原題は「Dawn of the Dead」 (死者の夜明け)
「エクソシスト」(1973) 「悪魔のいけにえ」(1974)
「オーメン』(1976) 「ハロウィン」(1978) 「死霊のはらわた」(1981)
と並ぶオカルト、スプラッタ―映画の最高峰のひとつ
「ゾンビ」には大きくふたつのバージョンがあり(ストーリーは同じ)
監督のジョージ・A・ロメロ自身が編集を手がけた「米国劇場公開版」と
ダリオ・アルジェント監修で編集された「ダリオ・アルジェント監修版」
1978年に日本で劇場初公開されたのは「アルジェント版」で
1985年の初ビデオリリースは「米国劇場公開版」が
マスターとして採用されたそうです
本作は撮影終了後カンヌ映画祭のフィルムマーケットのために用意した
「米国劇場公開版」編集前の、いわばオリジナル版
「米国版」より12分長く「米国版」「アルジェント版」にはないシーンや
サウンドトラックがいくつか含まれているそうです
これらの「ゾンビ」のバージョンの乱立について、ロメオ監督曰く
「いろんなバージョンが出ているのは知ってるんだけど
それぞれのバージョンを全部は観ていないし、どれがどれだかよくわからない 」
(私もだ 笑)
しかし制作から40年以上の時を経ても
いまだ変わらない「ゾンビ」の造形を確立した実績は凄いことだし
ホラーであり、サスペンスであり、コメディであり
時に哲学であり、消費に対する批判的目線の社会映画でもあります(笑)
大爆発を起こした惑星から発せられた光線により蘇った死者(ゾンビ)が
食料の人肉を求め次々と人間に襲いかかり
襲われた人間もまたゾンビとして蘇っていました
ゾンビを倒す方法は、頭に弾丸を撃ち込むか、頭を叩き割るだけ
ゾンビと戦っていたSWAT部隊のロジャーと黒人のピーターは
テレビ局で働いている友人ステファンと、その恋人フラン(妊娠中)と
ヘリコプターで巨大なショッピングセンターに逃れます
そこでもゾンビとの戦いは続き
トラックを運転中のロジャーが襲われ死んでしまいます
次に強盗団がやって来てショッピングセンターを荒し
入り込んできたゾンビによって彼らの何人かは食いちぎられ
エレベーターの中ではステファンが殺されてしまいます
蘇ったステファンは人肉を求め、ほかのゾンビたちと
ピーターとフランを追ってきました
一時は残って自殺しようと思ったピーターでしたが
ステファンに引き金を引き、フランの操縦するヘリコプターに乗り込むのでした
子どもの頃、夢に見ましたよね「誰もいないデパートで暮らしたい」
(当時の日本にはまだ巨大ショッピングモールがなかった 笑)
それって万国共通なんですね
主人公たちもゾンビから逃れたモールで
食べ放題、飲み放題、高級品を漁り放題
ヒロインのお腹が大きくなったところを見ると
何カ月も生活したという設定なのでしょう
ヒッピーだか暴走族の強盗団がこなかったら
ここで出産したかも知れません(笑)
銃撃シーンや、ゾンビが人肉を食らうシーンは逸品で
骨はしゃぶるわ、内臓は引きちぎって奪い合うわ
(いちばん美味しいところなのね 笑)
CGなし、しかも破格の低予算でよくやったと思います
これらの描写がその後の多くのスプラッター映画や
ゲームの世界に与えた影響は計り知れません
万人にはおススメできませんが(笑)
内容もしっかりしているし、今でも十分に鑑賞に堪えられる
いまだ多くのファンがいるのも納得しました
【解説】シネマトゥディより
1978年製作のホラー映画の金字塔を、ジョージ・A・ロメロ監督本人の再編集によってリバイバル上映するディレクターズ・カット版。ショッピングモールを舞台に、生き残ったわずかな人間とゾンビの群れが恐怖の死闘を繰り広げる。日本公開バージョンの本編よりも 20分も長く、音楽も改めて選曲。オリジナル版にも増して暗く絶望的な終末ムードが全編にわたって漂い、残酷さとともに 描かれるゾンビの苦悶や悲哀も鳥肌ものだ。