後妻業の女(2016)



「若くして夫を亡くし好きな事は読書と夜空を見ることです

 得意料理がサバの煮込み、わたし尽くすタイプやと思います



原作は黒川博行氏の小説「後妻業」

数々の男性と遺産目当てに交際または結婚し

殺害した容疑で2014年に逮捕(当時67歳)された

筧千佐子被告がモデルということです




結婚相談所のお見合いパーティで

病気持ちの金持ちの高齢者に「あなたの最後を看取らせて」と

結婚(または内縁の妻)になり、臨終をまって遺産相続する

小夜子(大竹しのぶ)は、後妻業のプロ


相談所の所長である柏木(豊川悦司)は小夜子に

カモになりそうな男性の情報提供をし

殺害の手助けをし、遺産を山分けしています


柏木は柏木で、若いホステスに

ブランド物(本物とは限らない)等プレゼント攻撃のミツグ君

金が必要でした




それにしても、老いてもを求めるの多いこと

顔や年齢はあまり関係ない

笑顔と、乙女チックと、やさしい言葉

上目遣いの「ぶりっこ」熟女にコロリとやられてしまう


日頃相手にしてくれない、娘や息子に財産をやるくらいなら

ベタベタしてくれて、自分を男と見てくれて

「良い思いをさせてくれた第三者

金を残してやろうという気持ちになっても

しょうがないかも知れません




小夜子は脳梗塞で倒れた耕造(津川雅彦)の点滴に空気を入れ殺害

葬式の場で耕造の娘、朋美(尾野真千子)と尚子(長谷川京子)に

遺言公正証書を突き付け、全財産は自分のものだと宣言します


納得のいかない朋美は、探偵の本多(永瀬正敏)とともに

小夜子が「後妻業」である証拠を掴み

金を奪い返そうとしますが、なかなかうまくいかない




一方の小夜子は、次のターゲットである不動産王

舟山笑福亭鶴瓶)と肉体関係を持ちます

しかし舟山は小夜子と同業、金持ちの中高年女性相手の竿師でした

それとわかったときのふたりの豹変ぶりが怖い


なにがあろうが、悪事がバレようが

猫背で下顎つきだて、開き直って悪態ついて

今度は自分が被害者ヅラの小夜子

ここまで悪女だと逆に清々しいし

コメディタッチでテンポもいい


しかし後半、探偵を殺そうと息子役の風間俊介が活躍?

するあたりから面白さが失速




ラストも、また次騙そうぜ!というような終わりかたですが

実際の筧千佐子被告には、4人の男性への殺人死刑判決が出たそうです


しかし決して他人事ではなく、これからの高齢化社会

「後妻業」や、高齢者男性が若い外国人女性と結婚するケースが

ますます増えていくかも知れない

そんな社会現象を考えさせられる作品でした




【解説】allcinemaより

直木賞作家・黒川博行の『後妻業』を大竹しのぶ豊川悦司主演で映画化。高齢男性をたぶらかして後妻に収まり、死んだら遺産を総取りしてしまう“後妻業”の女と、裏で糸を引く結婚相談所の男を軸に、愛とお金を巡って繰り広げられる欲望渦巻く赤裸々な人間模様をコミカルに描く。共演は尾野真千子長谷川京子笑福亭鶴瓶津川雅彦永瀬正敏。監督は「愛の流刑地」「源氏物語 千年の謎」の鶴橋康夫
 結婚相談所主催の婚活パーティで老人たちを虜にし、狙い通りに中瀬耕造と結婚した武内小夜子。2年後、耕造は脳梗塞で入院するとほどなく他界。葬儀の席で小夜子が耕造の2人の娘、朋美と尚子に突きつけたのは、全財産を小夜子に遺すと記された“遺言公正証書”だった。とうてい納得いかない朋美は同級生の弁護士に小夜子のことを調べてもらう。すると、小夜子が裕福な老人の後妻に入っては全財産を巻き上げるということを生業とする“後妻業の女”と判明。しかもそれを背後で操っていたのが結婚相談所の所長、柏木亨だったのだ。朋美は裏社会の探偵・本多芳則とともに2人を追及していく。そんな中、次なるターゲットとなる不動産王・舟山喜春に近づいていく武内小夜子だったが…。