原題は「Malgré-elles」(彼ら(彼女たち)にもかかわらず)
第二次世界大戦中のドイツ占領下の労働収容所とレーベンスボルンが舞台
レーベンスボルン「Lebensborn」(生命の泉 )とは、ナチ親衛隊(SS)が
ドイツ民族の人口増加と「純血性」の確保を目的とした女性福祉施設のこと
養子仲介などを行った収容所のこと
ひ孫が誕生することになり、妊娠中の孫娘に記録のためにと
戦争時代の経験を語り聞かせている祖母
アルザス人の少女たちがドイツの爆弾工場の
労働者キャンプに収容された時のことでした
アリスは気が強く決してドイツ人に屈しないタイプ
一方のリゼットは素直で態度も好く、親衛隊の上司からは好かれ
仕事ぶりも表彰されるほどでした
アリスはそんなナチ寄りとも思えるリゼットが嫌いでしたが
リゼットは見かけとは違い、実は芯のある女の子で
戦地に行った離れ離れの婚約者を一途に思う生粋のアルザス娘
対称的なふたりはやがて親友になります
ある日工場の爆弾が爆発して
アルザス人のアリスとリゼットはテロの疑いをかけられてしまいます
しかしある将校の”はからい”でふたりは女性専用の福祉施設に送られ
金髪のリゼットは待遇のいい看護師として
東洋人っぽい顔立ちのアリスは掃除婦として働かされます
アリスは施設にいる女性や、彼女たちが産んだ子どもが
皆金髪で青い目なのを不審に思いはじめます
またポーランドから連れてこられた子どもたちは選別され
金髪の青い目の子にはドイツ人の名前が付けられていました
リゼットは医師により顔の骨格を丹念に調べられ
前回の生理がいつきたかを訊ねられる
そんなある日、女性たちが「ユダヤ人はいいわね、羨ましい」と
「でも今はもう私たちのもの」と服飾を漁り、笑いあっていました
リゼットはその中の1枚のワンピースを施設長に渡され
個室に連れて行かれると、あの”将校”がやってきました
それから何週間か後、医師は「おめでとう、彼の6番目の子だ」と
リゼットに告げます
どんなに辛い時でも、婚約者への愛だけが心の支えだったのに
ナチの男に犯され、敵の子を身籠ってしまった
なんという苦しみ、だけどお腹の赤ちゃんに罪はない
赤ちゃんは親衛隊に渡さない
アリスは臨月になったリゼットを連れ施設を脱走します
逃げた農家で助けを求め、爆弾工場の責任者だったダスラー少佐に電話します
すぐにダスラーはやってきて、ふたりを修道院に匿います
しかしそこで女の子を出産したあとすぐ、リゼットは川で自殺してしまい
アリスは産まれた赤ちゃんを自分の子として育てる決意をするのです
ここらへんは戦争による民族浄化や遺伝子重視というより
処女懐胎、受難と死、復活、奇跡・・といった
宗教的なものを感じるでしょう
ダスラーは子どものために結婚しないかと
アリスにヘタクソなプロポーズをします
後から「愛している」と付け加えましたけど(笑)
「二十四時間の情事」(Hiroshima mon amour 1959)でも描かれていましたが
占領下のフランスで、フランス人女性がドイツ兵と恋愛すると
村八分にされ糾弾や迫害されたんですね
それを避けるためにも結婚して残ったほうがいい
またダスラーが下半身が不自由なことから子どもが望めなく
母子共に受け入れる心の準備が出来ていたのでしょう(勝手な想像です 笑)
リゼットの結末は悲しいものでしたが
夫婦がリゼットが残した娘をいかに愛し大事に育てのかが
孫がナチの末裔であることを恥じていないことから伺えます
フランスでも日本と同じく、大戦を知らない若者が増えてきてるのでしょう
テレビ映画ということで、ちょっと素敵で上品すぎますが(笑)
二度と同じ過ちを繰り返さないためにも
体験者から若い世代に語り継ぐ大切さはうまく描けていると思います
ただ字幕が自動翻訳なのか、残念な日本語が多かったこと
未公開のマイナー作品にこれが多いのだけは
Amazonプライムさん、勘弁してなのよね(笑)