カラミティ・ジェーン(1953)

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原題も「CALAMITY JANE (ヒロインの名前)

 

男勝りな女ガンマンが主人公の西部劇ミュージカル

カラム(ドリス・ディ)は銃の達人で、酒のみで、ホラ吹き

だれも彼女を女性として扱いません

だけど恋愛には初心でダニー少尉(フィリップ・ケイリー)に

一途に思いを寄せています

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そんな男みたいな女が、ドレスを着たら突如女らしく大変身

だけど中身はガサツなままというギャップ

こういう題材はいまだ好まれますし

展開がわかりやすく、タイミングよく転回が起こるので

同じ歌詞が繰り返されても(笑)飽きずに見やすい

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前半は替え玉事件が物語の

1870年代、デドウッドという小さな町では煙草の付録についてくる

歌手「アデレイド・アダムズ」のカードが大人気

そこで劇場のオーナーは彼女を呼び寄せショーを開催しようとしますが

やってきたのは同姓同名の男の喜劇役者

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カラムは本物の「アデレイド・アダムズ」を連れて来ると

町の男たちに約束しシカゴに向かいますが

スターを夢見る「アデレイド・アダムズ」の付き人ケイティ

本物と間違えてデドウッドに連れて帰るのです

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ケイティが「アデレイド・アダムズ」の偽物だと知った男たちは怒り狂いますが

カラムの機転によって、ケイティがステージで歌いだすと

たちまち男たちはケイティの虜になってしまいます

その中にはカラムと同じガンマンで喧嘩友達のビル(ハワード・キール

そして大好きなダニー少尉もいました

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後半はカラムとケイティが一緒に暮らすことになり

徐々にカラムが女性らしさに目覚めていくというもの

ケイティの影響で家を飾り付けドレスを着るカラム

そこにケイティに告白するためにやって来たビルとダニー少尉

 

ケイティは女らしくなったカラムをふたりに見せようとしますが

帰って来たカラムは川で転んで泥だらけ

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やがて舞踊界の夜、ドレス姿のカラムの美しさにビルは息を飲み

男たちからもカラムにダンスの誘いが殺到

だけどダニー少尉とケイティがキスする姿を見てしまったカラムは

怒り狂いケイティを家から追い出し、彼女のショーを滅茶苦茶にします

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ビルはカラムに、カラムがケイティにしたことは

ただの「嫉妬」による嫌がらせだと言い聞かせます

そんなことをしてもダニー少尉の気持ちは取り戻せないと

振られて悲しい気持ちは自分も一緒なんだと

だけどいつかは忘れられる

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そのときカラムは気付きます

自分が本当に愛していたのは、ビルだったのだと

 

ドリス・ディの身体能力の高さにはとにかく驚きます

駅馬車の天井の上や、馬にまたがりながら

酒場ではアクロバットな動きを交えながら歌って踊る

こんなミュージカル・アクション女優見たことない(笑)

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カラムとダニー少尉の幸せを祈って町を去ってしまったケイティ

愛馬でケイティを追いかけ、走る走るカラム

 

それを見かけたビルに男が言います

「じゃじゃ馬と結婚したら一生退屈しないな」(笑)

そうしてカラムとビル

ケイティとダニー少尉の合同結婚式が行われました

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スト2組のカップルが乗る馬車に書かれているのは

Just Married!ではなく「Just Hitched!」 の文字

いまでは「結婚しました」の同じ意味で使われているそうですが

当時はまだお下品な言葉だったそうです

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他愛のないストーリーだけど底抜けな明るさが魅力

こんな女と結婚したら苦労するけど

退屈しないのは確かでしょう(笑)

 

 

【解説】allcinema より

ドリス・デイ主演のミュージカル・ウェスタン。D・デイにあまりミュージカルの傑作がないのは、彼女が最初ワーナーの専属だったことにある。そのほとんどが未公開だが、これといって顧みられるものがない。たまさか輸入された本作やその3年前の「二人でお茶を」もミュージカルとしてはあまりに鈍く、華やかさに欠ける。彼女の才能が開花するのは「知りすぎていた男」以降のシリアスな役もこなすコメディエンヌとしてで、実際、例外的な佳作「パジャマゲーム」があるにはあるが、あくまで非ミュージカル路線を歩むことになる。が、いかに他愛なくあっても、彼女の甘いハスキーな唄声が聴けるだけで、この野暮ったいワーナー版「アニーよ銃をとれ」にも満足はゆく。また、性差を超えた中性的な役柄というのも彼女がその後得意とする所。男勝りの拳銃使いジェーンがワイルド・ビル・ヒコックに恋をし、女らしさを滲ませてゆくさわり、絶妙である。しっとりと唄われる主題歌“シークレット・ラブ”はその年のオスカーを得た。