「結局のところ、人間は独りです」
小津安二郎監督の遺作として名高い作品。
今でしたら、女性に「いくつになった」
「まだ嫁に行かないのか」などと発言したら
セクハラと非難されてしまいますが。
ちょっと昔までは年頃の娘がいたら結婚するのがあたりまえ
良い人がいたら紹介するのが当たり前の時代だったのですね。
でも父親の笠智衆は妻に先立たれ
娘の岩下志麻が家事をしています。
父親は娘がいないと困るし、娘もまだ嫁に行く気はなさそう。
だけど同窓会で恩師の娘が結婚せずに
父親の面倒を見ている姿をみて
友人たちは、ああなったらどうする?と責め立てます。
娘を嫁にやる決心をする父親・・・
もとは海軍のエリートで
今は会社員としてそれなりの地位にあるのでしょう。
娘も息子も立派に育ち、友人にも恵まれ
世間の人が見たなら羨む、そんな男。
だけれど戦争には負けてしまい
妻には先立たれ
娘の恋を叶えてあげることができなかった。
どうにか縁談がまとまった
娘の結婚式のあとがとても寂しいですね。
女性がいなくなってしまった家というのは
こんなにも暗く、寂寥感あるものなのでしょうか。
「あぁ・・ひとりぼっちか・・・」
セリフのひとつひとつが心に痛い。
孤独という名の残酷。
人生はほろ苦い
「秋刀魚の味」のようなものなのでしょう。
【概要】ウィキペディアより