原題も「THE GREAT ESCAPE」
原作は、自らの戦争実体験を活かした
ポール・ブリックヒルのベストセラー
いまさら何も語ることのない、傑作中の傑作(笑)
何度見てもやっぱり面白い、3時間近い長さも気にならない
戦闘シーンが一切ない戦争映画としても有名で
ジョン・スタージェス作品の中でも断トツ一番星
シリアスに寄りすぎず、ユーモアとのバランスの絶妙さ
オールスターにも関わらず、それぞれのキャラの役割分担が際立ち
最後まで内容がブレることはありません
イギリス人の紳士さ、ドイツ人の真面目さ
そしてアメリカ人の不屈の精神が
敵味方なく尊ばられているので見ていて気持ちいい
そして何と言っても「独房王」ヒルツを演じた
スティーブ・マックイーンのかっこよさ
まだこの映画を見たことがないという
若いムービーファンがいたら絶対見て欲しい(笑)
グリーンがかったブルーの半そでトレーナーに、チノパン
ブラウンのアンクル型ブーツ(M-42サービス・シューズ )
A-2フライトジャケットというシンプルな組み合わせ
間違いなくこの映画のマックイーンを見た次の日には
中田商店に行き、同じようなフライトジャケットを探し
ブーツの紐を結び、肩から下げることでしょう
バイクの免許も取りに行くかも知れない
なぜなら、マックイーンになりたい気持ちが止まらなくなるから(笑)
「枯れ専」女子には「ビッグX」の異名を持つ
バートレット(リチャード・アッテンボロー)
頭脳明晰なカリスマで、SSからマークされています
ドイツ空軍大佐のルーガー所長も好し
人権派で連合軍捕虜の主張にも、同じ軍人として理解を示す人徳者
最後は捕虜を逃がした責任を問われ解任されるものの
自分が正しいと思った信念は貫く、これが男だよ
ルーガー所長を、敵ながら信頼する
片足が不自由なイギリス空軍の将校ラムゼイ
そして捕虜収容所に集められた脱走のプロたち
- 「トンネル王」ダニー(チャールズ・ブロンソン)と親友のウィリー
- 「分散屋」エリック(ズボンを使った土処理を考案)
- 「警備屋」ソレン(ドイツ兵の警備を監視)
- 「測量屋」デニス(トンネルから出た瞬間転んでしまい脱走を気づかれる)
目が見えなくなってしまう「偽造屋」(コリンドナルド・プレザンス)と
「調達屋」ヘンドリー(ジェームズ・ガーナー)の熱い友情
(可愛いドイツ兵を買収する、高級食材をどこで調達したかは謎 笑)
各シーンごとに描かれるちょっとした行動が
後の重要な伏線にもなっているのが面白い
スコットランド出身の「情報屋」マックは
- 英語、フランス語、ドイツ語に堪能で
- フランス人の通行書でバスに乗ろうとしますが
- 「Good luck」の挨拶に、「Thank you」と答えてしまうのは
- あまりに有名なシーン
脱走者76名のうち脱走に成功したのはたったの3名
- ボートで海へ出て貨物船に乗り込むことに成功した
- トンネル王」のダニーとウィリーと
- レジスタンスに助けられた「製造屋」セジウィック(ジェームズ・コバーン)
- (悠々と自転車で逃げる姿の、足の長さよ 笑)
トラックに集められた捕虜50名はSSによって射殺
- (映画は亡くなった50名に捧げられている)
- 生きたまま捕まり再び捕虜になったのは11名
- 残りは生死不明(その後17名がもとの収容所、6名が別の収容所に収容)
- 結果として多くの死者を出し、大脱走は失敗といっていいのだけど
自らも有刺鉄線に絡まってしまい、捕まっても
グローブとボールを受け取り、意気揚々と独房に入ってゆくマックイーン
そこには孤高で、強烈な生命力しか感じられない
そのスタイルを最後まで守り続けたマックイーン
もちろん「お気に入り」
たとえ世の中がどうなっても、「自分はどうあるべきか」という
信念も学べるのではないでしょうか
【解説】allcinema より
「荒野の七人」(60)に続き、J・スタージェスがオールスター・キャストで監督・製作した作品。第二次大戦中、脱出絶対不可能とうたわれたドイツの捕虜収容所から、連合軍捕虜が大量脱走したという実話の映画化だが、その題材の面白さもさることながら、見せ場に次ぐ見せ場を盛り込んだ脚色と、ダイナミックな演出によって類稀な娯楽作品に仕上がっている。独房で黙々とキャッチボールを続けるマックィーンをはじめ、J・ガーナー、R・アッテンボロー、J・コバーン、C・ブロンソン、そしてD・マッカラムなど個性豊かなキャストも魅力的。E・バーンスタインのメロデイも心地よく、あっと言う間の3時間弱である。