若草物語(1949)

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原題は「Little Woman(小婦人)

「リトル・ウィメン」を「若草物語」にした邦題は素晴らしい

 

原作はアメリカの女流作家ルイーザ・メイ・オルコット

1868年に発表された自伝的小説

モンゴメリの「赤毛のアン」(1908年)と同じくらい女性に共感され

同じように何度も映像化されています

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原作は4部作で、映画版はそのうちの1と2

次女のジョーベア教授と結ばれるまでを描いています

自慢の美しい髪を売って家族の急場を救うシーンや

病弱な妹が亡くなるシーンは何度見ても(読んでも)号泣

そして感動的なベア教授からのプロポーズ

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南北戦争の時代、アメリカ東北部の町コンコード

マーチ家の父親は従軍牧師として出征しており

家に残っているのは、母親と

 

気品があって女らしい長女メグ、ジャネット・リー21歳)

一方お転婆で気が強い次女ジョー、ジューン・アリソン31歳)

食いしん坊で虚言癖がある三女エイミー、エリザベス・テイラー16歳)

ピアノ好きで優しい四女ベス、マーガレット・オブライエン(11歳)

の四姉妹と、家政婦ひとり(原作では三女と四女が逆)

物語は小説家志望の次女、ジョーを中心に展開していきます

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ジューン・アリソンは庶民的で愛くるしくて好きな顔

だからといってこの役をやるのには、おばさんすぎて(笑)

そのムチャっぷりに、見ているこちらのほうが焦ってしまう始末

でも終盤になると、全く違和感はなくなります

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かつては裕福でしたが、父親のお人好しのせいで財産を失い

今は困窮した生活を送っていることを、金持ちの叔母さんに咎められています

それでも娘たちはお父さんが大好きだし、家族は幸せでした

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お隣は富豪で怖そうな爺さんが独り暮らししているローレンス家

クリスマスの朝、ジョーは爺の孫のローリーと友人のブルックと出会います

悪戯好きなジョーがローリーが覗く家の窓に

雪玉を投げつけたのをきっかけにふたりは友達になります

そして四姉妹はローレンス家のパーティに招かれることになります

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これがおセレブ様のパーティで(笑)

つぎはぎのスカートのジョーはいつものお転婆ぶりを発揮できません

メグはブルックと意気投合、やがて交際するようになり

エイミーは食べることに夢中

引っ込み思案なベスはパーティに馴染めません

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そんなベスに、同じ年頃の孫娘を失くした経験のあるローレンスさんは

「いつでもピアノを弾いてほしい」と言い

ベスはお礼にローレンスさんに手作りのスリッパをプレゼントします

そしてベスとローレンスさんは親友になります

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ある日、父親が負傷しワシントンの病院に入院したという知らせが入ります

ワシントンまでの旅費を叔母さんに無心しにいくジョー

だけどジョーと叔母さんは相性が良くないんですね(笑)

叔母さんの話もよく聞かず、髪を切ってお金に変えてしまうのです

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しかも母親がワシントンに行っている間

母親がボランティアしている家の娘が病気だと知ったベスは看病に行き

猩紅熱に冒されてしまうのです

そのことは、ローレンス家との交際をますます深め

メグはブルックのプロポーズを受け、結婚することになります

そしてメグの結婚式の日、ローリーに愛を打ち明けられたジョー

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ジョーはローリーの愛に答えることが出来ず

ニューヨークに行き、作家を目指す決意をします

やがて同じアパートの住人で、音楽教授でドイツ人のベア教授と親しくなり

ふたりは清く知的な愛を育んでいきます

 

女流作家の文学って、ヒロインの性格が似たり寄ったりで

しかも同じような恋愛パターンばかりなのですが(笑)

それでも引き込まれてしまう

 

ニューヨークを訪ねてきた叔母さんと、淑女に成長したエイミーが

(ジョーと約束していた)ヨーロッパ旅行に行く報告にやってきます

ジョーのがっかり感は隠せませんし

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しかも、ヨーロッパには先にローリーが行っていると聞いて複雑な気分

そのうえ闘病中のベスが他界してしまう

 

ジョーはベア教授の薦めで、いままで描いていた大衆小説ではなく

自分の経験を活かしたリアルな小説を執筆することにします

タイトルは「私のベス」

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退役で父親が戻ってくることになり

メグには双子の赤ちゃんが生まれ里帰り

エイミーとローリーは結婚

久々に家族が全員揃い、パーティが行われていた夜

 

「私のベス」の初版本を届けるため、ニューヨークからやって来たベア教授は

パーティの賑わいを知り、本だけ届け立ち去ろうとしていました

それを聞かされたジョーは無心に教授を追いかけます

 

それまでの自分の虚栄や野心は消え去り

愛する人に誠実に尽くすことの大切さに気づかされたジョー

ジョーの心は満たされ、教授からのプロポーズにイエスと答えます

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ジャネット・リーは「サイコ」(1960)のイメージが強すぎですが(笑)

こういうお姉さん役が見れたのはよかったです

エリザベス・テイラーの使い方はあまりにもったいない

マーガレット・オブライエンは100点満点、言うことなし

 

そしてなんといっても、ジューン・アリソン

最初はおばさんにしか見えなかったアリソンが(笑)

ラストには夢よりも、自分にとって最高の幸せを掴めた姿が

実によく描かれていました

マーヴィン・ルロイのスターを見出す目を疑っちゃいけないよ(笑)

 

女の子の永遠のバイブル「若草物語

そのゴージャス版が本作に間違いないと思います

(だけど他は見ていないんだけど 笑)

 

 

【解説】KINENOTEより

アメリカの家庭小説の名作といわれるルイザ・メイ・オルコットの「リツル・ウイメン」の映画化で、「哀愁」「心の旅路」のマーヴィン・ルロイが、テクニカラー色彩映画として製作監督した1949年作品。脚本は、1934年にRKOラジオで映画化された時のサラ・Y・メイソン、ヴィクター・ヒアマンのチームに、アンドルウ・ソルトが協力して執筆、撮影は「女の顔」のロバート・ブランク、「悪漢バスコム」のチャールズ・エドガー・シェーンバウム、音楽はアドルフ・ドイッチェの作曲である。主演は「秘めたる心」のジューン・アリソン、「下町天国」のピーター・ローフォード、「悪漢バスコム」のマーガレット・オブライエン、「暴力行為」のジャネット・リー及びメアリー・アスター、新人エリザベス・テイラー、「ラ・トスカ」のロッサー・ブラッツイでルシル・ワトソン、C・オーブリー・スミス、ハリー・ダヴェンポート等が助演する。