赤穂浪士(1961)




これが名高い東映美術、本当に見事です

映画のセットだとはとても思えません
なんという完成度の高さ

この作品では、満開の桜の木を背景の
赤穂五万石の当主、浅野内匠頭切腹シーンが特に見事
桜の散りゆく花弁、美しい死
完璧ともいえる、儚さの映像での表現

赤穂の当主は、家族から、家来たちから
そして庶民からも愛される
心の優しい善人でした

しかし、五代将軍綱吉の治下
作法指南役の吉良上野介
正義感から賄賂を納めなかったため
意地の悪い仕返しをされてしまうことになります


そういえば、東京都知事のコメントでも
「頭の黒いネズミ」というたとえがありましたが
(この会見で初めて知った言葉ですが・・・苦笑)

都知事の味方をするわけではありませんが
こういう悪しき風習が、現代でも続いていると
思ってしまうのは私だけではないでしょう

議会での議員の下品なヤジからは嫌やしさしか感じません
あれがいい大人の発する言葉とは信じられません
政治家には思いやりやマナー、常識というものが
欠陥しているのでしょうか


この作品でも、権力者の下劣さに
同じような感情を抱きました


しかし、正義の味方が現れます
城代家老大石内蔵助は、名前を立花左近と変え
同志とともに、死んだ赤穂の当主の仇討ちを決意するのです

おじさまだし、顔も大きく
決してハンサムではないはずの千恵蔵様
だけど、だんだんと魅力的に思えてくる(笑)

ついには太鼓を叩くその姿にはホレボレ
グッときてしまいました

これが大スターの実力
カリスマだと驚かされます


現実の世界では、正義が勝つというのは
なかなか難しいことだと思いますが

権力のある方にこそ、多くの人々の声を聞き
知見を磨いてほしい
そんなふうに願ってしまう物語でした



【解説】allcinemaより 
大佛次郎の同名小説もとに「家光と彦左と一心太助」の小国英雄が脚色し「新吾二十番勝負」の松田定次が監督した、東映の創立十周年記念映画。東映時代劇の黄金期を飾るオールスターキャストが集結した豪華版で、1956年製作の「赤穂浪士(天の巻・地の巻)」のリメイク作品である。
 赤穂藩の当主である浅野内匠頭は勅使饗応役に選ばれたが、作法指南役の吉良上野介に賄賂を渡さないため、上野介から意地の悪い仕打ちを受けて激高、城内で上野介に斬りつけてしまう。内匠頭はその場で取り押さえられ切腹を命じられ、赤穂はお家断絶となってしまう。城代家老大石内蔵助は仇討ちの意志を仲間に伝え、城の明け渡しに応じた。上野介の息子の綱憲を当主とする上杉家で家老を務める千坂兵部は、かつて内蔵助の親友だったが、腕に自信のある浪人たちを集め上野介の警護にあたらせるのだった…。