黒い十人の女(1961)





スタイリッシュな映画ですねえ。
日本版フィルムノワールというのでしょうか
冒頭からクールでシャープな映像に驚かされます。
サスペンスタッチのお洒落なブラックコメディ。

テレビプロデューサーの風は
とにかく相手が女性であれば口説くような男。
女性の年齢や外見はあまり気にしないようです。

「僕を好きなように利用していいよ」と
やさしく甘い台詞をつぶやきます。
実際にその通りなのでしょう。
彼の愛人はそれなりの仕事を与えられます。

だけど自分だけに尽くしてくれるなら嬉しいけれど
風には奥さんと愛人で知ってるだけで10人もの女性がいるのです。

愛は嫉妬となり、憎しみとなり、やがて殺意に。
十人の女性は、風を殺害しようと計画し
協力しあうようになってしまいます。

一方の風はどうして彼女らが怒っているのか全くわからない(笑)
彼にとって女性は食事するのと同じ。
こってりしたものを食べたら、あっさりしたものがほしくなる
辛い物も好きだし、甘いものも欲しい
そのときどきの空腹を満たすような存在なのだと思います。

こんな優柔不断な男に愛想を尽かしながらも
やはり愛してしまう女たち・・
風を自分だけのものにしたい・・・

結局彼女らは浮気癖のあるモテ男の風が好きだったのね。
ひとりの女性に束縛される存在の男になってしまったら
やがてみんな風を見捨ててしまうことでしょう。

それは「黒い腹」の十人の女なのだから。



【あらすじ】ウィキペディアより
テレビプロデューサーの風松吉は、美しい妻・双葉がいながら、多くの女と浮気していた。妻と愛人たちはお互いの存在をそれとなく知っており、松吉が浮気者であるという事も重々承知しているものの、なぜか松吉から離れられないでいた。あるとき妻と舞台女優で愛人の市子とで松吉を殺す計画が持ち上がる。それは計画を立てることで松吉への鬱憤を晴らすための架空の計画であったのだが、気の小さい松吉は、愛人たちが自分を殺そうとしていると思いこみ、妻に相談する。妻はあっさり計画を認めた上で、二人で愛人を一掃するために、愛人を集めて松吉を糾弾する会を開き、その席上でピストルで松吉を殺したように見せかけるという狂言殺人を行うことにする。計画は図にあたり、愛人たちは妻に罪を着せたつもりで逃げ出すが、印刷会社を経営している三輪子は後を追って自殺する。松吉を死んだことにしておくため妻は松吉を部屋に隠すが、そのうちその存在を疎ましく思うようになり、狂言殺人であることを明かし愛人たちから糾弾される。妻は松吉と離婚し、市子が舞台女優を辞めて松吉を引き受けることになり、市子は愛人と元妻から祝福の花束を受け取って自動車を運転しつつ夜の闇の中に去っていく。