原題も「CALAMITY JANE」 (ヒロインの名前)
男勝りな女ガンマンが主人公の西部劇ミュージカル
カラム(ドリス・ディ)は銃の達人で、酒のみで、ホラ吹き
だれも彼女を女性として扱いません
だけど恋愛には初心でダニー少尉(フィリップ・ケイリー)に
一途に思いを寄せています
そんな男みたいな女が、ドレスを着たら突如女らしく大変身
だけど中身はガサツなままというギャップ
こういう題材はいまだ好まれますし
展開がわかりやすく、タイミングよく転回が起こるので
同じ歌詞が繰り返されても(笑)飽きずに見やすい
前半は替え玉事件が物語の鍵
1870年代、デドウッドという小さな町では煙草の付録についてくる
歌手「アデレイド・アダムズ」のカードが大人気
そこで劇場のオーナーは彼女を呼び寄せショーを開催しようとしますが
やってきたのは同姓同名の男の喜劇役者
カラムは本物の「アデレイド・アダムズ」を連れて来ると
町の男たちに約束しシカゴに向かいますが
スターを夢見る「アデレイド・アダムズ」の付き人ケイティを
本物と間違えてデドウッドに連れて帰るのです
ケイティが「アデレイド・アダムズ」の偽物だと知った男たちは怒り狂いますが
カラムの機転によって、ケイティがステージで歌いだすと
たちまち男たちはケイティの虜になってしまいます
その中にはカラムと同じガンマンで喧嘩友達のビル(ハワード・キール)
そして大好きなダニー少尉もいました
後半はカラムとケイティが一緒に暮らすことになり
徐々にカラムが女性らしさに目覚めていくというもの
ケイティの影響で家を飾り付けドレスを着るカラム
そこにケイティに告白するためにやって来たビルとダニー少尉
ケイティは女らしくなったカラムをふたりに見せようとしますが
帰って来たカラムは川で転んで泥だらけ
やがて舞踊界の夜、ドレス姿のカラムの美しさにビルは息を飲み
男たちからもカラムにダンスの誘いが殺到
だけどダニー少尉とケイティがキスする姿を見てしまったカラムは
怒り狂いケイティを家から追い出し、彼女のショーを滅茶苦茶にします
ビルはカラムに、カラムがケイティにしたことは
ただの「嫉妬」による嫌がらせだと言い聞かせます
そんなことをしてもダニー少尉の気持ちは取り戻せないと
振られて悲しい気持ちは自分も一緒なんだと
だけどいつかは忘れられる
そのときカラムは気付きます
自分が本当に愛していたのは、ビルだったのだと
ドリス・ディの身体能力の高さにはとにかく驚きます
駅馬車の天井の上や、馬にまたがりながら
酒場ではアクロバットな動きを交えながら歌って踊る
こんなミュージカル・アクション女優見たことない(笑)
カラムとダニー少尉の幸せを祈って町を去ってしまったケイティ
愛馬でケイティを追いかけ、走る走るカラム
それを見かけたビルに男が言います
「じゃじゃ馬と結婚したら一生退屈しないな」(笑)
そうしてカラムとビル
ケイティとダニー少尉の合同結婚式が行われました
「Just Married!」ではなく「Just Hitched!」 の文字
いまでは「結婚しました」の同じ意味で使われているそうですが
当時はまだお下品な言葉だったそうです
他愛のないストーリーだけど底抜けな明るさが魅力
こんな女と結婚したら苦労するけど
退屈しないのは確かでしょう(笑)
【解説】allcinema より
ドリス・デイ主演のミュージカル・ウェスタン。D・デイにあまりミュージカルの傑作がないのは、彼女が最初ワーナーの専属だったことにある。そのほとんどが未公開だが、これといって顧みられるものがない。たまさか輸入された本作やその3年前の「二人でお茶を」もミュージカルとしてはあまりに鈍く、華やかさに欠ける。彼女の才能が開花するのは「知りすぎていた男」以降のシリアスな役もこなすコメディエンヌとしてで、実際、例外的な佳作「パジャマゲーム」があるにはあるが、あくまで非ミュージカル路線を歩むことになる。が、いかに他愛なくあっても、彼女の甘いハスキーな唄声が聴けるだけで、この野暮ったいワーナー版「アニーよ銃をとれ」にも満足はゆく。また、性差を超えた中性的な役柄というのも彼女がその後得意とする所。男勝りの拳銃使いジェーンがワイルド・ビル・ヒコックに恋をし、女らしさを滲ませてゆくさわり、絶妙である。しっとりと唄われる主題歌“シークレット・ラブ”はその年のオスカーを得た。