原題は「Night of the Living Dead」(生きる死体の夜)
かき集めた10万ドルちょっとの製作費で
250倍以上の利益をたたき出したという
当時最も利益をあげたジョージ・A・ロメロの監督長編デビュー作で
本作がなければ、その後のゾンビ文化は生まれなかったと
評されているゾンビ映画の礎
「死者が蘇って生者の肉を喰らう」
「ゾンビに噛まれた者も、またゾンビになる」
「脳を破壊されるまで活動を停止しない」
というゾンビの定義もここから
しかも意外と物語もちゃんとしている(笑)
最近のゾンビ映画よりよっぽど面白い
ただ「ゾンビ」という単語はまだ使われておらず
あくまで「Living Dead」
または「Ghoul」(グール 食屍鬼しょくしき)と呼んでいます
父の墓参りに来た兄妹が突然喪服の男に襲われる
兄を殺され、乗ってきた車も動かなくなり
妹のバーバラは助けを求めて近くの民家に逃げ込むと
黒人青年のベンがやってきて
地下室には若いカップルのトムとジュディ
クーパー夫妻と病気で寝込んでいる幼い娘が潜んでいました
そこに続々と人々が集まってきて民家を取り囲みます
しかもなんだか様子がおかしい
前半はなにが起こっているか全くわかりません」
テレビを見つけ中継を見ると
彼らは死んだ人間が蘇った「死者たち」ということ
そして「死者」に襲われた人間もまた「死者」になってしまうこと
しかしバトラー郡(ペンシルベニア州)のマクレランド保安官が
「死者」は「動きが鈍い」「火を恐れる」
「頭部を破壊すると死ぬ」という特徴を見つけ
自警団と共に「死者」退治に向かっていると報道されていました
そこからは人間同士のドラマになっていくんですね
避難所まで車で逃げようというベン
救助が来るまで地下室に立て篭もったほうが安全だというハリー
ハリーは自己中心的で
民家に侵入しようとする「死者」退治にも協力的ではなく
妻のヘレンも不満を募らせています
それも病気の娘のことを案じてのことなのですが
口下手で不器用な男なんですね
なので皆はベンが正しいと思い
ベンとトムとジュディはトラックにガソリンを入れるため
自家用の給油所に向かいます
ところが「死者」を追い払うため用意していた火炎瓶がガソリンに引火
しかもパニックになったトムとジュディが火が付いたトラックで走り出し
ふたりはトラックと共に炎上してしまいます
ひとり民家に戻ったベン
しかしハリーはベンを家に入れようとはせず(ベンはドアを蹴破って入る)
ゾンビが侵入しないようバリケードを守るベンを置き去りにして
地下室に逃げ込もうとします
怒ったベンはライフルでハリーを撃ち
ハリーは娘の傍に倒れ息絶えてしまいます
その間に「死者」たちは民家になだれ込み
バーバラは「死者」となった兄に連れ去られてしまいます
地下室に逃げたハリーの妻ヘレンは
夫が娘に食べられている姿を目撃(娘の病気は「死者」に噛まれたため)
さらに娘はヘレンもスコップで殴り殺し、ベンに襲いかかります
ベンは娘を突き飛ばし、蘇ったハリー夫妻を射殺
地下室の階段に座り込み、疲れ果てて眠ってしまうベン
やがて朝が来くると、マクレランド保安官らにより多くの「死者」が駆除され
混乱は収まりつつありました
外の様子に気付いたベンが目を覚まし助けを求めると
ベンを見つけた自警団のひとりが
ベンを「死者」と勘違いし射殺してしまいます
そうしてただひとり生き残ったはずのベンも
「死者」たちと一緒に死体置き場に投げ込まれたのでした
結局最後は、人間対人間
確かめもせず殺されたのが黒人というのも皮肉
(1964年に”一応”公民権法が設立されている)
【解説】映画.COMより
ホラー映画の巨匠ジョージ・A・ロメロ監督が1968年に手がけた長編デビュー作で、後世に多大な影響をもたらしたゾンビ映画の原点にして金字塔。襲いかかる死者の群れから生き延びるため、人々がそれぞれの立場を優先して勝手な行動によって破滅していく姿を描いていく。父の墓参りにやってきたバーバラと兄のジョニーに、突然よみがえった死体=ゾンビが襲いかかる。ジョニーは抵抗するも犠牲となり、バーバラは恐怖と悲しみに襲われながら近くの民家に逃げ込む。ほかの避難者たちとともに民家に立てこもるバーバラだったが、外部との連絡が取れないまま、民家はゾンビの群れに取り囲まれていく。しかし、次第に避難者たちのあいだで脱出を図るか、救助を待つかで意見の対立が生じていく。人肉を食らい、食われた人間もゾンビ化し、倒す方法は脳を破壊するだけといった、後に大量生産される同種の映画にも引き継がれるゾンビの定義を確立した一作。日本では劇場未公開だったが、2022年6月に4Kリマスター版で劇場公開。4Kリマスター版は、2016年に監督のジョージ・A・ロメロ、共同脚本のジョン・A・ルッソらの監修により4Kデジタルレストアされたもので、音響もロメロ監督らの監修で修復された。
1968年製作/96分/G/アメリカ
原題または英題:Night of the Living Dead
配給:アンプラグド