原題は「The Dead Don't Die」(死者は死なない)
ジム・ジャームッシュの「ジョージ・A・ロメロ」 への敬愛と
「ゾンビ」 愛の集大成のような作品ですが
映画として面白いかどうか、といえばつまらない(笑)
でも「コーヒー&シガレット」でコーヒー飲んでタバコふかしてた奴らが
ゾンビになって「コーヒー、コーヒー・・」とダイナー目指し(笑)
「Wi-Fi、Wi-Fi」とか「Bluetooth、Bluetooth・・」とかいう
ゾンビが現れだすあたり、私的にはかなりツボ(笑)
「遊星からの物体X」 のポスター
墓石の文字は 「サミュエル・フラー」
(B級映画の巨匠で数多くの監督から愛されている)
ティルダ・スウィントンは「キル・ビル」で「未知との遭遇」
という遊び心も楽しい
一方で農夫(スティーブ・ブシュミ)の帽子には「Make Amrica White Again」
(トランプ元大統領と彼を支持する勢力のスローガン
「Make America Great Again」のもじり)
黒人の少年の名前は「ジェロニモ」(先住民という差別用語でもある)や
日本車に対抗して巡査(アダム・ドライバー)が乗ってる小さい車は
中国の電気自動車 スマート「フォーツーカブリオ」
たぶんエネルギーの枯渇(と日本車の代替えとして中国車の市場拡大)
という見えない恐怖
(ゾンビたちが)スーパーマーケットを襲っては略奪、など
アメリカが抱えるている問題の縮図が隠れているんですね
なんでもジャームッシュは愛犬にも
「ラムズフェルド」という名前をつけているくらい
(ジェラルド・R・フォード、ジョージ・W・ブッシュ政権で
国防長官を務めた強硬派)皮肉屋なんだそうです(笑)
ウェイトレスの死体に、警察署長(ビル・マーレイ)の
「野生動物?何頭かの?」からはじまり
巡査の答えは「ゾンビだ」「まずい結末になる」
しかも理由は「台本を読んだので」(笑)
「俺は自分の分しかもらっていない」と拗ねてしまう署長
ラジオで「極地の水圧破砕」が行われたことが報道され
どうやらゾンビが出現したのは、その工事で時間軸が歪み
地球の自転が変わったせいだと推測(「スーパーマン」の原理?)
巡査が1体のゾンビの首を跳ねたのをきっかけに
やがてゲームを楽しむようゾンビを殺して行くものの
ゾンビが増殖するほうが速い
結局これだけ登場人物がいても誰も役に立たず
(いったい何のために登場したのか 笑)
署長も、巡査も、全員ゾンビに倒されてしまいます
森で暮らす世捨て人ボブ(トム・ウェイツ)は呟く
(生き残ったのはボブと、少年院の子どもたちだけ)
「ゾンビは物質主義の遺物だ 連中は最初からゾンビだった」
「幽霊だ 無数の人間の名状しがたき悲惨」
それこそが、この映画のテーマで
ボブはジャームッシュ自身を現しているのでしょうね
ただ、最後の最後に真面目な台詞もってくるのはどうなんでしょう
できればラストまで変化球で来てほしかった(笑)
【解説】映画.COMより
鬼才ジム・ジャームッシュがビル・マーレイとアダム・ドライバーを主演にメガホンをとったゾンビコメディ。アメリカの田舎町センターヴィルにある警察署に勤務するロバートソン署長とピーターソン巡査、モリソン巡査は、他愛のない住人のトラブルの対応に日々追われていた。しかし、ダイナーで起こった変死事件から事態は一変。墓場から死者が次々とよみがえり、ゾンビが町にあふれかえってしまう。3人は日本刀を片手に救世主のごとく現れた葬儀屋のゼルダとともにゾンビたちと対峙していくが……。ジャームッシュ作品常連のマーレイ、「パターソン」に続きジャームッシュ組参加となるドライバーのほか、ティルダ・スウィントン、クロエ・セビニー、スティーブ・ブシェーミ、トム・ウェイツ、セレーナ・ゴメス、ダニー・クローバー、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、イギー・ポップらが顔をそろえる。2019年・第72回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品。
2019年製作/104分/R15+/スウェーデン・アメリカ合作
原題または英題:The Dead Don't Die
配給:ロングライド