あしたは最高のはじまり(2016)

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原題は「DEMAIN TOUT COMMENCE」(明日は新しい一日」)

2013年のメキシコ映画Instructions Not Included

(受け入れられません 日本未公開)のリメイク

 

黒人と白人のカップル、未婚の親、LGBT

生物学的な親と育ての親、親権争い

この映画がヨーロッパで大ヒットしたというのは

こういう問題がすごく身近なものなのだろうな

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南フランスのリゾート地で気楽に観光案内の仕事をするサミュエルは

気に入った観光客の女の子がいればナンパし、一夜を過ごすこともしばしば

その夜もボスの忠告を聞かずパーティ、楽しく3Pして朝を迎えると

イギリスからやって来たクリスティンと名乗る女性が

「あなたの子よ」と女の子の赤ちゃんを置き去りにしていきます

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慌てたサミュエルはフェイスブックを頼りに

クリスティンをロンドンまで追いますが、彼女は仕事を辞め行き先知れず

偶然知り合ったテレビドラマのプロデューサー、ベルニーにスカウトされ

スタントマンとして働きながら娘のグロリアを育てることになります

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このベルニーがめっちゃいい感じのゲイ(笑)

ちょっと好みの男を見かけると「私に気がある」とアイビームを送る

でも全然ガツガツしていなくて

グロリア母親代わりとしてサミュエルの子育てに協力

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グロリアの学校の校長先生もいい人

8年もロンドンに住んでいて未だに英語を離せないサミュエルの通訳として

サミュエルはグロリアを撮影現場に連れて行くんですね

なので学校には月に数日しか通ってない

だけどサミュエルがスタントマンをする番組の大ファン

何かと融通を効かせてくれるのです

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誰もがサミュエルがどんな親より娘を大事に育てているのを知っている

ナンパチャラ男が命がけで仕事に励み

月収6,000ポンドで娘のために遊園地のような部屋に住む

 

ママは諜報部員で世界中で仕事をしていると嘘をつき

母親からの偽のメールを娘に毎日送る

ベルニーはそろそろ本当のことを話したほうがいいと心配しますが

サミュエルはグロリアが喜ぶことならなんだってする

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8年間オフラインのクリスティンのフェイスブック

グロリアからの「ママに会いたい」というメッセージを送り続ける

そして、その全てに理由があったのです

 

グロリアには先天的に心臓に疾患があったのです

(作中でははっきり描かれていない)

そして医師からもう長くないことを宣告されていました

こんなに元気なのに・・

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グロリアが死ぬ前にママにひと目でも会わせてあげたい

だけどそれが思わぬ展開になってしまいます

フェイスブックに気が付いたクリスティンが

グロリアに会いに来てくれたのはよかった

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だけど諜報部員だったという嘘がばれ

サミュエルはグロリアに嫌われてしまう

そのうえクリスティンは恋人と共に裁判を起こし

裁判に負けると、今度はDNA検査を求めてきました

 

愛娘は自分の子ではなかったのです

父親はどこの誰かもわからない黒人の男

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それでもサミュエルのグロリアに対する愛情は変わりませんでした

なんとグロリアを拉致し(笑)

生まれ故郷の南フランスに連れて帰るのです

娘の最期はここで一緒に過ごしたい

 

グロリアを連れ去ったサミュエルにクリスティンは激怒しますが

ベルニーからグロリアの病気のことを聞いた彼女も南仏に向かいます

そして愛し合う父娘の姿を見て、ふたりを引き離すべきではないと悟るのです

グロリアのため、疑似家族になる決心をする

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ただ、本当に母親が身勝手すぎて共感できない

若さゆえの過ちで子どもを置いていったのは1000歩譲ったとしても

 

育児で一番ハードで、可愛い時期も知らないくせに

後からなって遺伝子的に親だから、親権は自分にあるだなんて

法律が許しても、誰が許すだろう

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娘がこんな好い子になったのは、育ての父親の教育や

それをサポートしてくれた仲間のおかげなのに

 

じゃあ、娘が捻くれた不良になっていても

オマエは本気で親権を争ったかっていうの

絶対逃げたに決まってる、そういう女だ

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でもサミュエルはグロリアのため

そんなクリスティンの総てさえも許すのです

だって、こんなに素敵な娘を授けてくれたのだから

 

生みの親と、育ての親

両親の愛に包まれ、幸せのまま旅立つグロリア

 

命の短い子に限って、こんな素直で可愛いのは

短い生涯の中で苦労を知り尽くしているからなんだろうな

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本当にいい映画なんだけど

終盤の「いい話」的で、ご都合主義な演出が邪魔をして

本来の物語の良さが発揮できなかったのは残念

 

あまり凝らず、もっとストレートにしたほうが

素直に涙腺を刺激したんじゃないかな

親が子を愛する気持ちも、真っ直ぐなものだから

 

 

【解説】allcinema より

最強のふたり」のオマール・シー主演のハートフル・コメディ。気ままなプレイボーイ生活を謳歌していた主人公が、突然ロンドンから来た女に自分の娘だという赤ん坊を押しつけられ、戸惑いつつもゲイの友人の力を借りて子育てに奮闘し、やがて娘と強い絆で結ばれていくさまを描く。メキシコの人気コメディ俳優エウヘニオ・デルベスが2013年に主演し、全米でもサプライズ・ヒットしたメキシコ映画Instructions Not Included」をリメイク。監督は本作が長編2作目のユーゴ・ジェラン
 南仏コートダジュールの海辺の町で、観光ヨットの船長をしながらお気楽な毎日を送るプレイボーイのサミュエル。ある日、関係を持ったことすら覚えていないクリスティンと名乗る女性がロンドンからやって来て、あなたの娘だと言って生後3ヵ月の赤ん坊グロリアを置いて去っていく。慌ててロンドンへ向かったサミュエルだったが、結局クリスティンを見つけ出すことはできなかった。言葉も通じない異国で無一文となり、途方に暮れていたサミュエルは、彼に一目惚れしたゲイでTVプロデューサーのベルニーに救われ、スタントマンの仕事を紹介してもらった上、彼の部屋にも居候させてもらう。こうしてベルニーの助けを借りながら、グロリアを育てていくサミュエル。8年後、明るく聡明な少女に成長したグロリアに対し、サミュエルはいまだに母親のことを正直に告げられずにいた。そんな時、突然クリスティンが現われ、グロリアを引き取りたいと言い出すのだったが…。