若草の頃(1944)

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原題は「MEET ME IN ST. LOUIS セントルイスで会いましょう)

オズの魔法使」から5年後、ジュディ・ガーランド22

ヴィンセント・ミネリの初監督作品にして出世作

ジュディはすでにこの頃神経症と薬物依存で

最初はしぶしぶ演技をしていたそうで、映像でもそれが見て取れます

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ストーリーは「若草物語」によく似たシテュエーションですが

(ここでもマーガレット・オブライエンが目立つ 笑)

田舎の風景や街並みの、クラシカルで絵画的映像の美しさに

ノーマン・ロックウェルのイラストに登場してきそうな魅力的なキャラ

そこに描かれる郷土愛と家族愛

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そして「A boy next door 」(ボーイネクストドア

The trolly song 」(トロリーソング

Have yourself a merry little Christmas

メリー・リトル・クリスマスを待っている

Meet me in St. Loius 」(セントルイスで会いましょう) という

素晴らしい名曲の数々

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批評家からは高い評価を受け、MGM社にとって

1940年代最も成功したミュージカル

風と共に去りぬに次ぐ利益をあげたヒット作

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それにジュディが気を良くしたのかどうかはわかりませんが(笑)

ジュディとヴィンセント・ミネリは結婚

翌年には娘のライザ・ミネリが誕生しました

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1903年夏セントルイス田舎町に住むスミス一家は

おじいちゃんと、両親と、長男のロン・ジュニア

長女のローズ次女のエステル(ジュディ・ガーランド)はお相手を探すお年頃

三女のアグネスと末っ子のトゥーティ(マーガレット・オブライエン)はまだ幼い

そしてメイドのケイティとで平和で幸せに暮らしていました

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ローズは、ウォーレンという男性からプロポーズされる電話を期待しています

空気の読めない父親のせいで、夕食中に家族全員が出席しているとき電話が鳴り

しかもウォーレンがプロポーズの言葉を失敗したばかりに

ローズは恥ずかしい思いのあまり新しい恋人が出来たと嘘をついてしまいます

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エステルは隣に引っ越してきたジョンに恋していて

ホームパーティーすべての帰ったあと

ジョンに家中の灯り(ガスランプ)を消すのを手伝ってもらいますが

「おばあちゃんと同じ香水を使っていると言われムードが台無し


博覧会の建設現場を一緒に見に行く約束をしても、やってこないジョンにがっかり

遅れてきたジョンがトロリー(路面電車)を追いかけて走る姿を見て元気になります

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秋、ハロウィンのお祭りで末っ子のトゥーティが巻き起こす騒動

ハロウィンといえば、子どもたちが近所に

お菓子をもらいにいくことで知られていますが

昔は隣人を殺し(本当に殺すのではなく小麦粉を投げつける)たり

スクラップの家具などを焚火にしていたんですね


エステルとジョンの最初のキス

「明日も暇なら殴りに来てくれる?」(笑)

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冬、クリスマスイブ

パーティに行けなくなったジョンの代わりに

エステルをエスコートするおじいちゃん(ハリー・ダベンポート)

素敵すぎて「枯れ専」を刺激するぜ(笑)

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ローズはウォーレンとよりを戻し

エステルは遅れてきたジョンからプロポーズされます

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家では相変わらず過激なトゥーティが

(こういうのが成長したらトランプ派になるんだな 笑)

ニューヨークに行きたくないと、かんしゃくをおこして雪だるまを破壊

それを見ていた父親は、家族のためニューヨーク行きを諦めます

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1904春、世界博覧会

会場を見下ろしながら家族は、やっぱりセントルイスがいちばん

と、感じるのでした


メルヘンチックと、可愛らしさと、ユーモア

そして家族愛

ディズニーのプリンセス映画は絶対影響受けている気がする(笑)

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1994年、本作はアメリカ議会図書館により重要文化映画とみなされ

アメリカ国立フィルム登録簿に認定されたそうです

 



【解説】allcinema より

V・ミネリの出世作で、この仕事が縁で彼はガーランドと翌年結婚した。公開が「若草物語」の後だったので、邦題はこうだが時代はぐっと下って今世紀初めの話で、そうした風物の面白さが巧みに作品の背景におかれている。“The Boy Next To Door”、“Have Yourself Merry Little Christmas”など名曲の宝庫で、純然たるミュージカルではないが、ジュディの唄を愉しむのに最適の一編でもある。とりわけ、博覧会場に向かう市電に乗って唄う“The Trolley Song”の昂揚感は得難く、バック・コーラスのアレンジなど見事なものだ。その演出にも舞台的な良さがある。だが、それ以上に素晴らしいのは、スピルバーグも真っ青の児戯的イメージに貫かれた、ハロウィンやクリスマスの、恐怖感や一抹の寂しさを伴った画面作りで、美術出身らしいミネリの確かな造形センスをそこに見る。中西部セント・ルイスに住む、ごく平均的な中流家庭スミス家の次女エスターは隣家の新たな一員となったジョンに恋したが、勝ち気な彼女は優柔不断な彼に腹を立ててしまい、絶交状態にあったときに父のニューヨーク栄転の話が舞い込み、四女のトゥーティは雪だるまを壊しては泣き、姉と唄を口ずさんではまた涙。もちろん、ジョンと別れ難いエスターとて泣きたい気持ちは同じ。沈んだ家族の心中を察した父は本社配属を諦め、翌年の万博には一家やジョンたちも揃って見物にランタンを下げて繰り出すのだった。世紀の変わり目の改革の気運とノスタルジアとに引き裂かれ、後者を選択すれば結局、おらが村も文明開化であった--という案配。とにかくジュディの魅力全開の一編だ。