
「おはようさん」「ありがとさん」「おつかれさん」
前半はマーティン・リットの「アイリスへの手紙」
後半は山田洋次の「学校」みたいな(笑)
何の意外性もない単純なストーリー
その分素直に感動できて、泣きそうになりました(笑)
しかも実話ベースなんですね
35年目のラブレターのいうのも、最初はロマンチック目的ではなく
64歳で退職した非識字者の元寿司職人
西畑保(にしはたたもつ)(笑福亭鶴瓶)が夜間学校に通うことになり
読み書きの勉強を途中で挫折しないよう
妻の皎子(きょうこ)(原田知世)にラブレターを書いてクリスマスに渡す!
と、皆の前で宣言するわけです

ところがひらがなどころか、自分の名前さえろくに書けない
1年目のクリスマスには間に合わず
2年目のクリスマスにも間に合わず
3年目にやっと完成したものの皎子の採点は63点
4年目のクリスマスを前に皎子が急性心不全で死んでしまいます
それでも保は文字を書く練習を続け
7年目に卒業式を迎えると、妻に最後のラブレターを捧げるのです

出会いからのエピソードが描かれていきます

保は戦後の小学2年生のとき
兄弟のため働いて貯めていたお金を学校でなくしてしまい
見つかったのに自分のお金だということを信じてもらなかったうえ
(貧乏が理由で)盗んだお金だと教職員や同級生から虐められるようになり
学校に通えなくなってしまいます
大人になってからも読み書き出来ないことで馬鹿にされたり差別され
仕事が長続きすることはありませんでした

しかし保は記憶力が抜群によく
釣りが趣味だったおかげで魚の種類や名前にやたら詳しい
30歳の時、寿司屋の親方(笹野高史)に弟子として雇れ
親方の知り合いからタイピストをしていた皎子と
お見合いするよう勧められます
しかし自分が読み書きできないことを付き合っている最中も
結婚してからもずっと皎子に打ち明けられないでいました
でも嘘は突き通せないもの
読み書きができないことを知られた保は離婚まで決意しますが
皎子は「私があなたの手になる」と保を励ましたのでした

今では「ディスレクシア」(読み書きが困難な学習障害のこと)といって
トム・クルーズがそうであることが有名ですよね
(アーノルド・シュワルツェネッガーも公表)
セリフは読み聞かせや録音してもらったものを丸暗記
絵や図を使って理解するそうです
あのトムでさえ、学校ではバカにされいじめられ孤独感に苛まれてきたそうです
今ではその経験がタフな内面を作り上げてくれたと思うようになったそうですが
主人公も障害のおかげで今の自分があることに気がつきます

とはいえ、時代はディスレクシアなんて言葉さえなかった昭和
皎子は保が非識字であることを知られないよう、恥をかかないよう
夫を支え続けていきました
その妻が死んでしまい、勉強することに意味を見つけられなくなった保
そうなることも知っていたのでしょう
皎子は生前にタイプで打ったラブレターを残していました
学校を楽しんで欲しい、勉強を楽しんで欲しい、63億点
「追伸、あなたのいいところを3つ」

皎子のラブレターを「読めた!」と叫んだ保は
その後84歳でついに卒業式の日を迎えると
卒業生代表として祭壇に立ち、辛の字に1本線を足すと
「辛いこともちょっとのことで幸せや」と伝えます

それから家で仏壇に手をあわせた保は
「皎子へ」とラブレターを書き始めたのでした
「まずは、きみのいいところを3つ・・・」
【解説】映画.COMより
笑福亭鶴瓶と原田知世が夫婦役を演じ、最愛の妻にラブレターを書くため文字の勉強に奮闘する夫と、彼を長年支え続けた妻の人生をつづったヒューマンドラマ。2003年に朝日新聞で紹介され、創作落語にもなるなど話題を集めた実話をもとに映画化した。
戦時中に生まれて十分な教育をうけることができず、文字の読み書きができない65歳の西畑保と、いつも彼のそばにいる最愛の妻・皎子(きょうこ)。貧しい家に生まれ、ほとんど学校に通えないまま大人になった保は、生きづらい日々を過ごしてきた。やがて皎子と運命的な出会いを果たし結婚するが、その幸せを手放したくないばかりに、読み書きできないことを彼女に打ち明けられずにいた。半年後、ついに事実が露見し別れを覚悟する保だったが、皎子は彼の手をとり「今日から私があなたの手になる」と告げる。どんな時も寄り添い支えてくれた皎子に感謝の手紙を書きたいと思った保は、定年退職を機に夜間中学に通いはじめる。
重岡大毅と上白石萌音が若き日の保と皎子をそれぞれ演じ、安田顕、笹野高史、江口のりこ、くわばたりえが共演。「今日も嫌がらせ弁当」の塚本連平が監督・脚本を手がけた。
2025年製作/120分/G/日本
配給:東映