寒い国から帰ったスパイ(1965)




原作はジョン・ル・カレのスパイ小説の金字塔
裏切りのサーカス」も良かったので
ル・カレの地味な作風は、私とは相性がいいようです

最初はリチャード・バートンのあまりの不愛想さに
「リズは彼のどこが好きになったのかしら?」なんて
映画の内容とは関係ない邪念が入り
クレオパトラ」や「いそしぎ」のシーンが
勝手に頭に浮かんでは消えてしまいました(笑)

この作品のヒロインも
主人公のどこにそこまで惚れたのかが
あまり伝わらなかったですね


しかし、後半からはグッと引き込まれます

東独の保安司令官ムントを失脚させる計画のため
英国情報部員リーマス(バートン)は
情報部をクビにされた様に装い東ドイツに潜入し
図書館の職員として働きはじめます

早速、東ドイツ工作員接触してきて
ムントを陥れることに成功するその直前
共産党員である恋人の出現で事態は一転します





二重三重の思惑
誰が敵で、誰が味方なのか
陥れたつもりが、陥れられ、また陥れる

そしてこの感情の一切なかった冷酷なスパイが
まさか女のためにベルリンの壁を越えないとは
愛のために自らが捨て駒になるとは

「The Cold(寒い国)」とは、冷戦、分断されたドイツ
そして非道なスパイ活動そのものを指しているのでしょう

ただ、バートンが私にとってあまり魅力的でなかった
惜しくもお気に入りにはならず、でした



【解説】allcinemaより
ジョン・ル・カレ原作の『寒い国から帰ってきたスパイ』を映画化。イギリス情報部のリーマスが密命を帯びて東ドイツに潜入した。彼への指令は、東ドイツ諜報機関の実力者、ムントを失脚させることだった。リーマスは、ムントに敵対するフィードラーに接触、ムントが二重スパイであると告発する。任務は上手くいき、ムントは査問機関にかけられることになったが……。重厚なタッチのスパイ・スリラー。