大脱走(1963)

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原題も「THE GREAT ESCAPE

原作は、自らの戦争実体験を活かした

ポール・ブリックヒルのベストセラー

 

いまさら何も語ることのない、傑作中の傑作(笑)

何度見てもやっぱり面白い、3時間近い長さも気にならない

戦闘シーンが一切ない戦争映画としても有名で

ジョン・スタージェス作品の中でも断トツ一番星

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シリアスに寄りすぎず、ユーモアとのバランス絶妙

オールスターにも関わらず、それぞれのキャラの役割分担が際立ち

最後まで内容がブレることはありません

 

イギリス人の紳士さ、ドイツ人の真面目さ

そしてアメリカ人の不屈の精神が

敵味方なく尊ばられているので見ていて気持ちいい

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そして何と言っても「独房王」ヒルツを演じた

スティーブ・マックイーンのかっこよさ

まだこの映画を見たことがないという

若いムービーファンがいたら絶対見て欲しい(笑)

 

グリーンがかったブルーの半そでトレーナーに、チノパン

ブラウンのアンクル型ブーツ(M-42サービス・シューズ

A-2フライトジャケットというシンプルな組み合わせ

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間違いなくこの映画のマックイーンを見た次の日には

中田商店に行き、同じようなフライトジャケットを探し

ブーツの紐を結び、肩から下げることでしょう

バイクの免許も取りに行くかも知れない

なぜなら、マックイーンになりたい気持ちが止まらなくなるから(笑)

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「枯れ専」女子に「ビッグX」の異名を持つ

バートレット(リチャード・アッテンボロー

頭脳明晰なカリスマで、SSからマークされています

 

ドイツ空軍大佐のルーガー所長も好し

人権派で連合軍捕虜の主張にも、同じ軍人として理解を示す人徳者

最後は捕虜を逃がした責任を問われ解任されるものの

自分が正しいと思った信念は貫く、これが男だよ

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ルーガー所長を敵ながら信頼する

片足が不自由なイギリス空軍の将校ラムゼイ

 

そして捕虜収容所に集められた脱走のプロたち

「トンネル王」ダニー(チャールズ・ブロンソン)と親友のウィリー
「分散屋」エリック(ズボンを使った土処理を考案)
「警備屋」ソレン(ドイツ兵の警備を監視)
「測量屋」デニス(トンネルから出た瞬間転んでしまい脱走を気づかれる

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目が見えなくなってしまう「偽造屋」(コリンドナルド・プレザンス)と

「調達屋」ヘンドリー(ジェームズ・ガーナー)の熱い友情

(可愛いドイツ兵を買収する、高級食材をどこで調達したかは謎 笑)

 

各シーンごとに描かれるちょっとした行動が

後の重要な伏線にもなっているのが面白い

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スコットランド出身の「情報屋」マックは

英語、フランス語、ドイツ語に堪能で
フランス人の通行書でバスに乗ろうとしますが
Good luck」の挨拶に、「Thank you」と答えてしまうのは
あまりに有名なシーン

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脱走者76名のうち脱走に成功したのはたったの3

ボートで海へ出て貨物船に乗り込むことに成功した
トンネル王」のダニーとウィリーと
レジスタンスに助けられた「製造屋」セジウィックジェームズ・コバーン
(悠々と自転車で逃げる姿の、足の長さよ 笑)

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トラックに集められた捕虜50名はSSによって射殺

(映画は亡くなった50名に捧げられている)
生きたまま捕まり再び捕虜になったのは11
残りは生死不明(その後17名がもとの収容所、6名がの収容所に収容)

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結果として多くの死者を出し、大脱走は失敗といっていいのだけど

自らも有刺鉄線に絡まってしまい、捕まっても

グローブとボールを受け取り、意気揚々と独房に入ってゆくマックイーン

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そこには孤高で、強烈な生命力しか感じられない

そのスタイルを最後まで守り続けたマックイーン

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もちろん「お気に入り」

たとえ世の中がどうなっても、「自分はどうあるべきか」という

信念も学べるのではないでしょうか

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【解説】allcinema より

「荒野の七人」(60)に続き、J・スタージェスがオールスター・キャストで監督・製作した作品。第二次大戦中、脱出絶対不可能とうたわれたドイツの捕虜収容所から、連合軍捕虜が大量脱走したという実話の映画化だが、その題材の面白さもさることながら、見せ場に次ぐ見せ場を盛り込んだ脚色と、ダイナミックな演出によって類稀な娯楽作品に仕上がっている。独房で黙々とキャッチボールを続けるマックィーンをはじめ、J・ガーナー、R・アッテンボロー、J・コバーン、C・ブロンソン、そしてD・マッカラムなど個性豊かなキャストも魅力的。E・バーンスタインのメロデイも心地よく、あっと言う間の3時間弱である。