原題は「LITTLE WOMEN」(小婦人)
戦場から送られて来た父からの手紙を
4姉妹に囲まれ母が読み上げる有名なシーンは本作でも美しい
「若草物語」といえば、真っ先に
1949年のマーヴィン・ルロイ版を思い出しますが
(それしか見ていないからな)
こちらは「若草物語」の現代版解釈というより
グレタ・ガーウィグが原作者のルイーザ・メイ・オルコットの立場になって
オルコットの考えを代弁しようとしたのではないかと思いました
世に知られてるとおり、ヒロインのジョーは原作者オルコットの分身
ですが、ジョーはベア教授と結婚しますが、オルコットは生涯独身
本作のラストでも、編集長の言う結末にしたという理由だけで
ジョーがベア教授と結ばれたかどうかはわかりません
そして編集長との駆け引きで、売り上げに対する自分の取り分を増やし
著作権の意味は知らなくても手放さなかった
それだけ彼女は野心家だったということです
これはジョーにオルコットを重ねるのではなく
思い切りオルコットを主人公にしたほうが良かった
オルコットの父親は、超越主義(個人の重要性や、古いしきたりからの脱却)で
アメリカ思想史にいまでも名を知られる教育者であり牧師だったということ
そんな父親と親交のある思想家たちとオルコットは幼い頃から交流し
影響を受けたといいます
彼女がどう育ち、どういう考えで男の子のような行動をとるようになったのか
どういう経緯でジョーやローリーといった登場人物たちが生まれ
「若草物語」が誕生したのか
そっちを描いたほうが断然面白かった
ここに登場する男たちは、皆甲斐性なし(笑)
マーチ叔母が大金持ちということは
もともとは家柄もよく裕福だったのでしょう
だけど潔癖で理想の高い父親の慈善活動のせいで家は貧しい
長女メグの旦那で教師のブルックも真面目でやさしいけど貧乏
ベア教授は30代後半で知性ある大人の男だけど、やっぱり貧乏
幼馴染のローリーは祖父の金で遊び、おまけにアルコール依存症
それを妻(四姉妹)が励まし助けていくわけです
ラストはジョーの印税で学校が建ち
ベア教授も、メグの旦那も
もしかして両親や四姉妹もそこで教師として働き
その後は家族全員が裕福に暮らした、ということでしょうか
当時は本そのものが、高価だったのでしょう
製本や装丁の過程を丁寧に見せてくれたのは良かったです
【解説】allcinema より
「レディ・バード」のグレタ・ガーウィグがシアーシャ・ローナンと再びタッグを組み、ルイーザ・メイ・オルコットの不朽の名作『若草物語』を現代的解釈で映画化。19世紀後半のアメリカを舞台に、女性の結婚と幸せを巡る四姉妹それぞれの人生模様を、小説家を目指す次女ジョーの視点から瑞々しく綴る。四姉妹役はほかに、長女にエマ・ワトソン、三女にエリザ・スカンレン、四女にフローレンス・ピュー。共演にティモシー・シャラメ、ローラ・ダーン、メリル・ストリープ。
1860年代のアメリカ、マサチューセッツ州。マーチ家の四姉妹の次女ジョーの夢は小説家になること。そのためなら結婚できなくても構わないと思っていた。そんな強い信念ゆえに、周囲と衝突することもしばしば。一方、長女のメグは結婚こそが女の幸せと信じるおしとやかでしっかり者の女性、対照的に末娘エイミーは生意気盛りで元気溌剌な女の子。そして家族の誰からも愛されている心優しい三女のベスは、病気という試練と闘っていた。ある日、メグと一緒に参加したパーティの会場で、近所の裕福な家庭の若者ローリーと出会い、意気投合するジョーだったが…。