THE GUILTY/ギルティ(2018)

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原題は「DEN SKYLDIGE」(デンマーク語で”犯人”)

アイディア勝負の低予算サスペンス

電話の会話のみで進むストーリー展開は

密室劇というより、ラジオドラマに近い感覚

単純なシーンの連続にもかかわらず

88分と短くまとめているので飽きさせません

 

舞台は警察の緊急通報指令室で

事件や事故の通報をオペレーター把握、解決するため

パトカーを向かわせるのが仕事

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主人公の警官アズガーは、現場で何か重大なミスをおかし

審問が終わるまで通報指令室に配置されたようです

なので現場でパトロールする警官たちには顔が利き

一方で同じ通報指令室で働いている職員とは距離を置き

内心見下してもいます

 

その日の夜もいつものように対応していると

女性の声で留守番をしている子どもにかけた、と思われる

間違い電話がかかってきました

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この先ネタバレあり 未見の方は読まないように

この映画に関しては、予告も、あらすじも

一切見ない、知らないほうがいいです(笑)

 

不審に思ったアズガーはかかってきた番号から身元を割り出し

住所にある家に電話をすると

弟(赤ちゃん)とママの帰りを待っているという少女が出ます

弟の寝ている部屋にパパが入っちゃいけないっていうの

パパがママのことをすごく怒って連れて行ったの

 

すぐにアズガーは少女の家にパトカーを送りますが

そこで警官が見たのは血だらけの少女と

腹を裂かれた赤ん坊の死体でした

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母親は元夫に誘拐され、殺されるかもしれない

そう悟ったアズガーのパトロール警官の血が騒ぎます

オペレーターとしての、あらゆる掟破りをして

母親と元夫が運転する車の場所に辿り着く

そして母親の携帯に、元夫(レンガ職人)の車の荷台の中にあるという

レンガで思い切り殴って逃げろと指示します

 

アズガーに言われた通り、母親は隙を見て元夫の頭を殴り

逃げることに成功しますが

元夫が向かっていたのは、精神病院でした

赤ん坊を殺したのは、母親のほうだったのです

そして母親は橋から飛び降りようとしていました

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アズガーはパトカーと連携をとりながら

必死に自殺を食い止めようとします

こんな母親でも、少女と約束したのです

絶対お母さんを助けると

人を助けるのが警察の仕事なんだと

 

全てが終わった時、アズガーは自分の過ちや傲慢さと

やっと向き合うことが出来ました

今回の事件だけじゃない

自分が正しいと思ってやってきたこと全て、裏目裏目に出ていた

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同僚に今までの自分の行動について謝り

相棒に電話して、審問ではすべて正直に話して欲しいと頼む

そして今まで気付かなかった、みんなのやさしさを知る

 

職場を出て、最後に電話したのはきっと

出ていってしまった妻へ

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地味なんだけれど、顔が見えない、電話だけ、SNSだけ

そんなやり取りが、現代だからこそ共感が持てるし

それだけで人間ドラマが完成してしまう凄さ

 

ただセリフだけで視覚的に想像する能力が要求されるので

万人向けではないかも知れません

 

 

【解説】allcinema より

緊急通報指令室という限られた空間を舞台に、電話から聞こえてくる声と音だけを頼りに誘拐事件の解決に当たるオペレーターの奮闘を、極限の緊迫感と予測不能の展開で描き、サンダンス映画祭観客賞をはじめ各方面から高い評価を受けたデンマーク製クライム・サスペンス。主演は「光のほうへ」のヤコブ・セーダーグレン。監督は本作が長編デビューとなる新鋭、グスタフ・モーラー
 捜査中のトラブルにより現場を外された警察官のアスガー。今は緊急通報指令室のオペレーター勤務で、元の職場への復帰を目前にしていた。そんな彼がある夜受けた通報は、今まさに誘拐されているという女性からのものだった。彼女の名はイーベン。走行中の車の中から、携帯電話で掛けていた。その電話から聞こえる声と音だけを手掛かりに、犯人の特定とイーベンの救出に全力を尽くすアスガーだったが…。