原題は「THE HIGHWAYMEN」(追いはぎ)
道路(highway)沿いで、旅行者や通行人を狙った強盗のこと
あの「俺たちには明日はない」(「Bonnie and Clyde」1967)の
衝撃的なラストに至るまでのもうひとつの物語
テキサス・レンジャー(The Texas Ranger)とは
テキサス州公安局に属する法執行官(裁判の執行などを行う裁判所職員)のこと
現在もハイウェイパトロール(Texas Highway Patrol)とともに
200人以上の職員が州公安局の中核を担っているそうです
1934年、FBIは2年に及ぶ追跡にも拘わらず
ボニーとクライドのふたりを逮捕できないでいました
しかも、彼らの仲間が刑務所から奪回されてしまう
テキサス州犯罪取締部のシモンズ部長(ジョン・キャロル・リンチ)は
FBIとは別に、今は解散してしまった元テキサス・レンジャーで
悪名高いフランク(ケビン・コスナー)を雇うことにします
フランクは妻のためシモンズの申し出を一旦は断りますが
ミズーリ州での銃撃戦をニュースを聞き、昔の血が騒いでしまった
かつての仲間メイニー(ウディ・ハレルソン)を訪ねます
「一晩で50人以上殺した」
リアル「ナチュラル・ボーン・キラーズ」かい(笑)
ウディ・ハレルソンは公私ともに、これ以上ない適役
悠々な隠居生活を送っていたフランクと違い
酒におぼれ、生活苦に陥っているメイニー
フランクは使い物にならないと思い
彼に会わないまま立ち去るのですが
もう一度一緒にやらせてくれないかと、この男がなかなかしぶとい(笑)
しかも他の凄腕テキサスレンジャーはみんな逝ってしまっている
フランクは渋々メイニーと相棒を組みますが
運転さえ任せようとはしない
でもメイニーがションベン中に襲ってきた相手の顔を
便器に突っ込むのはカッコいいぜ(笑)
フランクとメイニーは、犯罪者の心理をよく知っていて
ボニーとクライドの行く先をFBIより早く的確に判断するんですね
(クライドの父親の心情を吐露するシーンはそれなりに感じる)
そして悪い奴が仲間を簡単に売ることも知っている
いくら国民的英雄だろうが、アイドル並の扱いをされていようが
彼らは本物のギャングじゃない、ただのチンピラ
脱獄に失敗した仲間を釈放し
ボニーとクライドに接触させとうとしたが失敗
作戦がバレて男が殺されてしまう
ボニーとクライドに同行している男の父親
(ボニーとクライドを匿っている)がいるルイジアナ州まで行き
捜査権限がないため、地元の保安官が汚職していないか確認したうえ
協力を依頼し
一味の父親には息子を助けるのと引き換えに、捜査協力するよう求めます
そしてボニーとクライドの顔を確かめるため
ふたりの幼なじみ、テッドを呼び寄せ保安官たちと待機
父親が実家へと続く1本道でパンクの修理をしている
ボニーとクライドが車を停める
次の瞬間、父親は走り去り
激しい銃弾がふたりを襲います
(150発あまりの銃弾が撃ち込まれた)
アメリカってどんだけ銃弾が溢れてるのかしらないけど
本当に見境なく乱射するのが好だな(笑)
描き方は、決してボニーとクライド側に寄り添わない
ただ、ボニーが白いウサギを連れていたことを
ボニーから家族へのプレゼントだろうと、テッドは教えます
彼にもやさしいところはあったのだと
ボニーとクライドの死で町中は大騒ぎになり
多くの若者たちがハチの巣になった死体と車に集る異様さと
現場を知らない知事(キャシー・ベイツ)が
得意気にテキサス・レンジャーの復活を約束する滑稽さ
そんな中、フランクとメイニーは静かに故郷を目指します
しかも帰りはメイニーの運転で
「パーフェクト・ワールド」で脚本を手掛けた
ジョン・リー・ハンコックが監督しているんですね
なるほど犯罪映画だけどロード・ムービーっぽい
全く正反対のイメージがありましたが、意外とマッチ
ふたりが緩んだ体系で頑張って走る姿も可愛いぜ
エンドロールに事件記録の写真があり
本物のボニーとクライドが、ウォーレン・ベイティとフェイ・ダナウェイに
あまりにも似ても似つかないことに違和感(笑)
映画としては「俺たちには明日はない」のほうが傑作だと思いますが
史実には本作のほうが基づいているのでしょう
【解説】映画.COMより
「俺たちに明日はない」で知られる伝説の強盗犯ボニー&クライドを追う2人のテキサスレンジャーの戦いを、ケビン・コスナーとウッディ・ハレルソンの共演で実話にもとづいて映画化したクライムドラマ。1934年、テキサス。悪名高い犯罪者カップルのボニー&クライドは、脱獄の手引きや強盗、警官殺しを繰り返していた。警察は2年前から彼らを追っていたが未だにその足取りさえ掴めず、業を煮やした知事は追跡のプロである元テキサスレンジャーのフランクとメイニーに捜査を依頼する。2人は長年の経験に裏付けられた直感を頼りに、ボニーとクライドを追い詰めていくが……。共演に「ミザリー」のキャシー・ベイツ、「ぼくとアールと彼女のさよなら」のトーマス・マン。監督は「しあわせの隠れ場所」のジョン・リー・ハンコック。Netflixで2019年3月29日から配信。