コーヒーが冷めないうちに(2018)

「あなたに苦労かけてる?」
「いや全然 それを言いに来た」

 

コーヒーが冷めるまでの間、時間移動できるという噂がある

不思議な喫茶店「フニクリフニクラ」で

過去に戻って会いたい人に会いに行く4つの物語

コーヒーを淹れるのは看板娘の時田数(かず 有村架純)で

マスターで伯父の時田流(深水元基)は

時田家に産まれた女性だけにその能力があるといいます

 

その現象をまのあたりに見た常連客で大学生の新谷亮介(伊藤健太郎)は

数の能力に驚きつつも、数に惹かれふたりは交際

やがて数は妊娠します

たとえば家族や愛する人を亡くした過去がある人なら

身につまされるものが、こみあげてくるのではないか

と思うのですが

 

途中しらけてしまったのは

伊藤健太郎さんの存在が邪魔だったのでは、思います

まず見た目からして、有村架純ちゃんと姉弟のようにしか見えない

(年の差カップルがテーマなら話は別)

お互いが好きになっていくきっかけすらわからない

まあ、伊藤健太郎さんが悪いわけではないのですが(笑)

(どうやら原作には出てこないキャラクターらしい)

そしてもうひとつ、コーヒーがぬるくて不味そうなこと(笑)

こんな喫茶店で、コーヒーを飲みたい気持ちにはなりません

 

よかったのは、さすがベテランの貫禄といいましょうか

認知症の妻を演じた薬師丸ひろ子さんと

他人のふりをして彼女を介護する夫の松重豊さん

妻の気持ちを知るため、夫が過去に戻る

ここが最大のクライマックス

松重豊さんの男泣きにもらい泣き

ほかのシーンがすべて霞んで見えます(笑)

そして石田ゆり子さん

何もしていないのに、ちゃんと話を聞いている感がすごい(笑)



エピソード1<清川二美子(波瑠)×賀田多五郎(林遣都)>

幼馴染の五郎に呼び出され、プロポーズされると思ったふみこは

期待とは違いニューヨークへ転勤になったと聞かされ、五郎と喧嘩

怒った彼は帰ってしまいます

本当に言いたかったのは文句じゃなかったのに

 

五郎とやり直すため、過去に戻りたいというふみこに数は

過去は変えられないこと、さらに

「あの席の女性がトイレに立った時だけ」と説明します

 

なかなか席を立つ様子がない女性(石田ゆり子

やっと閉店ぎりぎりトイレに向かうと

数はルールを説明し、ふみこにコーヒーを淹れます

過去から戻ったふみこは五郎を追いかけ

ニューヨーク行きを決意するのでした


エピソード2<高竹佳代(薬師丸ひろ子×房木康徳(松重豊)>

いつも同じ席でコーヒーを飲んでいる穏やかな女性、佳代

夕方になると「房木さん」が迎えに来て、彼女を家まで送っていきます
佳代は若年性アルツハイマーで「房木さん」が夫であることさえ忘れ

旧姓を名乗る佳代を房木は他人のふりをして介護していました

佳代は大事な人に渡すため、という手紙を大切に持っており

房木はそれを受け取るため、妻が記憶を失う前に戻ります

手紙には自分が記憶を失くしたときのために、願いが書いてありました


エピソード3<平井八絵子(吉田羊)×平井久美(松本若菜)>

「フニクリフニクラ」の近所でスナックを経営している八絵子は

妹の久美が尋ねてくるたび逃げ出し、決して会おうとしません

八絵子は実家の老舗旅館の跡を継ぐのが嫌で

妹に全て押しつけ家出していました

その妹が交通事故で突然死んでしまいます

現実から逃げ明るくふるまう八絵子でしたが

数に久美から預かっていた手紙を渡され
過去に戻り、妹とちゃんと話すことにします

エピソード4<時田数(有村架純×時田要(石田ゆり子)>

数の母の要が、死んだお父さんに会うため過去に戻り

帰ってこなかったことがトラウマになっている数のため

亮介はある計画を思いつきます

 

クリスマスの日、数の前に現れたミクという娘が

7歳の時のクリスマスに行戻るようにと言い

数にコーヒーを淹れます

要が行ったのは父に会うための過去ではなく

数の姿を見るための(自分の死後の)未来でした

そこで要は泣いた数に引き止められ、戻れなくなってしまったのです

私はお母さんに捨てられたんじゃなかった

数が現在に戻ると、要の姿は消えていました

 

そして最後の謎解きは、エンドロールの後に(笑)

せっかちな人はネタバレがわからないままになるので

ご注意を



 

【解説】映画.COMより

本屋大賞2017」にノミネートされた川口俊和の同名ベストセラー小説を、有村架純の主演で映画化。時田数が働く喫茶店「フニクリフニクラ」には、ある席に座ると望み通りの時間に戻れるという不思議な噂があった。過去に戻るには面倒なルールがいくつもあったが、その全てを守った時、優しい奇跡が舞い降りるのだという。今日も店には、噂を聞きつけてやって来たキャリアウーマンの清川二美子や、訳あり常連客の高竹佳代と房木康徳、なぜか妹から逃げ回っている平井八絵子ら、それぞれ事情を抱える人々が訪れてくる。タイムスリップの引き金になるコーヒーを淹れることのできる数も、近所の美大生・新谷亮介に導かれるように、自分自身の秘められた過去に向き合っていく。

2018年製作/116分/G/日本
配給:東宝
劇場公開日:2018年9月21日