女と男の名誉(1985)




原題は「Prizzi'sHonor」(プリッツィ一家の名誉)

Mr.&Mrs.スミス」(2005)の元ネタ的なブラック・コメディ


ジョン・ヒューストン監督に主演はジャック・ニコルソン

さらには監督の娘、アンジェリカ・ヒューストン

もうこの時点でクセモノ映画の香りがプンプン()


しかも当時はニコルソンとアンジェリカは、実際に付き合っていたそうです

「シャイニング」(1980)と「アダムス・ファミリー(1991)カップルかよ

怖すぎるぜ()




ニューヨークを縄張りとするシシリアンマフィアプリッツ

ドンは年老いたコラード(ウィリアム・ヒッキー)

幹部は長男ドミニク(リー・リチャードソン)

次男エドアルド(ロバート・ロッジア)

相談役はパルテナ(ジョン・ランドルフ

そしてパルテナの息子殺し屋チャーリー(ジャック・ニコルソン


ドンの孫娘の結婚式の日チャーリーはラベンダー色の服の美女

アイリーン(キャスリーン・ターナー)に一目惚れしてしまいます

ロサンジェルスまで会いに行き、意気投合

その日のうちに激しく愛し合うのです




のんびりと50年代コメディ調に反して

どんどんと濃くなる「ゴッドファーザー」感(笑)

お互いの思惑と、勘違いと、絶妙な駆け引き


ある日、ファミリーから72万ドルを持ち逃げした

ヘラーという男を殺したチャーリー

そこに現れたのは、夫は行方不明と言っていたアイリーンでした

アイリーンはヘラーの妻で、チャーリーと同業の殺し屋だったのです

72万ドルは半分しか帰ってこなかったものの

チャーリーの彼女への思いは変わることがありませんでした





そのことをファミリーから勘当されているドミニクの娘

メイローズ(アンジェリカ・ヒューストン相談するチャーリー


ふたりは幼馴染でかっての婚約者、セックスもします

そしてメイローズから、お互いが殺し屋なんて好都合じゃない

私もあなたがアイリーンと「結婚」すれば勘当が解けるわ

と、アドバイスを受けるのです


チャーリーとアイリーンは結婚

その直後銀行頭取を誘拐する仕事が舞い込みます

アイリーンの見事な計画で犯行は成功しますが

偶然その場に現れた警部の妻を殺してしまったため

警察からの厳しい追及が始まってしまいます





窮地に陥ったファミリーは警察に犯人を差し出すため

チャーリーに妻殺しを依頼します

これはビジネスなのだと


一方、ファミリーに戻ることができたメイローズ

娘を捨てたチャーリーに敵を討ちたいドミニクは

チャーリーの妻と知らずに、アイリーンにチャーリー殺しを依頼します


愛する女よりファミリーを選択するチャーリー

ここはニコルソンの泣き顔を見れる貴重なシーン




とはいえ、アイリーンもプロ中のプロ

殺し屋なんて、いつまでもできる稼業ではない

大金を握って香港に逃げ、ふたりきりで暮らそうと誘うのです


お互い気を許したフリをして「夫婦による殺し合い」

死んだのはアイリーンのほうでした

そしてチャーリーはメイローズのもとに帰ります

本当の黒幕は「チャーリーを振り向かせるため」

アンジェリカだったと改めて気が付く

女の真意は、最後まで男にはわからないもの




だいたい女性にとって、名誉だのプライドは

余計なそもそも論(笑)


そしてキャスリーン・ターナーとアンジェリカという濃い女優ふたりに

悩めるオジさん、ジャック・ニコルソンのタジタジの姿は

若いころにはわからない、辛いものが感じられて

それなりには楽しめました



ニューヨークのマフィア、プリッツィ・ファミリーの一員で殺し屋を務めるチャーリー。彼はファミリーの結婚式でアイリーンという美女と出会い、一目惚れしてしまう。そして間もなく、チャーリーは彼女のいるロサンゼルスを訪れ、恋に落ちた二人はやがて結婚。しかし、実はアイリーンの正体もフリーランスの殺し屋だった。彼女はある日、ファミリーの長男ドミニクの娘メイローズがチャーリーに暴行を受けた、と聞いたドミニクからチャーリー殺しを依頼される。またチャーリーの方も、アイリーンがファミリーの大金を盗んだとしてボスからアイリーンの殺害命令を受けるのだが…。
 殺しを職業とする男と女。この二人が互いに恋に落ち、しかも互いを殺せと言う命令を別々の依頼主から受けたらどうなるか? そんな意表をついた発想の異色ドラマ。さすが名匠J・ヒューストンだけあって、卓越した技法を駆使して見事にアダルトなドラマに仕上げている。殺人決行の日が近付くにつれて盛り上がる緊迫感とブラック・ユーモアが鮮やか。原作はリチャード・コンドンの『女と男の名誉』。