ペギー・スーの結婚(1986)





大がかりでなく、アナログな可愛い小品
下記の「大人になって見るほどにホロ苦いファンタジーの名篇」
というallcinemaさんの解説には、なるほど!と思いました


キャスリーン・ターナーのどう見ても無理だった18歳が
今では夢見る大人女性として妙に納得できてしまうのです
これはあえて中年女性そのまま高校生を演じさせたという
コッポラ監督の青春映画を撮るテクニックに唸ります

しかもヒロインの娘役が、大物になる前のヘレン・ハント
ニコラス・ケイジの高校時代の高校仲間がジム・キャリーといった
初々しい姿を発見できるというのもお楽しみのひとつですね



先日、たまたまジムでテレビを見ていたら
男性が横浜、女性は沖縄が一番長寿なのだとやっていました
そして離婚率が低いのが横浜で、最も高いのが沖縄ということ
離婚すれば男性は早死にし、女性は長生きをするという統計に
女性一同が「うん、うん、うん」と頷き、男性は沈黙(笑)
そんなふうに結婚生活には男女ではギャップがある


「もし、人生をやりなおせたら同じ相手と結婚するか」
さて、どうします?



夫のチャーリーニコラス・ケイジ)の浮気が原因で
離婚を決意したペギー・スー(キャスリーン・ターナ―)
高校の同窓会で倒れてしまい、なんと25年前にタイムスリップ
これは酒でもあおらないと現実を受け入れれない

さあ今度は違う、もっといい男をモノにしてみせるぞ
数学の天才リチャード(バリー・ミラー)
小説家志望の変わり者文系なマイケル(ケヴィン・J・オコナー)
(珍味好きについては、私も人のことは言えない)



私だってその気になれば、モテるのよと言わんばかりに
チャーリーをそっちのけ
でもマイケルはユタに行くという(笑)

そんなエキセントリックで我儘なペギー・スーでも
チャーリーは大切にし、とてもやさしい
そしてこれでもかと愛の言葉を囁き、歌にして捧げるのです

次第に再びチャーリーに惹かれていくペギー
(チャック坊やには不覚にも笑ってしまった)



ペギー・スーのおじいちゃんと、おばあちゃんがよかったですね
長い結婚生活にはいろいろな危機や困難もあったでしょう
それでも「おばあちゃんのパイが家族を繋げてくれた」と
夫婦の繋がりとは、実はそんな些細なものかもしれない

チャーリーからのロケットのプレゼント
中の写真は息子と娘かと思ったら、自分と夫の幼い時のものでした
その時、やっぱり夫を選ぶ決意をするのです
彼と結婚したからこそ、愛する子どもに恵まれたのだから



目が覚めた時、ペギーは現在に戻っていました
そして心配そうにする夫が、ずっと付き添っていてくれたのです

これは白昼夢か、臨死体験によるインナー・トリップか
でもリチャードが科学者になってあらゆる発明をしていたり
一度寝たマイケルから約束の著書が贈られたということは
リチャードの「中身は何を入れてもいい」ブリトー理論は
正しかったのかな(笑)


ちなみに冒頭とラストの違和感ある鏡のシーンは
本当の鏡だとカメラが映り込んでしまうため
壁に穴を挟んで同じセット、鏡の手前と奥で同時に演者が演技したそうです
手の込んだ手法ながら、動きが少しズレてしまうのはご愛敬



過去に戻れたら現在は変えられるのでしょうか
わたしは自分の過去は変えられない気がします
でも、未来は今からでも変えることができる
それに気がつくことが大事なのではないでしょうか

アラフォー以上の既婚者には、もういちどじっくり見ていただきたい
そんな恋愛コメディの、隠れた佳作だと思いました



【解説】allcinemaより

仕事にかこつけて女を作っている夫チャーリーと別居中の妻ペギー・スー。そんな彼女にある日、高校の同窓会の知らせが届いた。そしてパーティーに出席し、懐かしい面々と昔話に花を咲かせるペギー。ところが、高校当時のようにキングとクイーンを選ぶメイン・イベントでクイーンに選ばれた彼女は、興奮のあまり倒れてしまう。やがて、ペギーは目を覚ますと、20年以上前の高校三年の時代にタイムスリップしてしまっていた…。
 コッポラの愛すべき小品。K・ターナーが17歳に逆戻りしちゃう話なんて、10年前の彼女だといえ無謀と言うなかれ(まあ、確かに倒錯に近いエグさ感じなくもないが)。夫(N・ケイジ。逆に彼の老けメイクの方がヘンだったゾ)と別居し、沈んでいたペギー・スーは同窓パーティの席で高校三年だった'60年にタイムスリップ、二度目の青春を謳歌しながら、真実の愛の在りように気付かされる。ターナーがキュート。彼女のベストの演技の一つだと思う。大人になって見るほどにホロ苦いファンタジーの名篇だ。