今見ても全く古くない。
誰が見ても考えさせられてしまうテーマでしょう。
私の個人的な判断なのですが
これを見たとき男性は自分がボケたときの恐怖を
逆に女性は認知症になった老人を介護する苦労という
全く逆の立場で鑑賞するような気がします。
私はあまり記憶にはないのですが
私の曾祖父も食欲ボケ、性欲ボケ、徘徊ボケだったそうです。
母が食事の支度をしようとしたらご飯がなくなってる
夜中に夫婦の寝室にやってくる
いつの間にか外出していなくなる
そんなことをいつもボヤいていました。
真夜中に曾おじいちゃんがいなくなった時には
近所の男衆に呼び掛けて大勢で探し回ります。
それはお互い老人を抱えている者同士の助け合いだったのでしょう。
あそこのおばあちゃんはトイレで倒れていたよ
おそこのおじいちゃんは隣の町まで歩いて行っていたよ
そんな言葉が行きかう。
私の曾おじいちゃんは川に落ちて死んでいました。
まだ子どものころ、この映画がテレビで放映されたとき
「そうそう、そうだよね」「ああ、こうしたよね」と
母が泣いていたのを思い出します。
「赤ちゃんみたいだけど、赤ちゃんのようには可愛くないのよ」
「ウンチもね、赤ちゃんみたいに綺麗じゃないし臭いし」
誰に言うわけでもなく呟いていた。
高峰秀子さんの顔が、そんな母とかぶります。
でももし私の両親や、パートナーの両親が認知症になったときには
私はどうするのかしら?
それは不謹慎かもしれないけれど
好きなものを思い切り食べさせて
好きな場所に行かせてあげたいと思います。
たとえ不健康で、身体に悪いことだとしても
そうしてあげたい。
その人が思う幸せを感じながら死ぬ・・
それが私の理想です。
【解説】allcinemaより