戦場のメリークリスマス(1983)

 
デヴィッド・ボウイさんを偲ぶ】
 
ロック界で最もセクシーな男、デヴィッド・ボウイ
69歳で亡くなる直前の写真も公開されましたが
相変わらずカッコいいですよねえ。
 
そしてつい踊ってしまいたくなるような名曲の数々。
Heroes」「Sound and Vision」「Changes」・・・70年代
「Ashes To Ashes」「Let’s Dance」「Modern Love」・・・80年代
好きな曲がありすぎて書ききれない!数えきれない!!
 
 
なんといっても音楽がいいですね。
ワムの「ラストクリスマス」や山下達郎の「クリスマスイブ」などと共に
今では日本のクリスマスの定番メロディーです。
 
日本兵による、収容所での外国人捕虜に対する
一方的で理不尽な虐待や処刑を描いたこの作品。
 
ストリーのほうはあまりいい出来とは言えないのですが。
それでも独特の魅力はあります。
 
たぶん本格的な演技をしたのは初めてだっただろう
北野武さんに、坂本龍一さん。
演技ができないのは本人たちが一番よく知っていたようで(笑)
 
だけど、のちに世界を魅了させるだけのカリスマを持っている人間は
やはりオーラが違います、ぐっと人の心を引き込む。
 
そして男性しか出演していないはずなのに
この作品にある妙な色気。
存在するだけで溢れるボウイの色香といったら!
ヨノイ大尉じゃなくても腰が抜けてしまうでしょう(笑)
 
私はこの作品の日本兵の描き方に
今のイスラム国を思い出してしまいました。
自分たちの精神論だけで、自分たちが重んじる秩序だけで
考え方や文化の衝突する相手を容赦なく拷問する
殺してしまう。
 
そんな場所に現れた美しい捕虜セリアズ。
ヨノイ大佐は彼に、当時の日本兵にとって
決して許されない感情を抱いてしまいます。
男が、日本男児が、異国の男に心を奪われてしまったのです。
 
日本兵を侮辱したと生き埋めにされるセリアズ。
セリアズの髪の毛を持ち帰るヨノイ大佐。
彼が死んでも彼への思いを断ち切れなかったのでしょう。
 
ハラ軍曹は粗野で横暴な男でしたが
人間的な一面も持っていました。
自分はサンタクロースなんだとローレンスとセリアズの命を
救ったこともあります。
 
戦犯として処刑される前日
「あのクリスマスの日を覚えているか?」と
ローレンスに呟くハラ軍曹。
 
ローレンスはハラのサンタクロースに
なることができたのだろうか・・・
 
 
 
ルックスもよくて、美しくって、才能もある
神様から祝福を受けたイイ男、デヴィッド・ボウイ
 
彼は本物の天使になったのでしょう。
ご冥福をお祈りします。
 

 
【解説】allcinemaより
 ジャワ奥地の捕虜収容所を舞台に、極限状況に置かれた人間たちの相克を描いた異色の人間ドラマ。原作はサー・ローレンス・ヴァン・デル・ポストの『影の獄にて』。日本軍のエリート士官ヨノイと、連合軍捕虜セリアズ少佐の奇妙な、愛情めいた関係を中心に描く。「愛の亡霊」など、既に海外での評価が上がっていた大島が描いた人間群像。それぞれの立場が微妙に絡み合う中で展開するドラマが、D・ボウイ、坂本龍一ビートたけし、T・コンティなどの個性豊かな才能に支えられ、観る者の心に響くメッセージを訴える。特にクリスマスの日、現代人が想像しうるガンコな軍人像を演じたビートたけしがロレンスに言う“メリークリスマス”は、印象的で今なお強い感動を与える名場面である。また、坂本龍一は映画音楽というジャンルでの才能を本作で開花。後の活躍をうかがわせた。