コッホ先生と僕らの革命(2011)

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原題は「DER GANZ GROßE TRAUM」(大きな夢のため)

1874年ドイツの学校で初めてサッカーゲームを導入した

「サッカーの父」と呼ばれるコンラート・コッホ(18461911)がモデル

ですが、史実とはかけ離れているそうです

 

プロットは「今を生きる」(1989)によく似ていますが

こちらのほうはハッピーエンドなので

見やすく、わかりやすい

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本作ではオックスフォードで学んだコッホが

4年生(15歳くらい?)のクラスに英語を教えるため

ドイツ初の英語教師として厳格な学校に招かれます

 

子どもたちは真面目で規律正しく見えましたが

地元の名士の息子で学級長のフェリックスが父親同様に権限を持ち

 

クラスでただひとりの労働者階級で母子家庭のヨストは

フェリックスとその子分たちから虐められていました

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フェリックスの父親は労働者階級者が

息子と同じ学校に通っていることを良く思っておらず

ヨストが退学になることを望んでしたのです

そして優秀なドイツ人が英語を学ぶことにも反対でした

 

その影響は生徒たちにも現れ、英語をばかにし

英語の発音を正しく学ぼうとしない

そこでコッホは生徒たちを体育館に集め

オックスフォードの友人から貰ったボールで

生徒たちにサッカーを教えることにします

 

サッカーのポジションや戦略を通じて

楽しく、正しく、英語とスポーツマンシップ

「フェアプレイ」の精神を教えることにしたのです

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やがて、生徒たちに自我や仲間意識が芽生える

 

だけどそれは大人たちから「反抗」とみなされ

しかも運悪くヨストの蹴ったボールが神父に当たってしまい

神父が救急車で運ばれるという事件が起こってしまいます

 

学校ではサッカーが禁止

英語の授業は、ただ本を読むだけというクソ面白くないものに

 

そこでコッホ先生は、学校でサッカーは禁止だけど

学校が終わって、偶然散歩とかでどこかで会うのは

校則に反しないと提案します

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その頃にはフェリックスを除く全ての生徒が一致団結

フェリックスは「裏切るなよ」とクラスメイトから釘を刺されます

 

ちょうどその頃

フェリックスが秘かにメイドに想いを寄せているのを知った父親によって

メイドはクビにされ家を追い出されます

 

メイドはヨストの家のすぐそばに住んでいました

ヨストはメイドにサッカーの練習の観戦&見張り役を頼みます

そしてメイドを探して偶然やってきたフェリックスと再会

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フェリックスはゲームに参加し

クラス全員がやっとひとつになった時

 

勉強だと偽り家を抜け出しているフェリックスが

メイドに会いに行ってるのではないかと疑った父親に殴られ

放課後サッカーをしていることを白状してしまうのです

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フェリックスは「裏切り者」と罵られ

ヨストは退学

コッホ先生の放校が決定した時

校長先生の秘書が

「サッカーを授業に取り入れるべきか、皇帝の査察団が観戦しに来る」

という電報を持ってやって来ます

 

それはフェリックスが校則を徹底的に調べ上げ

クラスメイトと一緒に秘書に頼み込んで叶ったものでした

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が、フェリックスの父親も負けてはいません

地元の新聞局を雇い、嘘のニュースを流し

査察団が来ても、子どもたちがサッカーを出来ないようにしてしまうのです

 

だけど査察団がやってくる日

コッホ先生が手紙を出していたオックスフォードの友人が

親善試合の為、イングラントの少年チームを引き連れやって来てくれたのです

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敵国イングランドから試合を申し込まれて逃げるわけにはいかない

それこそドイツ人の恥

 

街中の人々が試合を見るため公園に集まり

生徒たちは退学になったヨストを誘い

父親に監禁されているフェリックスを救いに行く

 

そして、ホイッスル

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先制点はイングランド

査察団は「野蛮なスポーツだ」「認められない」と渋い顔

次はコッホ先生のチーム、1対1の同点

思わず査察団からも歓声があがってしまう

感極まったフェリックスは応援に来てくれたメイドにキス

 

そしてヨストのゴール

興奮する観客、悔しがるイングランド

生徒が開発したサッカーボール

(時代錯誤は別として、アディダスがモデル? 笑)

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ワールドカップで4度優勝、4度準優勝のサッカー王国が

まさかサッカーに否定的だったとは

 

そして人間を育てる、国を育てるには

何より親の存在と、教育が大切なこと

 

子どもにあれこれ言う前に、まず大人が先見を持ち

自分の考えや行動の責任を持つべきなのでしょう

 

 

【解説】allcinema より

19世紀末のドイツで教育の現場にイギリス発祥のチーム・スポーツ“サッカー”を導入し、後に“ドイツ・サッカーの父”と呼ばれる実在の人物コンラート・コッホを主人公に、サッカーを通じて封建的な学園に自由と平等の精神を植え付けた型破りな教師と生徒たちとの心の交流を描いた感動の学園ドラマ。主演は「グッバイ、レーニン!」「ベルリン、僕らの革命」のダニエル・ブリュール。監督は本作が本格的な映画デビューとなるセバスチャン・グロブラー。
 19世紀後半、普仏戦争でフランスに勝利し自信を深めた帝政ドイツでは、イギリスとの覇権争いへと関心が向かい、国民の反英感情がかつてない高まりを見せていた。そんな中、イギリスに留学していた青年コンラート・コッホが、名門カタリネウム校にドイツ初の英語教師として赴任してくる。しかしすぐに、生徒たちのイギリスに対する強い偏見と階級による露骨な差別意識に直面する。さらに、規律を重んじ、教師への絶対服従を強いる学園の封建的な雰囲気にも不満が募る。そこでコッホは授業にサッカーを採り入れ、生徒の自主性を引き出すとともにフェアプレーの精神とチームワークを学ばせることを思いつく。最初は戸惑っていた生徒たちもいつしかすっかり夢中になり、サッカー用語を通じて英語も学ぶようになっていくのだったが…。