早稲田松竹にて鑑賞
いやあ、びっくり(笑)
清流での釣りのシーンは名場面だとか
今見ても卓越した画面構成には驚かされます
「リバー・ランズ・スルー・イット」の釣りのシーンも
この作品をもとにしたのでしょうか
しかし、残念なことにフィルムの保存状態はかなり悪い
欠落している部分も多く、そこに何かがあったのかと気になります
ひとことで言えば、家族の美しい絆の物語
父親の仕事の都合で離れ離れに暮らすことになった父子
母親が早くに亡くなり、父親は母親代わりもしてたのでしょう
息子は寂しくてしょうがありません
大人になってもその寂しさは消えることはありませんでした
父親だけがたったひとりの肉親、頼れる人間
そして父親の遺言通り、元同僚の娘と結婚する息子
働き者でやさしく、可愛いお嬢さん
しかし揺れる列車の向こう側は、決して明るくはありません
まるで暗雲が待っているようなのです
映画を製作するには厳しい検閲の時代
そこに描かれているのは、家族の
男性らしさ、女性らしさの理想の姿
そんな中でも、小津監督なりに
伝えたいことを表現したのだと思います
強いものから我慢を強いられる
そのことを、これほど美しく描けるのは
小津監督以外には考えられない
やはり、名作のひとつだと思います
【解説】allcinemaより