レディ・バード(2017)

原題は「Lady Bird

これきっと、20代で見ていたら泣いていたな(笑)

年頃の娘のいる親御さんも、共感するものがあると思います

わが子についつい嫌味ばかり言ってしまうのは心配してるから

そのことが逆に本人のやる気を削いでしまう

円満で幸せそうに見える家族でも、中身は失敗と反省だらけ

それくらい等身大でした

ヒロインのレディ・バードは早く高校を卒業して

口煩い母親がいる家からも、こんな田舎町からも出て行きたい

特別な場所に行って、特別な人生を送ることを夢みています

処女だって早く捨ててしまいたい

初体験は素敵で特別なはずだから

でも付き合った彼氏は、ただの遊び人でクズだった

(シャラメがかっこいいのがまた憎い)

やがて都会でひとり暮らしをして、初めてわかる親のありがたさ

ラスト、自分の名前や出身地を素直に言えるようになった少女は

あれほど憎いと思っていた母親や故郷のことを

いかに愛していたかに気付くのです

2002年、カリフォルニア州サクラメントカトリック系の高校に通う

クリスティンこと自称レディ・バードシアーシャ・ローナン)は

ニューヨークの大学に進学したいのに

経済的な理由で勝手に市立大学に進路を決めようとする母親に怒り

車の助手席から飛び降りてしまいます

右腕を骨折し「Fuck mum」と書いたピンクのギブスをはめて通学する

シスターの勧めで参加した校内ミュージカルのオーディションで

歌の上手いダニー(ルーカス・ヘッジズ)に惹かれるレディ・バード

彼の相手役が親友のジュリー(ビーニー・フェルドスタイン)に決まり

いちどは落ち込みますが

感謝祭の日ダニーの家に招待されます

そこは彼女がずっと憧れていた豪邸でした

ダニーと結ばれることを夢みるレディ・バードでしたが

発表会の打ち上げでダニーが男の子とキスをしているのを見てしまいます

ダニーは自分がゲイであることを家族に隠すため

レディ・バードと付き合っていたのです

次にレディ・バードはジュリーと出かけたライブに出演していた

カイル(ティモシー・シャラメ)にひとめ惚れ

レディ・バードのバイト先のカフェで本を読んでいるのを見つけ声をかけると

彼が同じ高校の生徒であることがわかりました

ある日の教室、イケてる女子1軍さんの

ジェンナ(オデイア・ラッシュ)が性体験について語っています

聞き耳を立てるレディ・バード(笑)

そこに服装検査にやってきてシスターに

スカート丈を短くしていたジェンナが叱られてしまいます

レディ・バードはジェンナの仕返しだとシスターの車に

「just married jesus(ジーザスと新婚)」といたずら書きし

(カイルと遊び仲間である)ジェンナと親しくなることに成功します

一方ダニーとの一件で、ミュージカルの稽古に行くのをやめ

ジュリーとも距離をおくようになります

偶然バイト先のカフェにやって来たダニーからゲイである苦悩を伝えられ

レディ・バードは彼を許すことにします

レディ・バードとカイルは全く話がかみあわないにもかかわらず(笑)

親しなり、ジェンナの家で開かれたパーティで初めてセックスをします

お互いに初体験だと思っていたレディ・バード

でも想像していたのと違う

カイルは何人もの女の子とセックスしている遊び人だったのです

しかもジェンナがレディ・バードから聞いていた彼女の家を訪ねると

そこはダニーの家でした

レディ・バードは自分の家が「線路向こう」

つまりスラムにあることを言えなかったんですね(スクールカースト

レディ・バードが嘘をついていたことを責めるジェンナ

大学進学のための面接の日、シスターの車に悪戯したことで

罰を受けるのではないかと思っていたレディ・バード

ところがシスターはそのことをジョークと受け止め

笑い話にしてくれました

ここでグッとドラマは展開を迎えます

ニューヨークの大学に行きたいことや、母親との確執を話すと

サクラメントを愛しているのね」とシスター

「注意を払っているだけ」レディ・バード

「同じことだと思わない? "愛情""注意を払う”って 」

そしてついにプロムの日

レディ・バードはカイルやジェンナや男友達らと出かけますが

皆は揃ってプロムには出ないと言います

思い直したレディ・バードは、ジュリーの家まで送ってもらうことにし

ジュリーとプロムに参加します

友情を取り戻すふたり

卒業式が終わると、カリフォルニア大学への進学が決まっていたレディ・バード

ニューヨークの大学から補欠合格の通知が届きます

父親の助けを借り、母親に内緒で受験していたのです

それを知った母親は、ニューヨークに旅立つその日になっても

口を利いてくれないし、見送ってもくれませんでした

だけど娘が飛び立つ飛行機を、車から見つめて涙を流す

そんな母親を、父親は抱きしめます

ニューヨークに着いたレディ・バード

鞄の中からくしゃくしゃになった紙を見つけます

それは母親が書いて失敗した手紙を、父親がそっと忍ばせたものでした

初めて母からの深い愛情に気付く

新入生の飲み会で男子学生に声をかけられ意気投合したレディ・バード

本名のクリスティンだと名乗ります

男の子の部屋まで行き、ベッドインしようとするも嘔吐

急性アルコール中毒で救急車で運ばれてしまいます

やっぱりまだまだ未熟で失敗ばかり(笑)

それでも少しづつ、大人になっていく

翌朝退院し、家に電話をかけたクリスティンは

留守番電話に母親への感謝と

サクラメントの街をドライブしたときの思い出を話すのでした

 

 

【解説】映画.COMより

「フランシス・ハ」「20センチュリー・ウーマン」などで知られる女優のグレタ・ガーウィグが、自身の出身地でもある米カリフォルニア州サクラメントを舞台に、自伝的要素を盛り込みながら描いた青春映画。「フランシス・ハ」や「ハンナだけど、生きていく!」などでは脚本も手がけ、「Nights and Weekends」(日本未公開)では共同監督を務めた経験もあるガーウィグが、初の単独監督作としてメガホンをとった。カリフォルニア州サクラメント。閉塞感漂う片田舎の町でカトリック系の女子高に通い、自らを「レディ・バード」と呼ぶ17歳のクリスティンが、高校生活最後の年を迎え、友人やボーイフレンド、家族、そして自分の将来について悩み、揺れ動く様子を、みずみずしくユーモアたっぷりに描いた。主人公クリスティンを「ブルックリン」「つぐない」でアカデミー賞候補にもなった若手実力派のシアーシャ・ローナン、母親マリオン役をテレビや舞台で活躍するベテラン女優のローリー・メトカーフが演じた。第90回アカデミー賞で作品賞ほか6部門にノミネート。ガーウィグも女性として史上5人目の監督賞候補になった。

2017年製作/94分/PG12/アメリ
原題:Lady Bird
配給:東宝東和
劇場公開日:2018年6月1日