑で逮捕される。国選弁護人として彼の弁護を引き受けたのは、保険を専門に扱う弁護士ジェームズ・ドノヴァン。ソ連のスパイを弁護したことでアメリカ国民の非難を一身に浴びるドノヴァンだったが、弁護士としての職責をまっとうし、死刑を回避することに成功する。5年後、アメリカの偵察機がソ連領空で撃墜され、アメリカ人パイロットのパワーズがスパイとして拘束されてしまう。アメリカ政府はパワーズを救い出すためにアベルとの交換を計画、その大事な交渉役として白羽の矢を立てたのは、軍人でも政治家でもない一民間人のドノヴァンだった。交渉場所は、まさに壁が築かれようとしていた敵地の東ベルリン。身の安全は誰にも保証してもらえない極秘任務に戸惑いつつも、腹をくくって危険な交渉へと臨むドノヴァンだったが…。